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ライトノベルの賞に応募する(3)

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食事を終えたミワは、朝の子供向けの番組に夢中になっている。僕はその間に朝食の食器を片付け、洗い物を終える。自室に戻り、ランドセルの中身を確認して、サッカーの練習着とソックス、脛あて、スパイクを一つの袋にまとめた。
「ミワ、そろそろ出ないと遅れるよ」
僕はそういってテレビを消した。ミワが愚ずることはそうない。見かけのテレビだって最後まで見たいだろう。それでも僕がランドセルをしょってる姿を見るとミワは立ち上がる。園服の上着を来て、幼稚園カバンを肩にかけちゃんと玄関に向かい、自分で靴を履く。
僕は玄関の鍵を閉め、ミワの手をひいて、幼稚園バスの停留所に向かった。停留所には3人ほどのお母さんがすでに居た。バスが来るまでそこで待っていると学校に遅刻してしまう。
「シュンくんいつも偉いわね」
顔なじみの他の母親が笑顔で声を掛けてくれる。
「申し訳ないのですが、今日もお願いできますか?」
「もちろんよ、学校行ってらっしゃい」
母の代わりに、ミワの友達のお母さんが僕に行ってらっしゃい言ってくれる。
「すみませんが、お願いします」
幼稚園の先生に直接渡すはずの連絡帳を、そのお母さんに託し、僕は学校に向かう。
僕が立ち去ると、後ろで
「あの子も大変ね~」
と、ボリュームをひそめた声で会話が始まっているが、僕にしっかり聞こえる。なんといわれてもいい。ミワは僕にとって大事な妹なのだ。僕が守らなくて誰が守る。僕はそんなことを思いながら、学校への道を急いだ。学校に着くとサッカー仲間がもう泥だらけになっている。授業の前に朝もサッカーをしているのだ。僕はもちろんそれに参加したことはない。
「シュン、昨日のテレビ見た?」
僕はもちろん見てないけど
「ああ」
と生返事をする。見てないと言えばそこで会話が終ってしまうことを知っている。
「アレ最高に笑えたよな」
「そうだね」
と僕は笑顔で返す。
他の級友が話題に入って、テレビの話しで盛り上がっている。
僕はその会話で昨日のテレビの内容を知る。家ではミワのみる子供向け番組しか見ていない。父親の部屋から漏れる、大音量のテレビの音声を別にすれば。
「昨日のユーチューブの更新観た?」
「あれ最高だよな」
会話はユーチューブの話に移行している。僕はもちろん見ていないけど、楽しそうに話す友達の話を、笑いを浮かべたまま、さも知っているようにふるまう。話題に上る芸人やユーチューバーのことは、熱心に見るわけではないけれど、存在だけは知るようにしている。そのくらいしないと、さすがに話題にもついていけない。話題のすべてを知っている必要はないが、あの人の話をしているのだと分かる位にしておけば、話の輪から外れることはない。みんなが笑うタイミングに合わせて、クスクスと笑い、相槌を打っておけば邪険にされることはない。

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