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アブダビで日本のスーパーフォーミュラ車両を使った自動運転レースが始まる!
ご無沙汰しております。山下と申します。
A2RL (Abu Dhabi Autonomous Racing League)というレースはご存じでしょうか?アラブ⾸⻑国連邦のアブダビで開催される自動運転(自立走行)レースであり、車両はなんと日本のスーパーフォーミュラ車両であるSF23が採用されています。
僕の会社であるVirtual Motorsport Lab (VML) も自動運転レースをしています。規模は全然違いますが、ある意味仲間 or ライバルなので大変興味があります。中身を見ていきましょう!
A2RLとは ?
A2RLは、アブダビの先端技術研究機関であるUAE先進技術研究評議会(ATRC)において、プログラム開発を担う企業ASPIRE社が、⾃律⾛⾏⾞とAIの研究開発を通じて⽴ち上げた中東初の⾃律⾛⾏レースリーグです。上述したように、スーパーフォーミュラ車両のSF23が採用されており、株式会社⽇本レースプロモーション(JRP)とパートナーシップを締結しています[1, 2]。
本リーグの目的については以下のように記載されています。
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とてもざっくり説明すると、「自立走行(自動化)の技術は物凄い速さで進化している。A2RLではスキルを持った科学者やエンジニア、開発者を集めて最新技術をレーシングカーに詰め込んで、究極のスポーツを通してモビリティの未来を再定義するぜ!」って感じです。
また明日4/27(金)は、F1でも使われているヤス・マリーナ・サーキットでSF23を使って初レースを行い、将来的にはドローンやバギーへの展開も想定しているようです。
英語版ですが、4/27レースイベントの紹介動画もあるので添付します。
賞金額は225万ドル(約3.4億円, 150円/$換算)で、今回はアジア、北米、欧州から8チームが参戦する予定です。うーん、やはり中東はお金あります。。
A2RLの自動運転レーシングカーの構成
上述したようにベース車両はSF23であり、ASPIRE社が開発したソフトウェアが提供されています。このベース車両に対して、参戦チームのプログラマーやエンジニアが開発した自律走行ソフトウェアとアルゴリズムを実装していき、その開発技術を競います。
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先ずは自動運転周りのシステム構成ですが、センサとしてはソニー製の高解像度カメラを7個車載して360度をカバー、ZF製のレーダーセンサーを4つ、Seyond製LiDARを3つ搭載しています。これらのセンサー情報を基に自動運転を実現するための計算はNeousys製のコンピュータで実行されています (ex. コース上の先行車両や障害物、また走行経路の計算など)。
自動運転レーシングカーではありますがカメラ、レーダー、LiDARという、自動運転としてはかなりスタンダードなシステム構成だと思います。以前の記事にまとめたので割愛しますが、自動運転タクシーで有名なWaymoも同じ構成でになっています。
自動運転システムの比較としては、電気自動車で有名なTeslaは基本的にカメラだけで自動運転を実現しようとしています。また、自動運転の研究領域では、マルチモーダル化したLLM (大規模言語モデル)を活用する動きもあります。
エンジンは2L 4気筒直噴ターボ(ホンダ製がベース)です。タイヤはスーパーフォーミュラに供給している「ADVAN A005」です[3]。自動運転レースという領域で国内企業の名前があるのはワクワクします。
A2RLの初レース@4/27について
4/27(土)のレースイベントはヤス・マリーナ・サーキットで現地時間19-21時 (日本時間:24-26時) で開催されます。イベントスケジュールですが、Race1では人間 vs AI、Race2ではAI同士の自動運転レースが開催されます。スケジュールを見ると両レースとも45分間なので、比較的スプリントレースだと思います。ちなみにRace1の人間ドライバーは、元F1ドライバーのダニール・クビアトです!
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日本の深夜開始ですが、Youtubeでライブストリーミングするみたいなので、興味ある方は以下から見れます!
他にも自動運転レースはあるのか?
実は、これまでにも自動運転レースは既に開催されています。有名どころは、Indy Autonomous ChallengeとRoboRaceでしょうか?
Indy Autonomous Challenge (IAC) は、毎年CES(米国・ラスベガスで開催される電子機器の展示会)に合わせて開催される自動運転レースです。車体はモータースポーツでもおなじみのダラーラ製の車体に自動運転システムが搭載されています。
RoboRaceは自動運転レースの先駆け的な存在です。Formula Eの前座イベントで走行 (そしてクラッシュ・・w)したことも話題になりました。A2RLやIACとは異なりオリジナルシャシを使っていました。シーズンα/βと試験的なレースイベントを開催していたのですが、本格的なシーズン開始前に活動停止してしまいました。彼らも人間ドライバー vs AIドライバーを試しています。
まとめ
RoboRaceは活動停止してしまいましたが、参加していたミュンヘン工科大学のチームは、紹介したA2RLとIACに参加しています。このチームはIACの優勝経験があったり、RoboRaceのソフトウェアの研究論文を積極的に出していたりレベルが高いです。一方でA2RLのエントリー数は8チームと抑えめです。技術的なレベルが高いことが一つの障壁かもしれません。A2RLのレース開幕をきっかけに、少しずつ盛り上がってくれれば良いなと思います。
読んで頂きありがとうございました!
引用資料
[1] https://a2rl.io/
[2] https://superformula.net/sf3/release/14098/
[3]https://www.y-yokohama.com/release/?id=4280&lang=jp
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