人生初の路上販売
路上販売に興味を持ったのは、あこがれの旅人さんが日本一周しながら写真販売していたのがきっかけだった。
この人がいなかったらできなかった。
そんなアイデアも、勇気も出なかった。
彼の写真を手にとった満面の笑みの人々の姿を見て心がじわじわと動いた感覚があった。
この時は、自分がやりたいなんて思っていなかったし、自分はやらない側・できない側の人間だと思っていた。
自分から声をかけるのは恥ずかしいし、人に見られるのが怖い、そんな自分にはできない…。
2000円
2023年、6月上旬。
自転車で四国一周の真っ最中。
といっても、あと数日で旅が終わるころ。
そんな時期に財布の中は、まさかの2000円。銀行には小銭のみ。
単発バイトに応募するも、落ち続ける始末。
2000円じゃ生きていけない！
どうにも動けずに気持ちだけが焦っていた時、インスタのストーリーで旅人さんが路上販売をしているのを見つけた。
やってみようかなという気持ちと いやいや私には無理！ という気持ちでせめぎ合う。
でも、このまま何もしなかったらお金は無くなって生活ができなくなるだけ。
怖いけどやってみるか…と決意。
四国で撮影した写真や休学中に訪れた地域の写真をあらいざらい見返して、
「これ、いいな…！」とときめいた写真をピックアップ。
写真販売を考えたけど、手紙を書くのが好きだから、ポストカードにした。
今は、スマホで誰とでも連絡できる時代だけど、手書きの文字は機械的な文字よりもあたたかくてその人らしさが出る。
自転車旅をして大好きになった四国や他の地域の風景を知ってもらえるようにという想いを込めて
いよいよ、路上販売の日
愛媛県、松山市、大街道
この日は、朝からずっとそわそわしていた。
ちゃんと声が出せるように路上販売をする前にカラオケへ。大好きなaikoを歌って気持ちと喉のコンディションを整える…！笑
TwitterとInstagramで告知してからいざ…。
邪魔にならないようにシャッターの降りている広いスペースを見つけたのにどうしても座れない。
恥ずかしい。いろんな人に見られる…。
10分くらいうろうろしたけどこんなところで止まっててもしょうがない、なるようになれ！と思い切って座り込み、シートを広げて写真を並べていく。
準備をしているとなんとTwitterのフォロワーさんが声をかけてくれた！
この時は、嬉しさと驚きと緊張でプチパニック（笑）
そして、何より心強い…。
そのおかげで顔をあげてドキドキしながらも こんばんわ～ 自転車で四国一周してます～
と自分から声をかけることができた。
そのあとも仕事帰りのサラリーマン、大学生、フォロワーさんが来てくださりあっという間に2時間が経過。
人生初の路上販売は本当に緊張したけど、あたたかい人に囲まれてとても素敵な時間を過ごせた。
思い切って踏み込んで本当に良かった。
旅中に大切にしたかった人との出会いが、たくさん生まれた。
人のあたたかさに触れて、心が大きく動いた日だった。
路上販売での出会いは一期一会だから、来てくれた人にとって楽しい時間であってほしいし、ちょっとした面白い思い出としてその人の記憶の片隅に残ってくれていたら嬉しい。
これからも素敵な出会いがありますように。