【大人童話】宿替えヤドカリ
弱虫ヤドカリおりました
皆に罵(ののし)られ
毎日泣いておりました
そんな彼も成長し
そろそろ宿替(やどか)え
お引っ越し
せっせせっせと 貝探し
けれども貝は 見つからない
自分に合う貝 見つからない
途方に暮れておりますと
向こうの岩陰 ピカッと光る貝 一つ
見つけた見つけたボクの貝
いそいそ取りに行ったとさ
ボクにピッタリ 素敵なお家
引っ越しは明日 また明日
今日は疲れた おやすみなさい
翌朝、目覚めたヤドカリは
びっくり仰天 目をパチクリ
素敵なお家は消えていた
慌てふためく彼を見て
皆が指さし 嘲(あざ)笑う
ボクの貝は、どこいった?
ボクのお家は⋯ボスのとこ
ボスのお家になっていた
彼は泣いて悔しがり
泣いて泣いて…息絶えた
引っ越しできずに…息絶えた
ボスのヤドカリ 老いてゆき
チカラも体も弱くなり
皆に疎(うと)まれる存在に
そんな彼も宿替えだ
せっせと貝を見つけたよ
明日は引っ越し おやすみなさい
翌朝、彼の家は消えていた
泣いて悔やんだ あの日のことを
あんなことしなきゃ〜よかったと
悔やんで悔やんで⋯息絶えた
宿替えヤドカリ
宿替えれずヤドカリ2匹
天のお空で仲良く暮らしてる
貝の代わりの雲 背負い
光り輝く雲のお家
ピカピカ輝くヤドカリ2匹
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