投資失敗時に観るべき映画③ 「生きとし生けるもの」
厳密には映画ではありませんが、テレビ東京の「開局60周年特別企画ドラマスペシャル」という形で製作されたものです。
私はNetflixで見ましたが、配信サービス等で視聴することができると思います。
あらすじは上記のように紹介されていて、確かにそのとおりなのですが、このドラマの魅力を文章で表すのはとても難しいと感じています。
ドラマを見終わってから知ったのですが、主役の渡辺謙さん自身も、89年に急性骨髄性白血病、16年に早期の胃がんと、大きな病気を患った経験があったそうです。
また、原作の脚本を書いた北川悦吏子さんも、難病の「炎症性腸疾患」を経験されています。大きな病気を患った当事者だからこそ、作り物ではないリアルな感覚を映像に吹き込めたのだと感じました。
序盤からどんどんとストーリーが進展していく形なので、あまりネタバレのような紹介はしません。でも、余命宣告された患者である渡辺謙さんのセリフや表情を見ていると、自分が病気になった時にはこういう感覚になるんだろうなあというリアルな追体験ができます。
病院食ばかりを食べていた渡辺謙さんが、バーベキューで焼き立てのウィンナーを食べるシーンがあります。表面がカリカリに焼かれて、皮が破れる音が聞こえて、見た目にも本当に美味しそうです。
「食いもんが生きてる。
病院のメシは死んでるとは言わないけど、悲しくなるぜ。」
自分も大きな病気になってしまった時に、一度でもいいからこういうウィンナーを食べたいなあと心の底から思いました。
でも、ふと思えば、今ならいつでも食べられるんですよね。フライパンで焼いたウィンナーだってとても美味しいですが、キャンプ場で炭火を使って焼いたウィンナーを食べるのが最高ですね。確かに、少々の準備が要ります。でも、ちょっと思い立てば、いつだってそのウィンナーが食べられるんです。
そういうことだって、めちゃめちゃ幸せなことなんだよなあと実感したのです。
投資に失敗したとしても、自分には十分に健康な体が残っている。
美味しいものを食べるという幸せを、毎日満喫することもできる。
そういう風に現実を捉え直すと、自分の置かれた状況を正確かつ客観的に捉え直すことができると感じたのです。
健康な人は、健康のありがたみに気付きません。
安全な環境に暮らしている人は、安全のありがたみに気付きません。
食べ物に困らない生活をしている人は、食べ物のありがたみに気付きません。
全て、そうです。私たちは、様々な観点での幸せが高度に重なり合った状態になっているのに、そのありがたさに気付いていないのです。そして、何か1つの幸せを失うと、自分が不幸のドン底にいるかのように錯覚してしまうのです。
でも、決してそうではありません。自分を遠くから、客観的に見つめ直してください。
そのためにとても有効なのが、こういうリアルな追体験ができる映画なのだと思います。