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突然のバックハグ。



短い短いエッセイを書きました。日記のようなものですどうぞ。


夫の料理

日曜日。わたしのリクエストに応えて、夫が焼きうどんを作ってくれることになった。少し前には焼きそば、先日は野菜炒めを作ってくれた実績がある。野菜を切り始めて直後、夫は「あれ〜玉ねぎを薄く切るのってどうやるんだっけ」と聞いてきた。またか。夫は、焼きそばのときも、野菜炒めのときも、「玉ねぎの切り方がわからない」とわたしをキッチンに呼びつけるのだが、それが決まってこのタイミングなのである。

永沢くんで言うと、顔の鼻から下

夫の初手は毎回横切り。必ず一度この状態にしてから、「あれ、切り方がわからなくなったな。薄切りってどうやるんだっけなぁ。あ、最初は縦に切ればよかったかなあ」と言ってくる。オニオンリングか焼肉を目指した方がよさそうだと思いながら、ここから薄切りにする方法を伝えて、おいしい焼きうどんが完成した。


今年初の苺

最近節約をしたし買ってもいいんじゃないか、旬をたのしむのが大人ってもんだしな、夫とふたりで分け合えばいいし、いや、だけどなんでもない平日にちょっと贅沢すぎやしないか、と3分くらいスーパーの苺が売り場の前でうろうろして、まだ決めかねている手でパックを持ってみた瞬間、ころころころ、とパックの中から苺がひとつ転がり落ちた。わたしは責任を取る形で、今年初の苺を買って食べた。責任を持ってひとりで全部食べた。


突然のバックハグ

この話を、もしラブラブなのろけ話と感じる方がいらっしゃったら申し訳ないのだが、先日わたしが急いで皿洗いをしていたところに、同じく急ぎで手を洗いたい夫がどたばたとやって来た。わたしが水道の蛇口の前から動こうとしないもんだから、どうしても今すぐ手を洗いたい夫はわたしの背後から両手を回して、手を洗い始めた。なんだこれ、まるでバックハグのようではないか。珍しいシチュエーションにやや動揺するわたし。そのとき夫が「こういうのなんて言うんだっけ」と聞いてきたので、「バックハグでしょう」と小っ恥ずかしさを感じながら教えてあげると、「いや違う。えーっと…」夫はその場を離れながら、「思い出した!二人羽織だ!」と目を丸くして言った。

妻の脳内
夫の脳内


おわり

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望月
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