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打ち上げ花火に振り向いた

アイドルグループ でんぱ組.inc が今日、2025年1月5日、16年の歴史に幕を下ろし“エンディング”を迎えた。
昨日は大喜利の友達と、幕張メッセで行われた2days公演「でんぱ組.inc THE ENDING『宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!』」の初日に行ってきた。
ライブの内容については書き足りないくらい話したいことがあるけれど……、終盤の『あした地球がこなごなになっても』〜アンコールの『ORANGE RIUM』でボロ泣きしてしまった!
『ORANGE RIUM』の曲中には、ライブを見届けに来た歴代メンバーの紹介があり、それと合わせて、脱退時期の関係で行われることのなかった最上もがさんの卒業式が8年越しに行われた。
本人が初めて落ちサビのソロパートをもらった思い出の曲で本人が歌っていて、夢かと思うくらい感動した……。
もちろん最後の最後の公演も見たかったけれど、この日に居合わせられたことこそが自分にとって大きかった。
偶然が重なり生まれた機会、本当に行けてよかった(各Aさん、くま骸さん、誘ってくれて本当にありがとう😭)


以前の記事でも触れたことがあるのだが、僕はおもに大学生のときでんぱにハマっていた。
2014年、2年生の冬頃、YouTubeの広告で見かけてMVを見てみたのがきっかけで気になり、試験勉強やレポートの執筆をしながら『サクラあっぱれーしょん』や『でんでんぱっしょん』あたりから曲を聴き漁っていたのを覚えている。
初めて生でパフォーマンスを見たのは、2016年に「WWDBEST」というベストアルバムが発売された際、リリースイベントのフリーライブが開催されたときだった。
ちょうど8年前、2017年1月には大学の友達と一緒に、今回と同じく幕張メッセへライブを見に行き、紫色のペンライトを振り回していた。
2月には最上もがさんの生誕イベントに初めて足を運んだ(ちなみに全然最近も行っている)。

写真下手くそ(2017年1月8日)
去年の生誕イベント(2024年2月24日)

2017年8月にもがさんが脱退してからは、ワンマンライブに足を運ぶほどは熱心にグループをウォッチすることはなくなってしまった。
もっぱら追いかけるアイドルグループが他にできてしまったからでもある。それもでんぱきっかけみたいなものだけれど……。
ライブに行き慣れる前に離れてしまったのは、今思うととても悔やまれる。
とはいえ、そのグループが出演したフェスなどにでんぱがいれば見に行ったし(だいたい1年に1回程度は見る機会があった)、メンバーの増減などの動向くらいはもちろん追っていた。


もともとアイドル自体は好きだったけれど、ライブやイベントに足を運ぶようになったグループは初めてだったし、でんぱ組.incがいなければ今の僕はなかったと思う。
そんなグループがこのたびついに終わりを迎えてしまうので、いろいろな感慨がある。


でんぱ組.incが革新的だったのは、玉屋2060%さんなどによる高BPMの曲調や名前通りの電波感(今やいろいろなグループで見られる)はもちろん、メンバーそれぞれが自身の暗い背景や内向的な性格やオタクという趣味をさらけ出しながら、前を向いて成長していく物語をファンと作り上げていったことだと思う。
W.W.D』や『W.W.D II』(ともに2013年)という楽曲では「マイナスからのスタート」や「狭いステージから世界を目指せ」(W.W.DはWorld Wide Dempaの略)をキーワードに、ノンフィクション/ドキュメンタリー的な演出でその側面を押し出していた。
それなりに重い内容を扱っていながら、それらがグループのテーマ曲のように捉えられていたのがとても印象深い。
そして今回、最新にして最後となる『W.W.D ENDING』という曲で16年の物語が締め括られたのが美しいと思った。

そんな「W.W.D」シリーズに、2016年発売のベストアルバム(前述)に収録された『WWDBEST』という一曲がある。
6名の作詞家、5名の作曲家による共作というユニークな作品で、表題通りそれまでのグループの歩みをぎゅっとまとめた集大成だ。
MVにも6名の監督がいて、いろいろなネタが仕込まれており非常に力が入っている。
リリース当時は何度もリピート再生して聴き入ったし、聴くたびにじーんと感じるものがあった。
(推しメンだった最上もがさんにとってはでんぱ組.incとして最後となった楽曲でもある)

『WWDBEST』の歌い出しに、こんな一節がある。
でんぱオタクならみんな大好きなフレーズだ。

打ち上げ花火に振り向いた 駆け抜けた場所に仕掛けた夢
生きてきたこと意味はあったんだなー
少しだけ自分褒めていいかな?

『WWDBEST』 (2016年)

「打ち上げ花火」という言葉は、グループの活動が大きく花開いていく様子を喩えているのだろう。
必死で走ってきた成果が時を経て次々に結実し、かつての夢が叶っていることに、その反響を通して気づかされる嬉しさと達成感を表現しているのだと僕は解釈している。
いろいろな苦労があるけれど、前を向いて「駆け抜け」る期間が大事なのだ、ということを伝えるメッセージでもある。
リリースから8年余りが過ぎ、その説得力はさらに増している。
この歌詞が当時から今までずっと頭から離れずに残っているし、思い出しては勇気づけられている。


でんぱ組.incが仕掛けた打ち上げ花火に振り向かされるのは、僕のようにグループから少し離れてしまっていた人間も同じだ。
活動が終わりを迎える今になって、自分の人生にとって重要な決断を迫られたあの頃、がむしゃらに頑張る必要があったあの頃に、でんぱ組.incがいて力をくれたことを思い返す。

今まで本当にありがとう、お疲れさまでした。

到達! ハッピーエンディング
しめっぽいとかベタでいやじゃん
ひゅーどろどろどかーん! 花火で終わろ

『W.W.D. ENDING』(2025年)

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