【短編小説】刀葉林(とうようりん)地獄
・説明
地獄めぐり3番目の地獄に衆合地獄(しゅうごうじごく)がある
衆合地獄とは
盗み、殺生、邪淫(じゃいん)の罪を犯した人間が落ちる地獄のことで、その地獄のなかに刀葉林(とうようりん)地獄が存在する
刀葉林地獄とは
刀のような鋭い葉が山のように積み重なった頂上に美女が座り美貌や言葉で誘惑し 登らせる
昇り降りを永遠にさせられる地獄
※邪淫(じゃいん)
不倫、性的暴力を働いたりすること
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【短編小説】刀葉林(とうようりん)地獄
あの日は最悪だった…
仕事で大きなミスをし上司に怒鳴られ、床に這いつくばって許しをこう
俺が今まで積み上げてきたものが
パーになったのだ
プライドもガラガラっと崩れ落ちた
こんな気持ちのまま妻や子の待つ
自宅に帰れやしない
だからって愛人の元へ行く気にもなれない
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
気づけば俺は夜の街にいた
怪しく光るネオンに吸い込まれるように入って行った
そこに、あの女がいたのだ
俺を見下(みくだ)したようなアイツの目は、上司の目と同じだった
見下し女を指名していた…
女が部屋に入って来るやいなや
俺は飛びかかりベッドに勢いよく押し倒し女の足を持ち上げ熱い塊を強引に、ねじ込んだ
女
「なにすんのよっ!アンタ💢
ルールも理解できないバカは相手できないわっ」
ギャーギャー喚(わめ)き散らす女の口を塞(ふさ)ぎ頬(ほほ)を叩く
女が俺の手を噛んだ
その瞬間、俺の理性は消滅した…
女の首を絞(し)める
俺
「なんだよ…まだ見下すのか…
この俺をっ!
ふざけんな…ふざけんな…ふざけんなーー!!」
女の首を両手の血管がブチっと切れるぐらい絞めていた
女は、ビクっと全身を痙攣(けいれん)させたかと思うと動かなくなってしまった
やってしまった…殺(あや)めてしまった…
…もう、お終いだ…
あの店の近くのビルの屋上に俺は立っていた
どうやってここまで来たのか記憶がない
下のほうではサイレンが、けたたましく鳴り響いている
もう逃げられない…
死ぬ他に選択肢はない…
俺は目をつぶり身を乗り出す
一瞬フワッと浮かび上がり
次の瞬間、真っ逆さまに急降下した
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
女
「ほらっこっちにおいでよ♡
抱きたいんだろ?!」
聞き覚えのある声がする
あの女だっ
あの女が木の上にいた
俺
「なぜだ…なぜお前がいる…」
俺は夢中で木に よじ登る
刹那、俺のカラダはズタズタに
切り裂かれた
葉はカミソリのようになっていたのだ
女
「ほらっ♡ぼーっとしてんじゃないよ♡おいで♡」
今度は木の下にいる
俺
「このやろーふざけんなっ」
俺は必死で木を降りる
ズタズタに切り裂かれながら…
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