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笑いあり涙あり。傳のクリスマスディナー。
外苑前傳のクリスマスディナーへ。
料理長の長谷川さんはお料理をせずに、普段は厨房で長谷川さんのサポートをしているチーム傳のみんながお料理を作るというスタイル。
国際色豊かなチーム傳のみんなのお料理に、さらには特別ゲストも加わって、今の傳でしか出会うことのできない、楽しいクリスマスディナーになった。
1品目:桜えびとセリのかき揚げ
まさかのかき揚げからスタート。
クリスマスとは全く関係のないように見えるけど、桜えびの赤・セリの緑がクリスマスカラーになっているという遊び心が楽しい。
桜えびの香りがたまらない。
衣は少なめながらもサクサク感はしっかり。
かき揚げはやっぱり、このサクサク感と口に入れた瞬間に広がる素材の香りが命だなー。
2品目:チャプチェ、ナムル
続いては韓国料理。
もっちりチャプチェはすごくシンプルで優しい味。
そしてこのナムルも良かった。やっぱりこれも優しい味でどんどん食べちゃう。ちなみに、一番右のキュウリに見える食材はズッキーニ!
ズッキーニのナムルって美味しい!
でも……クリスマスどこ行ったん?(笑)
3品目:エビと豚肉のワンタン
スパイシーなスープとパクチーの香りによだれが出そう。
驚くべきはその歯ごたえ!
ビックリするくらいブリブリのエビ!
そして豚肉は臭みを全く感じない。でもうま味は感じる。
スープに入るナッツの歯ごたえも楽しい一品。
4品目:蒸し魚
ハタを蒸してスパイシーなソースを合わせたお料理。
(with おかわりワンタン)
立ち上る花椒の香りに結構なシビ辛を予想していたけど、スパイスの香りとは裏腹に、ほとんど辛くない。
まろやかなソースの味と香りがふっくら蒸しあげたハタとよく合う。
5品目:酢豚
スペシャルゲスト、サエキ飯店佐伯さんの酢豚。
佐伯さんは町中華の酢豚だと言うけれど、なかなかどうして!
確かに見た目は町中華っぽいけれど、甘味と酸味のバランスが絶妙。
味はしっかりしているのに口当たりはマイルドでトゲがない。豚肉は敢えての小さめカットで、一口目も二口目もずっとサクサクで楽しい。
うむー、計算し尽くされているなー。
そしてオンザライス!
「あー、この酢豚には絶対ご飯だよなー」って思うと、スッとご飯が出てくる。さすが傳。
6品目:ビーフシチュー
見た目も八角の香りも中華っぽい一品。
スープはややさらさら系だけど、口当たりはまったり。
牛肉のうま味すごい。とろとろ野菜のうま味もすごい。
何料理でもなく、フレンチ+台湾としか言いようがないのが面白くて楽しい。
7品目:鴨のロースト
この鴨ローストも美味しかった。
肉はどこまでも柔らかくてジューシー。鴨の臭みが無くなって力強さが前面に出てくる感じ。カブのソースと一緒にいただくと、全体が丸く優しい印象に。
上に乗っている縮みキャベツはパリパリで食感と香りが楽しい。
鴨の邪魔をしないように、付け合わせの黄カブと菊芋は柔らかめの食感。
素材との向き合い方も真っ直ぐな一皿。
8品目:ちらしずし
予想の斜め上を行くちらしずしの登場で、テンション爆騰!
全てのネタに丁寧に味付けがされていて、優しめの酢飯との相性バツグン!個人的には微妙に焦げ目のついた甘い玉子焼きも良かった。
9品目:発酵白菜と牡蠣と豚肉の上湯麺
スペシャルゲストキング製麺水原さんの麺と佐伯さんのスープが一つのどんぶりに。
傳以外ではありえないコラボでテンションさらに爆騰!!
乳酸発酵した白菜(酸菜)のスープには大量の塩豚と大量の牡蠣。
白菜の酸味とうま味に加えて、豚のうま味、牡蠣のうま味。
うま味の奥が深い! 重なっていく感じでなくて、奥に深い感じがたまらん。
そして水原さんの麺は、ちゅるちゅるストレートで、喉越し重視系だけど小麦の香りはしっかり感じる。
超ちゅるちゅるでどんどんイケる。
(ちゅるっとおかわりしちゃいました)
10品目:ゴルゴンゾーラのチーズケーキ
3人目のスペシャルゲストは、長谷川料理長も絶賛する二子新地の洋菓子店、SKAYEのエミリーさん。
デザート一品目はゴルゴンゾーラのチーズケーキ。ピンク色のつぶつぶはルビーチョコレートと大麦。奥のドライフルーツは東南アジアのフルーツ、龍眼の奈良漬。
チーズケーキは割と固めでしっかりした感じ。シンプルで素朴なチーズケーキながら、濃厚なチーズの味と香りだけでなく、後から追いかけてくる小麦の香りもきちんと感じる。
奈良漬と一緒にいただくと濃厚さが際立ち、ルビーチョコレート一緒にいただくと軽やかにも感じる妙。
11品目:シュトーレン
粉糖ではなくグラニュー糖でコーティングしたシュトーレン。
グラニュー糖の粗めの舌触りとしっとりとした生地のコントラストが面白い。それに加えて、粉糖よりもゆっくり溶けるグラニュー糖が、生地を楽しむタイミングに合わせてゆっくりと立ち上がって広がっていく甘味を演出している感じ。
そしてドライフルーツと生地のバランスが絶妙。
12品目:白いコーヒープリン
白いコーヒープリンは数あれど、エミリーさんが作るとちょっと違う。
サワークリームと山椒のソースで仕上げられているのだ。
コーヒープリンももちろんそれだけで美味しいけれど、そこにサワークリームのまろやかな酸味と山椒のアロマが加わると一気にエミリーワールドに。
素晴らしい発想!
驚きと美味しさの印象深い一品。
食べ終わって思った
今回、鴨を作ってくれた藤本さんは、この日が傳でサービスする最後の日。
傳を卒業して台湾にお店を出すのだという。
寡黙だけど、いつもにこやかにぼくらを迎えてくれた藤本さんが傳からいなくなってしまうのは寂しいけれど、次のステップに進むために傳を卒業するのだ。
藤本さんの挨拶を聞いて、ちょっとウルっとなってしまったけれど、大きなチャレンジをする彼を心から応援したいと思う。
ふじもん、次は台湾で会いましょう!
今回もよく食べ、よく笑い、よく飲んだ。
傳の居心地の良さ・楽しさの核は、長谷川さんと女将さんを中心にお店が一体となって、お客様をおもてなすために全力でやりきるという妥協なき姿勢。
きっと厳しいこともキツいこともあるだろうけれど、その姿勢はチーム傳のみんなにもしっかりと浸透しているし、だからこそチーム傳は強いのだ。
長谷川さん、女将さん、チーム傳のみんな、佐伯さん、水原さん、エミリーさん、ごちそうさまでした!