あだ名
まだまだ自粛とかそんな事全然ない、3.11や9.11よりも前、今思えばスーパー平和だった頃。
私は世界的超超大型チェーン店のサンドイッチ屋でアルバイトをしていた。
今ならなかなかないが、そこは24時間営業をしていた。当時はそんなの当たり前だった。
私はそこで約2年間、深夜の時間帯のみ働かせていただいておりました。
深夜班の主な業務は清掃と次の日の仕込みだった。
冷凍してあるパンを解凍して切り目を入れてオーブンに入れて、野菜を切って、ハムを一人前ずつに仕分けて、ツナ缶あけてマヨネーズと混ぜつつ、コーヒーメーカーを洗浄して、合間に来る酔客や、クラブ活動中のギャル・ギャル男の接客をし、オーブンで焼けたパン出して並べて…なかなか忙しかった。
だから私は記録的にやらかした。
過去、様々なアルバイトを経験してきて、どれも得意ではなかったが、ここが1番不得意だった。
まず服装、汚いエプロンをクリーニングに出しもせずにずっと使い続けた。
そして鼻くそほりほり接客をしていた。
遅刻もほとんど毎回だった。
あと、仕込みもいっぱい失敗した。
パンなんか3回くらい全焼させたし、ツナマヨネーズもムラがあると怒られた。
でもピーマン切るのは上手だと褒められて無茶苦茶キレイに切って大量に切り過ぎて怒られて、本当に酷かった。
だから店長にはとても嫌われていて、目も合わせてくれなかった。
それなのにそんなバカを2年も雇うとはやはり平和の証だろう。
あの頃は本当に申し訳ありませんでした。
さて、それでも私はそのアルバイトが意外と好きだったのだがそれには理由があった。
朝番に来る女の子が可愛いかったのだ。
店があったのが青山近辺だったので近所のイケてる女子大生や女子高生が朝番に来るのだった。
私の楽しみはその女子たちとほんの5分くらい挨拶をして引き継ぎをする事だった。
彼女たちは優しいし、そして朝からシャンプーのいい匂いをさせている。
あー、こんな人たちとお近づきになれたらなぁ〜
夢は案外とすぐに叶った。
Iさんと言う女子大生が連絡先を教えてくれたのだった。
Iさんとはその後特になにもなかったが、一緒にご飯食べに行ったり、お茶したり、そこのバイトを辞めてからも友達だった。
そんなIさんがある日教えてくれた。
深夜番(私たちのことです)の皆を朝番の女子たちがあだ名で呼んでいるだと。
例えば、バンドマンはバンド、顎が長い男子大学生はウィート(パンのことです)、私をそこに紹介してくださった吉本の先輩(今はもう辞めてしまわれました)はともかく仕事が完璧だったので、完璧さんだと言う。
じゃあ、俺は?
(聞かなきゃよかったのに)
え?ハブさんはね、丁稚奉公だよ。
丁稚奉公かぁ〜
あれだけミス連発でそれなら良い方か。
ちなみにハブさんの深夜番のあとは誰もやりたがらないから私が押し付けられてんだよ。
あ、Iさんごめんなさい!
世界的超超大型サンドイッチチェーン日本支部の皆さん、いやアメリカ本部の皆さん、あの頃は本当すいませんでした。
丁稚奉公は今もちゃんと反省しています。
たまに食わせていただいてます。
マジ美味いと思ってます!