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小説「釣り人の悪事」のプロット公開

 KUA文芸コースの有志メンバーで開催されている「文芸実践会」の4回目は小説でして、起承転結の「起」の部分だけ書いて提出しました。
 
 テーマは「悔しいことがあった日の帰り道」でした。

 私は小説を書いたのは1月に書いた学校のレポートが初めてなこともあり不慣れ。プロットを作ってなんとか「起」の部分を書きましたが、文字数制限の1000文字を軽くオーバー。しかたなく、冒頭部分を大幅に削って提出してしまいました。その他、全体的に文字を削ってしまったため元の原型はわからなくなってしまいました・・・

 そんなわけで反省しているわけですが、最後まで書き上げている他のメンバーの方を横目に、最後まで書き上げる時間もスキルもないことに嘆きつつ、削除した冒頭部分を残したものを公開します。

 ついでにプロットも公開します。まだ粗々なんですけどね。  


【起】
(場面)釣りの帰り道→自宅に帰る
(人物)主人公、家族
(感情)かなり悔しい→逃がした魚は悔しいが、それよりもっと悔しい
(事件)魚が釣れなかったから漁師から購入→釣り情報に掲載(嘘の釣果)→釣れずに帰ったことを家族にごまかす

【起の文章】
(削除した冒頭部分)
 
太陽が西に傾いて影を伸ばし始めている皐月の午後。僕は潮風を背にして逃げるように水色の愛車に乗り込み、自宅に向けて車を走らせた。海沿いの砂利道でアクセルを踏み込むと車が大きくガタガタと揺れ、それに釣られて後部座席に置いてあるクーラーボックスが音を立てている。中に入っている少し大振りの魚2匹が車の揺れに反応してクーラーボックスの中で暴れているのだろう。その妙に生々しい生命を感じさせる忌々しい雑音を聞きながら、悔しかった一日を振り返る。

 今日は朝から車で1時間ほどの場所にある、橋でつながる風光明媚な島まで釣りに出掛けた。高校生1年の頃から始めた釣り歴は15年ほどになるが、釣りをしてこんなに悔しい思いをしたことは初めてだ。「逃がした魚は大きい」という言葉はあるが、釣りという行為でそれ以上に悔しい思いをすることがあるなんて知らなかったし、知りたくもなかった。まさか、30㎝近いサイズの尺アジを2枚持ち帰りながらこんな気持ちになるなんて思いもしなかった。

(ここから先の文章で提出)
 朝の5時過ぎに自宅を出発して、7時前には釣りを始めて8時間。エサだけ取って逃げる小さなスズメダイやフグといった釣りの世界で最も厄介な連中の猛攻に会い、全てのエサと仕掛けをロストして一匹の魚を釣ることもできなかった。
 魚が釣れずに防波堤の上で呆然としていた時、一艘の漁船が寄ってきた。船の上から漁師が「カタの良いアジがたくさんおるけぇ売ってやろうか?」と話しかけてきた。普段なら相手にもしないところだったが、自宅を出る前、妻に「今日の晩御飯は魚を釣ってくるから」と話をしたことを思い出し、ついつい漁船に乗り込み魚を買ってしまった。
 漁船の床にある生け簀を泳ぐたくさんのアジ。そのキラキラした魅力的な姿の誘惑に負け、漁師に選んでもらった2匹をクーラーボックスに入れて波止場へと戻った。

 釣具を片付けて、アジを締めてから帰ろうとすると、誰かが近づいてくる。「“月刊釣り野郎”です。釣果を見せていただいてよろしいですか?」と言いながら勝手にクーラーボックスを開けてくる。地元の釣り雑誌の記者だった。
 「へー、良いカタのアジですね!写真撮らせてもらって良いですか?」
 漁師から買ったアジは防波堤で釣ったにしては大きなサイズになる。雑誌記者にまだ動いている魚を渡されて記念写真を撮られる。とんでもなく恥ずかしいが、一度は載ってみたかった雑誌でもあり、そのまま大人しく従うことにした。
 釣った場所、氏名、簡単な居住地など、色々と聞かれたような気がするが、そもそも自分で釣っていないわけだし、あいまいな返事をしたことは覚えている。まだ、色々と聞かれている最中ではあったが、だんだんと後ろめたくなってきたので、「すみません。急ぎますので」と断りを入れて、生きたままのアジをクーラーボックスに放り込んで車へと乗り込んだ。

 魚を買ったこと、雑誌の取材を受けたことに後悔しながら自宅に帰り、妻と二人でアジを塩焼きにして食べた。妻からは「これだけ大きな魚だから釣るの面白かったでしょ?」などと話しかけられた気がするが、適当にうなずいてやり過ごした。

 忌々しい一件を忘れた頃、「月刊釣り野郎」に大きなアジを抱えた自分の写真が写っているのを見ていると玄関のチャイムが鳴った。インターホンに出た。
「海野さんですか?警察です。お話を聞かせていただきたいのですが」
 カメラ越しに険しい顔の警察官が写っている。僕は困惑しながら玄関に向かいドアを開けた。

【承】
(場面)自宅にいたら警察が来訪してきて任意同行
(人物)主人公、家族、警察官
(感情)激しい困惑→自分が行っていない場所での釣果が掲載→潔白を証明できない?
(事件)釣り情報誌に載っている場所で殺人事件発生。実際には釣っていないし場所も違う。その時間帯、本人は別の場所で釣りをしていたがひとりなのでアリバイ無し。

【転】
(場面)警察
(人物)主人公、警察官、漁師
(感情)情けなくて不安な気持ち→買った魚であることを説明するも信じてもらえない
(事件)警察官と一緒に釣り情報を読んでいたら、偶然、魚を購入した漁師の船を見つける→漁師に連絡をして違う場所にいた証言を得てアリバイ成立。後々、犯人は雑誌記者で取材のときに揉めて釣り人を殺害したことがわかる

【結】
(場面)翌日、自宅に帰る
(人物)主人公、警察、家族
(感情)嬉しいが情けない→解放されて嬉しい反面、釣れなかったことを説明するのが情けなくて悔しい
(事件)実は妻に携帯のGPSアプリ仕掛けられていたので、簡単にアリバイ
証明できていた。そのことを聞いて、思い当たることもあって怯えて終わる。妻の掌の上の中で悔しい

【登場人物】
(主人公)当初は数え年42歳本厄の男性と想定したが、書きながら33歳に変更することに。無類の釣り好き。建築設計事務所を経営。優秀なスタッフがいてあまり仕事をせずに釣りばかりしているようだがポイントは押さえている。子供はいない。雰囲気だけは頭が切れるタイプに見えるが抜けたところが多い。

(妻)主人公と大学時代に出会って26歳で結婚。おっとりしているように見えて実は頭の回転が速い。実は主人公を監視(GPS)している。だからタイミングの良い時に電話とかメールをしてきたり、家に帰ったら食事ができている~文章中に伏線を何か所か入れる。

(警察官)釣りが好き。「釣り人に悪人はいない」が口癖。釣り好きな主人公に同情している。温厚な性格で高圧的ではないが、やや決めつけてしまうことが多い。


ストーリーも粗いですし、まだまだ色々と内容を考えないといけないですね。まあ、完成させることは無い予定です。

今回、文芸実践会に参加させていただき、自分で書いてみたり、他の方の文章を読んだり、評を聞いたりして勉強になりました。

みなさまありがとうございました。

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