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「エスカレーター」けっち

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Photo by Robin Toorians on Unsplash

今となってはどこにでもあって、当たり前に動いているものなんですが、よくよく考えてみればエスカレーターというのはすごいものです。だって階段が動くわけですから。エレベーターは、まだその原理上なんとなくエスカレーターよりも驚きがありません。強い力で上にひっぱって、おろすときはゆっくりヒモをおろせばいいんじゃないか。

実際のエレベーターの仕組みは全然違うと思いますが、それでもエスカレーターの「階段がうごきつづける」というのは、ちょっとその仕組みが大人になってもよくわかりません。ずっと上にあがりつづけた階段は上に到達したらそれからどこにいってるんでしょうか? 下にもう一回、ベルトコンベア的に戻ってるんだと思うんですが、それがまた階段として復活して永遠に階段でありつづけるのだとしたら、それはなんというかすごい発明だと僕は思います。

はじめてエスカレーターに乗ったときの記憶は残念ながらありません。でも、子どもの頃の僕にとって、エスカレーターに乗るというのはきまって「お出かけ」のときでしたし、今では2階建ての商業ビルはどこでもエスカレーターとエレベーターがついていますが、昔は小さな商店街のスーパーは階段でした。だからエスカレーターのついているスーパーというのは、けっして小さなスーパーではなかったのです。

子どもの僕にとってエスカレーターが「特別なもの」だったのは、エスカレーターがでてくる夢を何度かみたことがあるからです。夢で覚えているのはちょっとしたホラーな夢で、きまって僕はエスカレーターに乗っているんだけど、後ろからマクドナルドのドナルドが追いかけてくる夢でした。ドナルドはいつもナイフをもっていて、僕を追いかけてくるのです。

ドナルドが何を、ナイフが何を、そしてエスカレーターが何を象徴しているのか。それはわかりません。ですが、僕は迫ってくる大人のドナルドにたいして、最終的につかまることはありませんでした。なぜなら、僕はエスカレーターに乗っていて、エスカレーター上で走って逃げているとすごく速く登れていたからです。不思議な夢ですが、エスカレーターをみると、ときどき子どもの頃にいつもみていた夢のことを思い出します。今では夢のなかにドナルドもナイフもエスカレーターもでてくることはなくなりました。


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