【パーソナルトレーナー】トレイルランナー職業図鑑 #04
アーカイブでシリーズ化しているトレイルランナー職業図鑑 #04は 、矢田夕子さん。
トレイルランニング専門誌『RUN + TRAIL Vol.39』(2019年10月発売号)の第二特集として組まれた「あなたは何している人?」こと、普段の仕事人としての顔に迫るこのシリーズは、"変化球特集"として、そこそこ反響がありました。
トレイルランナーは、ほんの一部のプロをのぞいてほとんどが普通に働く社会人でありながら、知っているようでじつは知らないもの。そこで職場に訪ねて仕事ぷりを特集したものです。
正しいフォームは必携品!
▼怪我ばかりの実業団時代から鍼灸師へ
北海道生まれの矢田夕子さんは2002年、現在のパナソニック(松下通信工業株式会社・当時)に入社し、女子陸上競技部に所属した。つまりバリバリの実業団選手だった。
しかし、怪我ばかりで過ごした実業団時代の経験を生かそうと引退後に学校に通い、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の免許を取得する。
「怪我に苦しんだ現役時代でしたから、怪我に悩むランナーの力になりたいと思ってセカンドキャリアはスタートしました」
シリアスなランナーになればなるほど怪我を抱えている。怪我持ち自慢大会が熱を帯びて居酒屋で繰り広げられるほどだ。しかし、怪我はしないに越したことはない。
「とにかく怪我を持った市民ランナーが多いことに驚きました。でも、気が付いたんです。怪我をしてウチに駆け込んできて、なんとか治療してもまた怪我をする。怪我でマイナスになった身体をプラマイゼロに戻しても、一向にプラスにならないんです」
ジレンマだった。怪我に苦しんだ経験があるからこそ、ランナーの気持ちは十分すぎるほどわかる。「なんとかしたい」という気持ちに応え、治療するも、また怪我をしてしまう。
そこで次なる一歩を踏み出すため、東京都多摩市にトレーニングジム&治療院『TREAT』を夫ともに開院した。
▼キリッとしたS気質
柔和な空気と笑顔を絶やさない夕子さんだが、ひとたびトレーニングが始まると空気は一気に引き締まる。
取材時、お客さんで来ていた櫻井さんは話す。
「以前は、別のパーソナルトレーナーに通っていたんですけど、ふとネットで調べて見つけたのがここ『TREAT』です。僕はトライアスロンをしていて、40歳を過ぎてから特にパフォーマンスの伸び悩みの壁にぶち当たりました」
加齢によるパフォーマンスの低下もランナーあるあるだ。怪我の回復も遅くなり、かつての自分とのギャップに気持ちも晴れない。
「夕子さんはとにかく正しく動かすことを重視します。男って力任せだったり、我流を押し通したりしちゃうじゃないですか。でも、彼女のキリッとしたS気質が僕には合っていると思います(笑)。確実にコアが安定しました」
▼正しく身体を使うことが怪我防止につながる
『TREAT』で行われる櫻井さんにパーソナルトレーニングを行っている夕子さんを見ていて気が付いたことがあった。
トレーニングとは強さ・速さを求めて自分をより高める練習のことだが、彼女のそれはやや違っている気がしたのだ。
「実業団時代の経験から鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師になったわけですが、怪我の原因は過度な練習だけじゃなく、自分の身体を正しく使えないことによることが少なくありません」
夕子さんは一つ一つの動き、特にフォームにこだわる。器具を使ったトレーニングでも強度やスピードよりも正確さを重視しているのは”自分の身体を正しく使わせる”ためだ。
「2時間のパーソナルトレーニングでも、最初と最後では身体の動きが変わります。正しいフォームで動作を行っていくと、しっかり自分を引き出せている感覚も得られますし、同じ動きをしているのに、スムーズな動作になります。
考えてみるとたった2時間程度で急激な筋力アップをしたわけでもないんですよね。筋力強化によってパフォーマンスを向上させたわけではなく、身体の機能を正しく起動させるだけで動きがスムーズになるんです」
▼正しいフォームは必携品
『TREAT』の営業時間は10時〜21時。前後含めると就業時間はなかなか長い。朝ランは週一程度だが、仕事の合間を見つけてはトレーニングを行い、週に2回ほどランニングクラブのコーチをする。
トレーニング理論も日進月歩の世界であり、実業団時代に培った経験が全て通用する時代ではない。アップデートされる情報を日々勉強することも欠かさない。
夕飯は通常22時を回るハードさの中、週末は土曜にセミナーを行ったのちに、日曜にレースを走ることもよくあるそうだが、そこで優勝しちゃうのだから、すごい。
怪我がちだった経験があるからこそ、夕子さんには強い思いがある。それはランニングを生涯スポーツとして楽しんでもらいたいことだ。
「夫も同じトレーナーですが、夫と比べて私の方がピリッとした空気があるみたいです。だからか男性顧客が多いんです(笑)。
仕事も家庭も趣味のランも、男性にとってはどれもアップデートさせていきたいと思うもので、よりハードなトレーニングを志向しがちです。そして怪我をしてしまい、パフォーマンスもモチベーションも低下してしまいます。
正しく自分の身体を動かすこと。正しいフォームは、身体のスイッチを入れ直してパフォーマンスを最大化させる必携品だと思います」
トレーニングジム&治療院『TREAT』
〒206-0002 東京都多摩市一ノ宮2-6-39 IMビル2・3F
最寄駅 : 京王電鉄京王線「聖蹟桜ヶ丘」駅より徒歩4分
<営業時間>
平日:10:00-21:00
土曜: 9:00-20:00
日曜・祝日:9:00-19:00
定休日 : 不定休
<PROGRAMS>
鍼灸マッサージ治療
ランニング測定・分析(RMR測定、VO2MAX測定、機能的動作評価)
パーソナルトレーニング
グループトレーニング
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