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🟡【短編小説】声を奪われし世界
女神が攫(さら)われ10年
魔王に支配された国、ボイコーネ
国民は、声で会話することを禁止された
当初は、国民は反発したが声を出した者は大罪人(だいざいにん)とされ
厳しい罰を受けた為
歯向かう者はいなくなった
筆談やジェスチャーでコミュニケーションをとることが、あたり前となっていった
次第(しだい)に国民達は、表現することをしなくなっていく
意志を持たなくなり
考えることをやめた
表情さえも消え
物言わぬ人形と成り果てた
魔王は自由を奪ったわけではない
ただ声を奪っただけなのだが…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
9歳の少女ミリアは、産まれた時には無音の世界だった
両親の声を聞いたことがなく自分の声も知らない
ある日少女は、本に書いてあった『声』に興味を持った
少女は両親に筆談で尋ねた
「声ってなあに?」と
両親は慌てた様子で首を振る
声のことを話題に出してはいけない!
触れてはいけない!と言っているのだ…
そんなに罪深いことなのだろうか…
声を知ることが…
自分の一部なのに知りたいと思わないのか?!
疑問に思わないのか?!
取り戻したいと思わないのか?!
周りの大人達が、疑問を持つことや
考えることをしなくなっていることに怒りすら覚えた
幸い彼女は、まだ若く
考えることが出来た
感情がまだ残っていた
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あくる日、少女は街頭に立った
そして、思いの丈を叫んだ
「お母さんやお父さんの声を聞きたい!みんなの声を聞きたい!
自分の声で表現したい!」と
「あれ??これが私の声?!とっても素敵♪」
少女がニコリと微笑んだ瞬間
その場に駆けつけた魔王の手下達によって殺された
見るも無残(むざん)な少女の亡き骸(なきがら)は見せしめのために3日間放置された
国民達は怒りに震えた
魔王に、いや自分達の不甲斐(ふがい)なさに…
9歳のミリアに教えられたのだ
勇気をもらったのだ
国民は立ち上がる
怒涛(どとう)を組み魔王の元へ
「俺達の女神を取り戻そう!
俺達の声を取り戻せ!」と
魔王は、これを恐れていたのだ…
人間が手を取り合うと何倍ものチカラを発揮することを知っていたのだ
だから、国民から希望である女神と声を奪い恐怖で支配していたのだ
倒れても倒れても国民は立ち上がり
魔王軍に立ち向かった
長年の死闘の末、国民達は
4月30日ついに女神を奪還(だっかん)し自分を取り戻した
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架空の国の歴史を語る
ハチママ流ファンタジーです