【短編小説】した後の味は、やけに悲しい
残り一本になったタバコに火をつけた
「ふーーぅ」 (タバコを吹かしている)
ぼーっと登って行く煙を見つめる
ホテルのベッドで満足気な顔して寝ているコイツは、ただの遊びのはずだった…
そう…そのはずだったんだ
知り合ったのは一年前
とあるアプリで知り合った
『割り切った関係で遊びませんか!?』
いまなら
はぁ!? ナメてんの?! って思う(笑)
あの頃は、この言葉に救われた気がしたんだ
捨てられてボロボロだったから…
割り切った関係なら傷つくこともない
飽きたらポイって出来るからさっ
「あっタバコ終わっちゃった…」
替えのタバコがあったかな? と
裸のままカバンを漁(あさ)るが
見慣れた箱が見つからなかった
「コイツのタバコ 一本くすねるか…」
跨(またが)るように反対側に渡り
カバンを漁った
まだフィルムが剥がされてない新しい
タバコを発見した
♪ピロンっ
通知音が鳴った
…思わず見てしまった…
『今日のデート期待してる♡』
フィルムを荒々しく剥(は)がし
一本取り出した
コイツのライターで火をつけ
コイツの顔を見ながらタバコを吹かす
「ふーーぅ」
いつからだろう
コイツに…こんなヤツにマジになったのは…
コッチのことなんか何とも思ってないんだコイツは
「コイツのタバコなんだか目に染みるな…」
煙のせいなのか 涙のせいなのか
した後の味は、やけに悲しかった…
コイツの顔めがけて煙を吹きかけた
「むせてる フフっいい気味」
薄っすら目を開けるコイツに口づけし
舌を絡めた
タバコの灰がポロっとベッドに落ちたのなど構わずに抱き合っていた
私を忘れさせないために…