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アジアベストレストラン50の共演。傳 × The Chairman

訪れるたびに発見や驚きを与えてくれるだけでなく、最高に楽しい時間を過ごさせてくれるレストラン「傳」
今回は香港「The Chairman 」とのコラボディナー。
ぼくの知っている広東料理は本当にその表層だけだった。
その奥深さを存分に楽しませていただいた、あっという間の4時間半。
驚きと感動のコラボレーション。

1品目:湯葉どうふ

食を通して世界を旅するのにも似る傳のコラボディナー。
今夜の旅の入り口は湯葉どうふ。
上に乗っているのは、お砂糖と菊の花びらを茶葉のように乾燥させたもの。
そして下に敷いてあるのは、バラの花の砂糖漬け。
菊もバラも湯葉どうふも一緒にいただく。
まずは塩味。そして磯の香り(海苔がふってある?)、ちょっと遅れてくる湯葉と濃厚なバラの香り。
湯葉の牛乳とバラの砂糖漬けが混ざり合ったミルキーで上品な余韻。
すごい。
傳の湯葉どうふとThe Chairman のスパイスが見事に調和している。
一品目からこんなに楽しませてもらえるなんて!

2品目:エビとホタルイカ

意表をついてホタルイカが来た!
シェフのおすすめに従って、まずは酔っ払いエビから。
口に入れた瞬間にフローラルな香りが広がるのは、紹興酒と桂花陳酒をブレンドしたものに漬け込んであるから。
一般的な酔っ払いエビに比べると身が詰まっている。エビの身をしっかりと感じられる歯ごたえ。
続いてホタルイカ。

18種の薬草を漬け込んだお醤油で漬けてあるとのこと。
ホタルイカの濃厚な味はそのままに、イカの生臭い部分が無くなっている感じ。
かと言って、強いスパイスでごまかしているわけではなく、あくまでも自然な味と香り。
仕上げにふられた山椒オイルが余韻を楽しくしてくれる。

3品目:傳タッキー

傳タッキーもコラボバージョン。
静岡のシイタケと、自然乾燥ソーセージ2種類。ひとつは普通の豚肉、もうひとつは豚のレバーのソーセージ。
シイタケの香りに2種のソーセージの出汁がマッチして、これまた見事なコラボレーション。

4品目:牛麺

白湯の香りが優しく香る牛麺を一口サイズで。
上に乗っているのはオリーブの葉を2日間漬け込んでピクルスにしたもの。
見た目に違わず、すごくまろやかで塩味も油も控えめだけど、輪郭はしっかりしている優しい味。ローストビーフもどこまでも柔らかい。
幸せ。

5品目:ゼリー??

「さて、何のゼリーでしょう?」というクイズとともに出てきた一皿。
ゼリーなのに透きとおっていなくて、曇りガラスのような質感。
食べて驚く!
煮こごりじゃん!
鶏っぽいけど、鶏とはちょっと違う感じ。
もう少し力強いというか……。
正解は鴨。
味付けは塩だけ。それを楠木のチップで燻したとのこと。
決して複雑な味ではないけれど、素朴な味。
美味しい。

6品目:鴨

続いて鴨本体。
8時間かけて丁寧に蒸したものだとのこと。

身は柔らかく、鴨独特の臭みもない。
でも鴨のうま味はしっかりと感じられる。
そして鼻から抜けるスパイスの香り。

7品目:クエ

カラフルで見た目も楽しいトッピングの下に隠れているのはクエ!
エスニックでスパイシーな香りに期待が高まる。

切り分けられて運ばれてきたお皿。
ワンタンが乗っている!
まずはクエを一口。
おー! 辛い!
最初に感じるのは「辣」
唐辛子の辛さ。
でもただ辛いだけじゃなくて、辛さの向こう側に感じるクエの甘みと様々なスパイスが混ざり合った複雑な香り。
そしてワンテンポ遅れて感じる痺れるような辛さ「麻」
すごく辛い。
でも不思議なのは、辛さの立ち上がり方が緩やかで、角が取れているということ。
この不思議なソースは、発酵唐辛子3種類を7日間熟成させ、そこに塩漬けの豚の脂、花山椒を足したものだそうだ。
うーん。
深い。
ワンタンは野菜たっぷりで優しい味。

そして、禁断の白ご飯投入!
土鍋のご飯をちょとだけ追加してもらう。
最高!
(どさくさに紛れてワンタンも2つ追加してもらった)

8品目:酢豚

見た目では何のお料理かよく分からないけれど、これは一口サイズの酢豚(のようなもの)。
確かに酢豚の甘酸っぱい香り。
鼻に付く鋭さが無いのは山峡省の山査子と梅のお酢を使っているからなのかも。
勿体ないような気がすれけど、シェフのおすすめに従って、ひと口でパクリ。
カリカリの食感!
豚の背脂をカリカリに揚げているらしい。
中身は逆に豚バラ。中からからパイナップル。
甘酢、背脂のカリカリ感、中に入っている豚バラの甘味、火の通ったパイナップルの柔らかな甘酸っぱさ。
トッピングの生姜も後味を整える。
これも至福の一品。

9品目:クエのあら汁

干した筍と山菜が入っているあら汁。
乳白色のお出汁をいただくと、深海に引き込まれるかのようなクエの出汁。そしてそこに重なってくる筍の香り、さらに山菜のコシアブラが香る。
山菜はあくまでもシャキシャキ。筍は柔らか。
これは後引くなー

10品目:カニの混ぜご飯

茹で毛ガニとアワビ、シイタケの混ぜご飯。
ゴージャス!

お茶碗から立ち上るカニの香りがまたたまらない。
プチプチに粒の立ったお米がエキゾチック。
しっかりした歯ごたえ。
アワビとシイタケのうま味、カニの香り、そして後に残る貝柱のような香りとカニの甘味。
素晴らしい!

11品目:鉄観音杏仁

上に乗っているのは中国の水草、乾燥させた仙草を戻したもの。中国のキャビアとも言われているらしい。

試しに仙草だけ食べてみるとプチプチ感がすごい。そしてやっぱり何となく海藻のようや香り。
杏仁はさっぱりと甘さ控えめ、そして本物の杏仁の香り。
このデザートできっちりお食事が締まる感じ。
甘味が後を引きすぎないのが良いのかも。

食べ終わって思った

一品目から最後のデザートまで、どれもがクライマックスのように素晴らしいお料理ばかりで、ワクワクしっぱなし。
そして、今までいただいたどの広東料理にも似ていないスパイスの使い方。
そのお料理それぞれがちゃんと傳のお料理とコラボレーションされているという楽しさ。

あー楽しかった!

ダニーさん、長谷川さん、The Chairman の皆さま、傳の皆さま、ごちそうさまでした!

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