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館モノと飛行機の話

まずはこちらの動画をご覧ください。

以下はこの動画から抜粋した会話です。

あかり「そこ(=よからぬ噂がある館)に男女9人とかで行くからよくない」
たくみ「行っちゃいけないんだよね」
(中略)
たくみ「(館に)泊まっちゃダメだよ」
あかり「泊まったら誰か死ぬんですよね」
たくみ「館とか堂とかに泊まったらダメだよ」
(出演者名 敬称略)

この動画に出てくるあかりんとたくみさんの会話に、どれだけ「それな」と思ったか。人里離れたところにある館。建築家や資産家が己の趣味や思想を追求して造った風変わりな館。そんなところに行こうものならロクなことがない! 絶対誰か死ぬ!!

とは思いつつ。改めて真剣に考えてみました。もしも私が、資産家や建築家が己の趣味のためだけに造った、風変わりな洋館に招待されたらどう思うだろう、と。まあ、人生でそんなシチュエーションに遭遇することは、年末ジャンボで1等をあてるのと同じぐらいの確率だとは思いますが。

もしも私が風変わりな洋館に招待されたら。絶対「どうか何事もなく平穏無事に帰って来れますように!!」と祈ると思います。なにせ幾度となく読んだ「THE・館もの」と言いたくなるようなシチュエーションに遭遇するわけんです。名探偵やその助手ポジションだったら高確率(※100%ではない)で生き残れるかもしれません。けれど悲しいことに、どう考えても自分はそのどちらのポジションにもなれない自信があります。もしかしたら第一の被害者になりかねない。その程度のキャラクターでしょう。多分。

一方で、自分がその招待を断るかといわれたら、多分断らない気がします。なにせ今まで幾度となく小説で読んだ「館もの」のシチュエーションを目の当たりにできるんです。こんなの行かざるを得ないじゃないですか。なんだかんだいって、小説に出てくる連続殺人犯のように、館の宿泊客を次から次へと計画的(特には衝動的)に殺していく人間なんて、そうそういやしないでしょうし……。

というのを真剣に(真剣に考えるだけの価値があるとは思えないですが)考えた結果、気付きました。これ、飛行機で旅行するときの気持ちと似てるな? と。

私は飛行機に乗るたびに「99.999999999……%安全だとは信じていますが、それでも万に一つのことが起こったりしませんように!!!」と祈ってしまう人間です。

パイロットやCA、整備士、その他たくさんの方たちが、日々空の安全のために尽力していることでしょう。だから、飛行機の墜落事故に巻き込まれて命を落とすなんて、ほぼほぼないと信じてます。信じてはいますが、でも離陸寸前、心の中でほんの少し「でも……万にひとつのことがあったら怖いなあ」と思い、祈ってしまうのです。そしてこの不安は、地上に敷かれたレールを走る新幹線で移動するときには決して抱かない不安です。
といいつつ、飛行機に乗っている間、わくわくしているのも事実です。なにせ飛行機で移動するほど遠くに行けるのですから。仕事柄、遠方への出張などもなく、近場をうろうろしているだけの私からしたら、それはもう楽しい楽しい「非日常」への旅立ちです。

ということを考えると、館モノの推理小説に出てくるキャラクターに対して「どうして君たちは怪しげな館へほいほい行ってしまうんだ……こんなのどう見ても死亡フラグしかないじゃないか……」とツッコむだけ無駄なんだろうなあと。きっと自分が彼らの立場だったら「ちょっと不安がないわけじゃないけど、でも楽しそう!」と、その怪しげな館に足を踏み入れてしまうんだろうなあと。そんなことを、この動画を見て改めて思ったりして。

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