「場所の記憶を残しながら、新しいコトが生まれる場に」 #1 Puddle inc. 加藤匡毅さん|haccobaをつくる人びと
こんにちは。2021年春、福島にあたらしい酒蔵を立ち上げる haccoba(ハッコウバ)です。
現在私たちは3人のチームで活動をしていますが、実はたくさんの「つくり手」たちが関わってくれています。
私たちのコンセプトでもある「みんなで育てる酒蔵」を、まさに一緒に育ててくれているクリエイターの方々を、ここではご紹介したいと思います。
(酒蔵イメージ 外観スケッチ ©Puddle inc.)
11月5日より、空き家を酒蔵にするためのリノベーションがはじまりました。今回ご紹介するのは、その建築デザインを手掛けてくださった Puddle inc. の加藤匡毅さん。
国内外のカフェなどを始め、数々の空間を生んできた加藤さん。最近では渋谷にある宮下公園の新ホテルブランド「シークエンス」の客室を手掛けたことでも話題です。
人のライフスタイルに寄り添うことを軸にデザインしてきた加藤さん。南相馬市小高という地域と、haccobaの空間をどのように考えているのかお話を伺いました。そこには建物だけにとどまらない熱い想いがありました。
haccobaの建築デザインを手掛けることになった経緯と、その時の心境についてお聞かせください
妻の知人のみずきさん(haccobaの女将)からお声がけをいただきました。「今はまだ何もないところから、お酒をつくる場所と文化を創りたい」という思いに動かされました。東北というエリアも、醸造所という空間も初めてで、進化できるチャンスを頂けた。という直感でお受けしました。
haccobaはお酒とともにコミュニティもつくっていきたいと考えています。「コミュニティの空間づくり」で意識していることはどんなことでしょうか
特別なことではないのですが、空間の中心がコミュニティの発信者であることです。haccobaは酒のつくり手が主役です。彼らが心地よく営める場所を目指します。そしてその場所に関わる人、訪れる人々が、忘れ難い不可逆な「体験」を得ることができる場所であるように、ささやかな空間的仕掛けをします。それを「デザイン」と呼ぶことができます。
(リノベーションする空き家だった民家)
南相馬市小高という地域での「建築」という点で、意識したことはありますか
リノベーションする建築は、誰も住んでいない「おばあちゃん家のような木造住宅」
震災後、一時は人も文化もなくなった場所。と聞いてから、誰かが住んでいた場所の記憶を残しながら、新しいコトが生まれる場に生まれ変わらせる事が、南相馬だけでなく、日本の地方空き家が抱える問題の一つの解決事例になれるよう意識してます。
今後、haccobaの空間をどのように使って欲しいかなど、イメージしていることはありますか
設計は事業のスタート地点の地盤固めだと考えてます。人が人を育てて、この場所を語っていってくれることを望みます。
元は「おばあちゃん家のような木造住宅」が、世界を変える一点になりうる。という意識を持って欲しい。
(酒蔵イメージ 内観スケッチ ©Puddle inc.)
今は使われなくなった場所を、新しいコトが生まれる場所にしたい。私たちhaccobaが考えていることを、酒蔵と併設するバーのデザインに落とし込んでくれた加藤さん。
生まれ変わった場所でお酒をつくり、みなさんと乾杯する日が楽しみです!
---
加藤匡毅 Puddle inc. 代表・建築家
大阪府生まれ、横浜育ち。建築、インテリアの企画・設計からプロダクトの企画、空間デザインも手がける会社「Puddle」代表であり、一級建築士、デザイナー。隈研吾建築都市設計事務所、IDEE’などを経て、2012年にPuddle設立。既存の価値観に独自の視点を加えることで新しいものを作り出している。
---
リノベーションされた新しい空間でつくられる限定酒をMakuakeで先行販売しています。
https://www.makuake.com/project/haccoba/