理学療法の手技って色々あるけどまずは1つのコンセプトを極めた方がいいと思います
こんにちは。
前回に引き続き、徒手理学療法についてお話していきます。
前回の記事を見ていない方は、是非こちらをご覧になってください。
今回からは徒手理学療法についてコンセプト毎にご紹介します。
コンセプトもたくさんあるので数回に分けながらお話していきますね。
私も全てのコンセプトについて学んで網羅している訳ではありませんので、知っている限りで簡単にご説明していきます。
また、書籍やセミナーなど、どうやって学ぶことができるかの情報もざっくりとシェアしていきます。
今日は2つのコンセプトについてお話していきます。
① Nordic system(Kaltenborn-Evjenth concept)
②Maitland concept
どちらも運動器に由来する症状や障害を解決するための包括的なコンセプトです。
①Nordic system(Kaltenborn-Evjenth concept)
日本で徒手理学療法というと、1番有名なコンセプトなのではないでしょうか。
ノルウェーの理学療法士、Freddy KaltenbornとOlaf Evjenthによって体系化されてきた世界的にもよく知られているコンセプトです。
関節や軟部組織モビライゼーションなど多彩な治療手技に着目されがちですが、コンセプトの根幹は多項目にわたる緻密な評価の元、症状の原因を突き止めて治療を行う過程(クリニカルリーズニング)にあるのではないでしょうか。
解剖・運動学的な理論の元、四肢・脊椎の問題に対して様々な手技を用いながらアプローチしていきます。
関節には凹凸の法則に則ってモビライゼーションを行います。
関節面に対して3段階のグレードでtraction(牽引)、glide(滑り)、compression(圧迫)を加えて治療を行います。
筋を含めた軟部組織に対しては、ストレッチやマッサージなどを用い、最終的には正常な関節運動がなされるよう協調的なエクササイズを実施するところまでが評価〜治療までの流れになっています。
と、文字だけみても徒手理学療法に触れたことがない方にとっては難しいですよね。
こちらの書籍でコンセプトの考え方や手技の一部を知ることができます。
また、日本運動器徒手理学療法学会や日本理学療法士協会などでも講習会を開催しておりますので、興味のある方(PT限定ですが)は受講してみてはいかがでしょうか。
特に日本運動器徒手理学療法学会のコースでは、OMPT(運動器徒手理学療法士)という資格を取得することができます。
OMPTは運動器や徒手理学療法のスペシャリストという位置付けであり、世界的にも認められています。
日本においてそのメリットを感じることは少ないですが、OMPTの取得が開業や収入に直結する国もあります。
ある国ではオリンピック選手に帯同するメディカルスタッフにOMPTを指名するほど権威がある資格のようです。(昔、何かの研修会でOMPTを持っている先生がおっしゃってました)
②Maitland concept
オーストラリアの理学療法士、Jeoffrey D Maitlandが考案したコンセプトです。
こちらも世界的に大変有名な治療体系で、オーストラリアの理学療法養成大学および大学院プログラムに取り入れられていることから、Australian approach とも呼ばれることがあります。
細かい振幅を利用した関節モビライゼーションが有名ですが、それはあくまで治療手技の一部に過ぎません。
というか、書籍においてMaitland先生は「特定の手技はない」とおっしゃっています。
Maitland conceptもクリニカルリーズニングを重視しており、特に初回の問診には20分以上時間をかけるほど情報収集を丁寧に行っています。
問診を中心とした主観的検査、自動及び他動運動などの客観的な評価の後、治療を行っていきますが、それぞれの過程においてクリニカルリーズニングを行っています。
また、評価においては脊椎1つ1つの可動性を確認して原因を見つけていく手技がありますが、習得はめちゃくちゃ難しいです。
正しく手技を身につけることができれば、脊椎の動きを細かく捉えて問題点を見つけ出すことができる大きな武器になるでしょう。
日本では、Maitland conceptを学ばれた先生方が単発で講習会を開いているみたいですが、体系的に学ぶことができるコースはありません。
Maitland conceptを体系的に学びたい場合、オーストラリアの大学院に入学するか、IMTA(ヨーロッパを中心にコースを開催している組織)やMAPS(アメリカでコースを開催している組織)のコースを受講する必要があります。
ちなみに私が初めて触れた徒手理学療法のコンセプトでもあり、将来的には海外で体系的にちゃんとマスターしたいと考えています。
同じ志を持っている方、大募集中です⭐︎
一緒に勉強しましょう♪
書籍では、以下の2冊が有名です。
この2冊では手技はもちろん、クリニカルリーズニングや問診についてめちゃくちゃ細かく説明されており、大変勉強になります。
運動器疾患に拘らず、理学療法士なら一読しておいて絶対に損はない良書かと思います!
もっとたくさん紹介したいのですが、今日はここまで。
次回は他のコンセプト(多分2つくらい)についてお話していきますね。
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