【短編小説】夜中の死闘
耳もとを こざかしく飛び回り
自己主張するかのように
あの耳ざわりな音を鳴らす
「うるせぇなぁー」
目を閉じたまま 手で追い払う
「よしっ!! 静かになった」
俺は 再び眠りにつこうとした
その瞬間
右足の小指に 猛烈な痒みが襲った
「ぬあっ痒っ!」
ガバッと飛び起き無我夢中で掻(か)きむしる
「くそっ 殺られた…」
電気をつけ確認すると右足の小指が、
ぷっくらと赤く膨(ふく)らんでいる
これから奴らが活発に活動する時期になる
たびたび、この夜中の死闘が繰り広げられるのだろう…
「忌々(いまいま)しいモスキートめっ…」
今日のところは敗北を認め
今日のところは!
虫さされの薬を塗り横になった
━━━━━━━━━━━━━━
#文披31題
Day3 飛ぶ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?