関さば関あじのはなし。
水産物で初めてブランド化した、大分県の「関さば・関あじ」。
生魚特有の臭みは一切なく、もっちりとした舌触り。引き締まった身には、ほんのり油が乗っている。ぜひ一度食べて見て欲しい、その味は絶品だ。
関さばの市場価格は、1匹数千円。高級魚にもかかわらず、多くの人に愛されている関さば・関あじ。その味の秘密を探るべく、大分県漁業共同組合 佐賀関支店(以下、佐賀関)を訪れた。
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「関さば・関あじを名乗るには、5ヶ条をすべてクリアしなければいけません」
▼「関さば・関あじ」名乗るための5ヶ条
①誰が釣るか
佐賀関の組合員が一本釣りしたもの
②どこで釣るか
豊予海峡
③餌の制限
疑似餌かゴカイのみ。撒き餌は禁止。
④買い方
面買い
⑤認定シール
関さば関あじを証明する
そう語るのは、佐賀関の高瀬さん。荷捌き施設に着くと、高瀬さんはさっそく、現場を見ながら丁寧に説明をしてくれた。私は高瀬さんの話を伺う中で、関さば・関あじの品質の高さが、すぐにわかった。
▼高瀬さんの話を聞いている様子
魚は生きたまま釣ってきて、それを佐賀関が面買いする。仕入れた魚は、1日寝かせ、出荷前夜に魚を締める。魚は発泡スチロールの上に乗せ、そして最後にステッカーを入れて出荷する。
佐賀関では、漁獲から買い方、活け締め、出荷までのすべての工程で、そのこだわりようが見てとれる。その中でも特に「面買い」という買受方法が印象的だった。
面買いとは、釣ってきた魚の大きさや重さ、品質などを目視で測り、魚一本の値段を決める方法をいう。計量器に乗せると魚が暴れて、身を傷付けてしまう。傷が付くと、そこから鮮度が落ちていく。それを防ぐために、佐賀関では長年、この面買いという、独自の方法を取っている。
▼計測し、いけすに移す様子
頼みの綱はその人の感覚のみ。感覚と言えど、大きな誤差は信頼関係にも響く。
デジタルなこの時代に、昔ながらの方法が守られているのは、佐賀関の職人芸があるからだ。この日も職員の技が光っていた。
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新魚(その日釣った魚)は、極度の興奮状態にあるため、丸一日いけすの中を自由に泳がせる。
▼いけす全体
あじとさば以外にもぶり、いさき、たいの計5種類を、関のブランドとして扱っている。1日約100隻の船が海に出る。釣る魚と量は、その日の海況と漁師次第。
自然にちかい状態に戻った魚は、出荷前夜に、一尾一尾手作業で、素早く血抜きし、神経を取る。こうして丁寧に加工された魚は、翌日、ようやく出荷先へと出荷されていく。
▼活け締め包丁(非売品)
神経を抜くのは、魚が暴れて身割れしたり、死後硬直したりすることを防ぐために行う
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最後に、佐賀関のブランドについて、高瀬さんに訊ねた。
関さばや関あじは、ブランドとして浸透しているものの、5ヶ条についてはあまり知られていない。それゆえ、勝手に「関さば関あじ」を名乗り、高値で販売している店も少なくないそうだ。けれども高瀬さんはこう続けた。
「真似されるのは困るけれど、真似されなくなったら終わりと思うんです」
売り手も買い手も、価値を知っているから真似をする。売り手も買い手も、求めているから真似をする。真似はされたくない。けれどもそれが、何よりの「ブランド」として世間から認められている証だ。
高瀬さんの言葉は、一見矛盾している。けれども一流ブランドだからこそ語れる言葉のように感じた。
▼関さば御前(関あじ関さば館)
関さば・関あじの認定シール(写真右下)は、流通過程で必ず貼られている。文字は当時の県知事が書いた字。
釣った魚は痛めない、傷つけない、品質を落とさない。そんな佐賀関の思いと、一つひとつの取り組みが、味のブランドが守っている。そして今日も、私たちの食卓を楽しませてくれている。
▼終わりに
新鮮な関さば関あじは、こちらでいただきました。
わぁぁーーーー!!が、、、頑張ります!!