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決断することはCXOの仕事
経営者は、日々決めなければならないことが沢山ありますが、情報が完璧に揃うことはありません。あらゆる意思決定は、中途半端な情報しか揃わない状況で迫られます。
「もう少し有益な情報があれば、躊躇なく決められるのに」という状況にも関わらず、その選択により企業の方向性、明暗が分かれる意思決定が度々訪れます。
かといって、情報が揃うのを待つわけにはいきません。
いつ揃うのかもわかりませんし、待つことにより、事業スピードが減速してしまいます。意思決定の遅さはスタートアップにとっては致命的です。そもそも一生揃わない可能性もあります。
CXOは決断することを避けられない
企業のボードメンバーはそれぞれ役割がありますが、共通しているのは常に決断を迫られることです。
経営者の間で、よく判断と決断の違いについて語られます。
判断は、断定できる前提条件がある程度揃っている状態で決定することです。揃っている情報により、誰でもほぼ同じ意思決定ができます。決断は、断定できる前提条件が揃っていない状況で決定することです。揃っている情報だけでは、人により意思決定が分かれます。
ある人は止めたほうが良いと言うかもしれませんし、ある人はやったほうが良いと言うかもしれません。例えば、
◯◯の事業をつくりたいから、会社を辞めて起業しようと思う。
と考えたとします。それを色んな人に相談すると、賛同してくれる人、リスクがあるから止めたほうが良いと懸念する人に分かれます。人により様々です。
意見が分かれるのは、未来に対しての情報が不足しているからです。
未来については誰もわかりませんが、経営者はそれを知るためにあらゆる情報の取得を試みます。それは単純にネットで調べるという意味ではなく、定性/定量の情報です。
事象を観察したり、前後の顧客行動を時間軸で可視化したり、過去の検証結果をデータ分析したり。目算するための情報を可能な限り取得します。
それでも、誰もが同じ決定を下せるまでの情報が揃うことはありません。かなり揃ったときでも、確率は8割程です。2割は失敗する可能性がある状況です。100%成功するというラクな状況での意思決定は訪れません。
もしそれ以上確率が上がるまで待つと、もうスタートアップではなくなります。9割まで待つともう手遅れです。
ちなみに孫正義さんは、だいたい「7割」ほどで決断しているそうです。徹底的に裏取りし、勝ち筋を見通すまでかなり戦略を練ることで有名な孫正義さんでさえも、7割しか情報が揃わないのですから、他の企業も意見が分かれる中で決断を迫られるのは必然です。
不確実な状況で意思決定し続けることから、ボードメンバーは逃れることができません。
未来をイメージ
ボードメンバーは決断をするのが仕事です。だからこそ、どうすれば上手く決断できるかを考えます。
メリットもデメリットもある中で、なかなか決断できないことはあります。ではそのようなときにどうするのか。
理想の未来をイメージします。
未来をどうしたいのか?を考えます。このような世界を創りたい。対象としているユーザがこんな風になってほしい。対象領域の理想像を解像度高くイメージできていると、「7割ほどの確率だけど、この方向性の決断は間違っていない」と、今決断しようとしている内容と理想との方向性のズレを確認できます。
それがないと常に点での判断になり、大きな目的とのズレに気づき難くなります。
例えば、車の運転でも、高速道路で前方を見ているから、真っ直ぐ走れます。これがもし車の手前目下の道路ばかりを見ていると、真っ直ぐ走りづらくなりグラグラ運転になります。
直前の目下だけを見ての判断や操作は、目に入る情報がかなり目まぐるしく変わるため、それに泳がされる傾向があります。バランスが取りづらいです。一方、姿勢を正して前方の方向を見ていると、方向性が合わせやすく、目的に向かって難なく真っ直ぐ進めます。
会社の舵取りも、これに似ている部分があります。
一つ一つの意思決定を、近視眼的に単一だけで判断しようとすると、見誤りやすいです。しかし俯瞰した視座で連なりを長期的に捉えながら、目の前のことを時間軸で判断しようとすると、決断しやすいです。
それにより起こり得るデメリットも冷静に算出することができ、リスクを許容できるか否かの判断もできます。
とはいえ、どれだけメリット・デメリットを算出したとしても、決して100%になることはないです。決断の難しさを軽減できるわけではないので、ボードメンバーはこの責任を背負い続けるしかないのです。
その責任は、一緒にやっている仲間が増えるほど、ユーザが増えるほど大きくなります。しかし同時に、喜びも倍増します。責任の大きさは、喜びの大きさでもあります。
どれだけ大変な決断も、仲間やユーザがいるからこそ、乗り越えようという気概が生まれます。また、自分一人で乗り越えられているわけでは決してなく、周りの人の支えにより進められているのが経営者です。
いつもありがとうございます。
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