【短編小説】戦火の友情
アイツは……逝(い)った…
先に逝ってしまった
俺の希望が…逝ってしまった…
敵の奴等に拷問されたあげく
殺された…
俺の目の前で…
" 見せしめ " として…
俺は、何も出来なかった…
動けなかった…
これでいいのか!!
友を無惨に殺され
黙ったままでいいのかっ!!
自問自答を繰り返した
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
アイツは、のどかな田舎の風景を好んで描く画家だった
上官の目を盗んでは描いていた
生き生きとした目は輝き
先の見えない暗闇を照らす
月光のようだった
俺には、そんなアイツが
" 生きる希望 "となっていた
アイツが穏やかに好きなモノを
自由に描ける世の中になる為に
戦おうと決めた
意味の無い戦いに希望や理由が欲しかったのかもしれない…
ある日、上官に見つかり 筆を取り上げられ目の前で折られていた
アイツは…筆を銃に持ち替え 戦った
アイツは、アイツはさっ
抜(ぬ)きんでた才能を持っていたのに…
戦いには必要じゃない才能を…
世の中が平和なら必要な才能を
持っていたのに…
アイツに似合うのは銃じゃないっ!!
筆だっ!!
憎いっ!!奴等がっ!!戦争がっ!!
いや、こんな世の中がっ!!
争いなんて消えてしまえっ!!
消えちまえっ!!
全て消えろっ!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
最後のチカラを振り絞り
身につけていた " 手りゅう弾 "
を手に向かって行く
「目に物見せてやるっ!!」
友よ!!
もうすぐオマエのとこに逝くよっ!!
奴等を道ずれに
終わらせるよっ!!