「夜食」けっち
Photo by Charles Deluvio on Unsplash
夜食っておいしいですよね。夜食のおいしさってなぜなんだろう、といま考えていて、それはきっと背徳の味だからじゃないだろうか、と思いました。たとえば昼寝、昼酒。夜は毎日人間寝ているものですが、それを昼間に寝るだけで、なんだかものすごく贅沢な睡眠時間な気がしますし、昼間からお酒を飲むときの「やっちゃいけない」けれども、そこを飲んでしまうとき、ちょっと格別なおいしさがあります。もちろん、それが常習していった場合は昼酒も昼寝もそこに背徳の快楽はなくなって、ただの堕落になってしまうのでしょうが。
そういう意味で夜食も、毎日きまって夜中に食べていたら、それはちょっと夜食の言葉の意味からずれていって飽食……とでも呼ぶしかなくなりますね。たまに、食べる。または、或る期間だけどうしても勉強したり、仕事が続いていたりして夜どうしてもお腹がすくから食べるときの夜食。
この夜食が本当にうまいんですよね。僕は受験生だったころ、よく夜食にチキンラーメンを食べていました。丼にお湯をそそいで、サランラップのふたをして3分待つだけの、なんの料理もしていないのですが、このチキンラーメンを食べる夜食の時間は本当においしかったなあ。昼や夜に、ただのチキンラーメン一杯だけのごはんだったらちょっとせつなさを感じるところですが、家族が寝静まった深夜にひとりすするチキンラーメンの夜食の味は、料理それ自体の味とは別の次元で成立している不思議なたべものでした。
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