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トリパイタン塩
彼は無性にラーメンが食べたくなった。Googleマップで近くのラーメン屋を探す。聞いたことない名前のラーメン屋がある。こんなところにラーメン屋あっただろうか。口コミでは「オーマイゴット」と書かれている。神様出てくるくらい美味しいのか。それは言ってみるしかない。
壁にペンギンの絵が描かれたカメラ屋の路地を入る。地元に住んで長いけど、この路地に入ったことがなかった。確かにラーメン屋があった。モルタルでできたシンプルなお店で、「ト」という看板がトレードマークだ。中には胡蝶蘭が飾ってある。最近、オープンした店らしい。
自動券売機でトリパイタン塩を頼む。鶏白湯と漢字で書くらしいが読めない。カタカナで書いてくれている。カウンターに座って、食券を筋肉質のスタッフに渡す。店内はjazzyなhiphopが流れている。
ラーメンが出てくる。白濁としたスープに、牛蒡の揚げた香り、トロッとした卵、みじん切りした紫玉ねぎ、ネギ、少し焦げた豚チャーシュー、彩りが豊かだ。彼はまずレンゲでスープをすする。
コクがあって美味しい。白濁としたスープは、一風堂の豚骨ラーメンを思い出した。店長に、これは豚骨ですか?と聞く。店長にこれは鶏なんですと教えてくれた。店名はトリオで、トリパイタン(鶏白湯)を頼んでるのに、豚骨ですか?と聞いてしまう彼は天然だ。
少し豚の背脂を足して、乳化させてるらしい。背脂を足すと乳化するの?そもそも乳化ってなんだっけ?「乳化」って理科の授業で聞いたことあるけど思い出せない。それより「入荷」の方がよく耳にする。
店長に聞くと、乳化とは「水と油が溶け合った状態」だそう。どっかで聞いたことある。マヨネーズや牛乳とかも乳化している。店長はカナダのトロントでもラーメン屋を出していて、向こうは宗教上の理由で豚は出せないから、鶏白湯を出していて、背脂もいれずにコツコツ乳化させているらしい。
乳化のメカニズムがわからないのが、とにかく背脂を入れるより手間がかかるということだけはわかった。
乳化のことがよくわからなくても、美味しいので是非いってみてほしい。オーマイゴット!