64. 白化したサンゴは必ずしも死んでいる訳ではない!?生死を決める新たな要因とは!?
みなさんこんにちは。
最近はニュースで海に関してどんなことが取り上げられているか気になっちゃって色々調べている羽原です。
ということで、今日気になったのは、
「実は白くなったサンゴは必ずしも死んでいるわけではない!?」
ということです。
この研究は「自然科学研究機構 基礎生物学研究所、総合研究大学院大学」によって行われました。
サンゴってそもそも白くなる!?
知っている人も多いかと思いますが、実はサンゴは死んだら白くなります。
近年、地球の温暖化による海水温の上昇で、サンゴ礁の生態系の崩壊が世界規模で起こっていますが、その主な要因がサンゴの白化です。
白化は、高温のストレスによりサンゴが共生する藻類を失うことで起こり、過去30年の間で、世界規模の度重なる白化によって多くのサンゴが失われています。
地球温暖化が進むことで、さらに白化の規模や頻度が増えると予想されており、対策が必要です。
白くなったサンゴが死んだという訳ではない!?
ただ、白化したサンゴは死滅したのかというとそういう訳ではありません。
実際には、白化したサンゴは共生する藻類を失っただけで、サンゴ自体は生きているそうです。
なので、白化しても生きている間に海水温が下がり、藻類を再共生させることで、白化から回復することができます。
しかし、大規模白化の後に多くのサンゴが死滅する事例が多く、白化からの回復は容易には起こらず、その理由も分からなかったようです。
サンゴの白化からの回復がなぜ容易ではないのか?
今回の研究では、実験室内ではサンゴの観察や維持が難しいため、サンゴと近縁で同じ藻類と共生関係を構築するモデル生物のセイタカイソギンチャクを用いて実験を行ったそうです。
実験によると、高温のストレスを一度受けると、共生藻の共生能力が下がります。
白化からの回復には、海水中やサンゴやイソギンチャクの体内に残った共生藻が利用されるのですが、海水中でもサンゴに共生している時にも、高温ストレスを一度受けると、共生藻の共生能力が低下することが分かりました。
さらに、高温ストレスを受ける時間が長くなると、共生能力の回復も時間がかかることが分かりました。
そのため、高温ストレスがなくなった後でも、藻類の共生能力が下がったままのため、白化からの回復が遅れてしまうようです。
ただし、同様の高温ストレス後でも、共生能力を失わない共生藻類も今回見つかったそうです。
そのため、利用可能な藻類のタイプで白化からの回復能力も変わってくることが分かりました。
今回の研究で今後期待されること
地球温暖化により海水温が上昇しており、サンゴの白化や死滅につながっていますが、その解決策はまだ見つかっていません。
今回、高温ストレスによる藻類の共生能力が下がることにより、サンゴの白化からの回復を遅らせ、死滅する要因だということが分かりました。
また、種類によっては、利用できる共生藻が違うため、白化からの回復力も異なることが分かったようです。
これは、高温ストレスにより藻類の共生能力の低下を抑えることで、白化したサンゴの死滅を防ぐことができる可能性があります。
まとめ
今回は、サンゴが海水の温度からどう守っていくのかの可能性を広げる記事について紹介しました。
研究の内容もそうですが、それについて様々な知見から方法を探っていけるのはいいことですよね。
僕も僕にできることからやっていこうと思います。
それではまたどこかで。