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日記hibi/ 2018/12/31〜2019/1/6
2018年12月31日(月)
そろそろ休みにやることがない。しかたがないので、まず洗濯をする。今日もする。普段洗っていなかった布団のカバーやシーツ、敷物などを順繰りに洗っていく。
年末年始の買い物を、年末年始の買い物っぽいところでしたい、という要望を相方から受けて、築地や豊洲などが検討に上がった結果、結局めんどうになってしまって、西大島の砂町銀座商店街に向かった。と、そこは確かに年末年始っぽく、年越しうどんやお惣菜、お餅やみかんがどんどんと売られていて、とても賑わっていた。人混み、が常に苦手で嫌いだけれども、こういう、賑わい、に嫌悪感はないのはなんでだろうか。殺伐と、争うように求めているものは苦手で、実際にそういう場面もこの商店街にもあるはあるのだろうけれど、みんな緩やかに、穏やかに過ごしているように感じられるのは休みだからなのだろうか。年末年始はみなさん、なにか特別な気持ちになるのだろうか。実家にも帰らず、がっつりとしごとをしない年末は本当に久しぶりで、そういう感覚から離れて久しいので、穏やかな人混みに当たると、何から何まで新鮮でいい気持ちになる。
夕方ごろに家に帰ると、もう特に、これといってやることもなくなってしまったので、そのまま買ってきた惣菜を食べながら年越しをすることにして、緩やかに音楽を聞きながらごはんをたべ、お酒を飲み、そうすると紅白がはじまるとのことで、なんとなくつけて見る。ものを書いたり、本やマンガを読みながら流れるように時を過ごしていると、ジャニーズの年越しコンサートが中継される、相方はだいたい実家ではこれなのである、と言うので見る。ジャニーズは毎年年越しコンサートをするの? それでテレビ放送とかしているの? と問うとそうだ、とのことで、知らないことがいっぱいあるな年末のテレビ、などと思ってと年が明け、あけましておめでとうございますといい合うとそれでなにか、やりきった感じがあって、穏やかに寝る準備に入った。寝る前に本を読む。『ゆたかな社会』。結局、なにか他の本を、と思いながらここまで読んでしまった。
2019年1月1日(火)
目を覚まして、相方に年度のあいさつ、とはいえ昨日もう済ませているので、新年の朝ですね、というふうな、確認、といったふうのあいさつを済まして、いつものような朝を迎える。
今日は相方の実家の墓参りに同行することになっていて、いつもよりも断然早く起きている。勤勉な正月。それからは電車に揺られ、バスに乗り、墓参りを行う。なんとなく一瞥をして、初めて参るお墓にあいさつを交わす、のち、食事をするということになった商業ビルに向かうも、まだ10時半(勤勉!)であったのでオープン前で、しばらく時間ができることになった。と、見るとそのビルの3階にブックオフが入っているようで、そこは10時から開いているようであったので一人ですっと向かい、そういえばこういう一人行動が簡単に許される相方のご家族でありがたいな、などと思いつつ向かい、文庫の100円、海外文学の100円、それから通常価格、のところと巡回していった。川崎のブックオフは、あるいはもう最近のブックオフは軒並みそうなのかもしれないけれども、棚の整理整頓が行き届いており、同一タイトルが複数冊ちゃんと並べられて棚に収まっていた。だいぶオペレーションが良い。それで商品にもそれなりに期待してみたが、もうどこのブックオフも同じように、そんなに絶版本の掘り出し物、といったものはなかった。が、海外文学の単行本はけっこう「お!」というものがあり、『ストーナー』や『民のいない神』や『カステラ』や『コレラ時代の愛』などが差し込まれており、お、お、おぉぉぉぉぉ、と楽しく閲覧していると、『2666』が目に止まった。というか、そういう順序で書いているけれども、なんというか、いの一番にあの『2666』は目に止まっていた。感想としては、あwwwるwwwwww、というかんじで、これを買った上でブックオフに売る、というのはどういう手順を経られて成立するのだろうか、しかし、いやしかし、と思い価格を見ると5010円(税込)とあった。もともと7560円(税込)というものだからもちろん安い、というか十分安い。なおかつ、新年のセールで全品20%オフ、ということが、棚に設置された垂れ幕と店内放送で盛んに喧伝されていた。つまるところ、大体4000円。安い、明らかに安い。しかし、ぼくは新刊書店を営んでおり、古本自体はよく買っているものの、マイルールとして「100円棚」か「絶版本」で、というものを課している部分がある。もちろん『2666』はまだ現役、新刊で買える。このマイルールを破ってここで買うべきものであろうか。だが、こんな状況でもなければ『2666』を買わないのではないか、いわんや、買われなかったとして、今度『2666』を買って読もうと思うタイミングが訪れることはあるのだろうか。いやまて、仮に、仮に僕がここで『2666』を確保してしまったとして、これから来る「ブックオフに『2666』あるwwww」みたいなお客さんの出会いや購入の機会の妨げになってしまうのではないか、そんなことがこれから川崎のブックオフで起こるだろうか、いや、起こらないとは言えない、なぜならここに『2666』が収められているのだから、いや、だが、しかし、ほしいが、しかし、しかし……。
買った。
嬉しい。これからちょっとづつ、丁寧に読んでいきたい。嬉しい。購入の喜び。これから、誰に何を気兼ねすることなく、自由に『2666』を読むことができる権利の取得。つまりは喜び。いい年だ、すでに、今年は。
川崎での用を終え帰宅し、早速本が開かれた。体が物語を欲している気配に正直に、ここは『2666』か、いや、しかしこれを年末年始のこれからの休みで読み切れる、ということはぼくのペースを考えるとありえない、ので、持ち運ぶのが辛い程度に大きくて物語でぼくのこころを満たしてくれそうなもの、ということで『零號琴』が開かれた。なんだか、街全体で音楽を奏でる、というような話であるようだった。
2019年1月2日(水)
起床、即、箱根。箱根駅伝はいつも朝早くに起きられないので1区の後半から見始めることになるのだけれども、今年も案の定そのようになり、中継をつけると、一区の一位集団がバラけるはじめる、というところだった。相方とのチャンネル争いが発生しそうなTV番組のスケジュールであったため、webで箱根を閲覧できるものはないかと探したところ、公式がライブ配信してくださっているようだったのでそちらに移行した。CMも入れてくださるそうだ。毎年箱根のCMは楽しみなのでそれもありがたかったし、なんと大人エレベーターが田中将大さんだったので、たいへん楽しんだ。将大さん、もう30歳なのだな、と思った。「ケーキ屋さん」。主に田中将大さんと、星野源さんと、設楽啓太さんと、あとなんか、黄色い人、をたくさん見た。
そこで箱根を見ながら延々と取次の入金確認と確定申告の準備をしていた。マラソンは、作業しながら見るにはちょうど良すぎる最良のTVコンテンツということが分かったほど、違和感なく作業が進んだ。毎年の確定申告は2〜3月に深夜ラジオを聞きながら行う、ということが定例化しているのだけれど、今年は箱根であらかた落ち着くかもしれない、というか、落ち着いてくれ頼むから。
箱根が終わったのち、『零號琴』。
2019年1月3日(木)
起床、即、箱根。スタートの号砲が聞ける時間に起きれるのは、健康な正月を過ごしている証拠で、体が喜んでいるはずだと、喜んだ。コーヒーを入れながら、箱根。洗濯をしながら、箱根。未入力の伝票を経理ソフトに入力しながら、箱根。箱根箱根箱根箱根、東海大学!
楽しみ終わる。箱根が終わると、もうお正月は終わり、という気がずっとしていて、よーし気合を入れていつもの生活をするぞ、というマインドセットが行われる。
よし。
行われたので、すぐさまHABに赴き、年末にやり残した棚卸しに取り掛かった。毎回年内最終営業日のあとにやりたい、という気持ちだけは抱えているがわりとほかの日に伸ばしがち、で、今回もそのように伸ばされた。が、いまやっておかないとのちのち後悔するのは目に見えている。5日には2019年最初の営業が始まってしまうということもあり、今日明日中にやる必要にかられていた。ので、始めたい。
PCとバーコードリーダーを準備して、エクセルを立ち上げる。立ち上げたエクセルにバーコードリーダーで延々のISBNコードを読み込んで入力していく。ISBNがない本は手元の紙に値段をメモする。ざっくり、取次仕入れ分と直仕入れ分をわける。それを延々やりながらお店を一周する。あとでブクログにISBN経由で商品登録を行い、そのデータを再度エクスポートすると書誌データ、具体的には本体価格付きのデータが抽出できるので、それに、取次、直それぞれそれっぽい仕入れ掛け率を掛けて、それっぽい仕入れ値にする。ブクログは気がついたら、価格データをAmazonから引っ張ってくるようになった、や、まえからそうなのかもしれないけれどなっているので、Amazonで品切れになっている本は中古価格などが反映されてしまう、のでこの方法では大変難儀しているのだけれど、まぁそれは一旦しょうがないと思いつつ、分かる範囲でそれっぽくなおして、良しとしている。まぁまぁ、それっぽい数字がでれば、まぁ、税務調査などされたことがないので、多分ダメなんだけれど、個人でできる範囲としてはそこそこ誠実なのでは、と思いやっている。が、実際に、いまバーコードスキャンが終わったところで、かなり疲弊しているにもかかわらず、これからの工程を書き出したらまだまだ長かったので、辟易している。書くことによって。しかし、どうもまた今年も在庫が増えているようで、そりゃあ貯金もたまらないよな、と実感して、辟易している。土日祝日しか開けないのだから、すぐ新刊を仕入れてもあまり売れないが、仕入れないと売り場がだめになっていく気がするし、かといって返品もあまり出したくない、となると在庫が貯まるのは必然といえば必然で、実際には何冊あるんだろうか、手書きしたメモを入れてみないとわからない、ので、この在庫数をちゃんと把握する、というのを今後のモチベーションにでもして、作業をやり抜こうか。ナイスアイデア。やり抜こう。が、今日はもう疲弊して辟易もしたので、本を読んで寝たい。
ひきつづき『零號琴』を少し。めっぽうおもしろいが、箱根と棚卸しでそんなに読む時間は取れていない。正月に読むぞ! と思っているとついつい何ページまで来たか、を気にしてしまって、こちらも辟易する。浅はか、と思うし、そのように急かされて本は読みたくないのだけれど、そもそも本が物理的なものでページ数の厚みがある、ということは常に物理的に残りページ数が視認されているはずなので、どこまで意識するか、程度の問題であるだけなのかもしれない。まだ三分の一くらい。具体的なページ数より、この「三分の一くらい」という表現のほうが、浅ましさがちょっと緩和される気がする。いいかもしれない。なるべく早く、半分くらい、まではいきたい。
2019年1月4日(金)
この三日間は比較的出不精であったし、一人で好きに過ごしすぎたところがあったので、相方と出かけることにして、しかし近場でまたしても蔵前、シエロイリオでランチを食べ、浅草の浅草寺にお参りした。浅草寺では毎回おみくじを引いて、過去はみんな凶がでているので今回はどうか、と思い引くと凶で、これはこれでもう、そういう儀式みたいで、厳かにおみくじを結んだ。再び蔵前に移動して、コフィノワで休憩、と思いきや混んでいたので移動してCAMERA。も、混んでいて、それでしかたなくでテイクアウトして店で飲もうかと思っていると、カウンターがいま空くので少し待っていただければ、よければどうぞ、と丁寧に案内してくださってそれで座って人心地して、本を読んでいた。ありがたい。
そこから、友人と待ち合わせをしていたので相方と別れて新宿へ向かう。いつもの都営線で本を読み、待ち合わせの時間まで間があったのでプロント、昼からでもビールが飲めて作業も出来るのでどこにいても重宝しているプロントで、ビールを飲みながら日記を書いて本を読んで待つ。比較的今日は本を読めていて嬉しいなと思うと、友人が訪れ、ご飯をたべて、ラブライブ!の映画を見に行った。
ラブライブ!。ただならぬ感情を抱えたラブライブ!を、どのような気持ちで見ればいいのか、わかりかねたまま見ると、それはしっかりと物語を閉じるもので、中途半端で、過剰な商業主義が見え隠れした2期に比べて、とてもしっかりと作る、というか、ちゃんと終わらせるぞ、2期でやり残したテーマを描くぞ、ということが見て取れて、よかったな、こういうかたちで作品になってよかった。と一人で満足して、終わったあと友人にそのように伝えると、彼はイマイチだったと、ぜんぜんダメであると、見る前はどちらかというとぼくよりも2期を好意的に捉えていたはずの友人がそう言うので、伝える・受け止めるというのはたいへん、難しいものだなと思うし、多くの人に好かれることは難しく奇跡的で、誰にでも好かれることなんか出来ないし、好かれたくもないけれども、幾人か、限りある人には好かれたいと思うし、そのあわい、バランスが保たれていることもまた多くの人に好かれるのと同じようにとても貴重なことなんだろう。明日は、やっと店を開ける。
2019年1月5日(土)
昨日断念したコフィノワに、今日はやっぱり行きたいねとなったので、2人で蔵前に向かう。11時ごろに入るととても繁盛しており、忙しそうに働いていらっしゃったものの、新年の挨拶や快い会話がなされており、それはとても好ましいことだなぁと素直に思う。コーヒーとパン。ハニートーストを頼んだところ、これはおいしい、おいしいペリカンのパンに、おいしい塩気のあるバターと、おいしいはちみつで、おいしいものにおいしいものをかけあわせたらおいしいものになる、というごくごく自然な奇跡を思った。
店を開く。二週間ぶりのオープンで、対外的にはしごと始め、となる。先日の棚卸しで乱れた棚を片付け、メールの返信、出荷の作業、入金チェックなどを勤勉に行う。こういう新しい仕組みのアイデアで本屋をやりたいんですけどどうですかね? というご質問をいただき、すぐぼくは具体的な制度やシステムのことを考えてしまうので、あー、なるほど、それならこういう形でこうするのはどうです? 確か中国で、日本だと、こういう事例が、だとするとこの制度に気をつけたほうが、などなどお話する。したあとで、で、面白そうですけれど、その本屋の仕組みはだれをどう幸せにするんでしょう? と問うた。
別の方で、半年か1年ほどまえに前に来てくださり、沖縄の本屋をご紹介した方が、実際に沖縄に行ってその本屋にも行きましたよとご報告に来てくださり、うれしいなありがたいな、幸せだなと思う。本とか、お客さんが、ということではなく、ぼくが幸せだ、ということなのだけれど。閉店間際、昨年末に依頼した、なんかこれよさそう、なアイデアのための打ち合わせを店で行い楽しい感じにまとめることができた。このことについて考えている間は楽しい感じになれるので、とても楽しい。
大掃除で発掘された『君に届け』を、読んでしまいたいという気持ちで読み始めた。それはもうずっと、買って読んでいたもので、でもどこからだろう、まとめてみたら26巻。26巻まで買って止めてしまっていたもので、最後のほうは買っても読んでいなかったのでたぶん20巻くらいまでしか読んでいないそれを、これは完結巻まで買って読み切ってしまおうと、たぶんこのへんまで読んだ、という巻から読み始めたらぜんぜん、ぜんぜん覚えていなくて、なんか、あれだ、このタレ目とあやねちゃんが付き合って、で、別れたっけ? 別れそう? な感じで? 真田くんとはくっついたんだったけか? あれ? と迷子になったのおとなしく最初から読み返していくことにした。風早くんは最初の方、ひたすらキラキラしているな、と思う。
2019年1月6日(日)
昨日に引き続きオープン。もうずっと普段どおりという感じが戻ってきて安心する。しごと、というか、休みの間に、これやりたいなー、とおもったことがいろいろ溜まっていて、どなたかへお願いや連絡をしないといけないものを、年末年始に連絡すると悪いよなぁ、とおもってたくさんためていて、それでもう、6日、いけるだろう、とさまざまメールを飛ばしている。その中には、けっこうな数の仕入れ、リトルプレスの仕入れのお願いというのが含まれていて、今日の発注数は、今日の売上数より多い、という不思議な状況になって、それで驚愕していると、ほかにも直納品に来ていただきお話したり、年末年始でためていた荷物なども届いたりして、大量に積み上がった本とこれから届く本の総数は、いったいいつ売り切れるんだろう、というものになっていった。いつ売り切れるんだろう。
店をオープンして、本を売ったのに在庫が増える、という営業が行われたあと、webショップをオープンするための下準備、というか、世の中のwebショップ設立サービスの比較検討会議、を一人で楽しく行うことにした。いくらなんでも売れなさすぎる、というのは店のシビアな悩みで、いやー、土日祝オープンだし、こんなもんでしょ、と思いつつ、こんなもん、は本当に微々たるもので、本を売る、という、世界への貢献の度合いがひどく低いなというのが気になっていて、しかしではwebで売れるのかという気もするのだけれど、Amazon経由でたくさん手数料をお客さんからも、ぼくからも徴収されつつ買う、売る、というのは健全ではない気がしたので自分で始めることにした。とはいえ、なるべく、卸売もしているので、なんというか、卸売本はぼくからではなく、他のお店で、あるいはそのお店のwebで、買っていただきたかったため、そのへんの広告機能も果たせるようなものが欲しかったし、ぼくがぼくを納得させるための「始める理由」も欲しかった。それはなんか、楽しい感じで結論を得ることができたので良しとして、それで、いろんなサイトを見て、STORESやらBASEから初めて、ひたすら機能と、利用料、を一覧表にする作業をして、それでそれぞれの条件のポイント、売上別の損益分岐点をつくっていく作業を延々とやって、それでひとまずSTORESか、カラーミーがいいのではないか、というような暫定的な結論を得たので、満足した。
『君に届け』。風早くんがどんどんめんどくさい男になっていくが、でもこの子、高校生なのだよなぁと思うと、できた子なような気がしてくる。26巻まで読み切ってしまって、それで続きは明日買いに行くことにして夜更かししながら寝る。
#READING 『君に届け』(椎名軽穂、集英社)
#READING 『零號琴』(飛浩隆、早川書房)
#READING 『ゆたかな社会 完全版』(ガルブレイス、岩波書店)
#READING 『2666』(ロベルト・ボラーニョ、白水社)*未読