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【エッセイ】 正面の入り口より、背面の生き方。
最近の記事を読んでくれた方々は分かる話なのだが、僕は数日前に高尾山に登ってきた。
この6号路の旅で、ふと思ったことがあったので書き留めてみる。
仲間と行く登山は会話も景色も、少し角度のある道のりを登るツラさも、そういった全てのことを含めて最高に楽しかったのだが、他の観光客を見て、不意に僕の頭の中に過ったものがある。
「人の後ろ姿っていいなぁ・・・」
普段の生活の中で、あまりにも当たり前すぎて"人の後ろ姿"なんて注意深く見ることもなかったし、良し悪しなんて考える事もなかった。
人の正面は"入り口"みたいなもので、その見た目から話しかけやすいかどうかを判断できる。
そして何よりも、その入り口は皆こぞって綺麗にしたがる。僕だってその一部の人間だ。
髭を剃ったり、眉毛を整えたり、前髪を気にしたり、メイクをして可愛いを作ったりと。
ほとんどの人が絶対に気を使う場所であるのは間違いない。だが、そればっかり整えたところで、果たして後ろにはどれくらい気を遣っているだろうか。
・・・ここで、僕は少し考えた。
背面に気を遣うって一体なんだ?
後ろ髪を綺麗にする、後ろにオシャレがあるような服を着る・・・。
いやいや、そういったものでは無い。
今回の高尾山6号路の旅の最中に、人の後ろ姿を見て感じたものはそんなものではなかった。
・・・
人の背面は、正面にはない「カッコ良さ」や「美しさ」が満ち溢れている。
これは、正面みたいに"見た目"を気にして作れるものでは無いはずだ。
6号路の旅の記憶の中から呼び起こしてみる。
・青いトレッキングポールを持った60〜70代くらいのお爺さん。
・耳当てにポンポンの付いたニットを被った女子大生くらいの女の子。
この2人は思わず目で追ってしまった。
決して"服装が良かった"からではない。
後ろ姿から出ている確かな魅力があったのだ。
背筋を伸ばして、しっかりと地を踏みしめ、なおかつ歩くことを全力で楽しんでいるのが伝わってきた。
この2人は、きっと人間として芯のある生き方をしてきたのだろう。
そして後悔のない人生を送っているはずだ。生きていく上で経験する多くの失敗や後悔を振り返ったところで、何にもならない。
常に前を向いて、しゃんとしている。
そういったものが、自然と後ろ姿に反映されていたのだと思うのだ。
人の正面とは、その人の"見た目"としての美しさを、その人なりに表現できる唯一のものである。
それに対し背面とは、その人の"生き方"としての美しさが、自然と出てきてしまうものなのだと感じた。
「後ろ姿がカッコいい」
そんな人間になりたいと強く思った。
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