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カシワバゴムノキ
2022年の冬に新小岩のグリーンショップで、カシワバゴムノキという種類の観葉植物を購入した。元々、フィカスベンガレンシスという種類を購入するつもりだったが、店でカシワバゴムノキの佇まいが「いい」と思った。いろんな店でいろんなお店でフィカスを観てたのにである。
フィカスに比べてカシワバゴムノキは、侘び寂びがきいている。木の表面は茶色っぽくてカサカサで、葉は少し縮れている。ただこの侘び寂びの感じが古い家にはしっくりくる。鉢は銅のような釉薬が塗られているものを購入して、少し艶を取り入れた。
家に着いてまもなくするうち、一枚ずつ葉が落ちるようになった。朝起きたら何枚も葉が落ちたときはとても不安になった。でもカシワバゴムノキは当然ながら何も言ってくれない。葉が落ちる所作に、こちら側が何かを感じていく。葉が落ちることをただ受け止めることだけしかできないまま、季節は過ぎた。
今はちょうど秋に差し掛かっている。半年以上は過ぎた。何も言わないが、葉は生まれ変わっていて、新芽がやわらかい。背丈は伸びて、もう少しで天井につきそうだ。この前、土を触ったら、カッサカサだった。喉乾いてると思って、2リットルのペットボトルに水を入れて、土に撒いた。
また冬になると、葉を落とすのであろう。葉は光合成をして栄養にするけど、葉があることはエネルギーを使う。冬の日光量では十分に光合成できない。葉を維持するためのエネルギーだけが奪われてしまう。維持できないから、葉を落とす。葉を落とすのは枯れるのではなく、生きるためにエネルギーを最適化している。2年目になってくること、理解ができてくる。
おもしろいのは、手にかけようとしたときに、植物の変化に気づくのである。文書に書こうとした瞬間に、目の前の解像度が上がることに似ている。
正直全く変化のないインテリア植物に感じる時もある。そういう時は何も見えない。でも手をかけると、葉のやわらかさや新芽に気づき、植物の気持ちを理解することができる。
何も言わなくても。