全国の町内会課題・担い手不足の要因
地域コミュニティの中心的役割を担ってきた全国の町内会・自治会は担い手不足になっている。
担い手不足の要因を全国の町内会・自治会の方々と行ってきたワークショップなどから整理してみた。
町内会・自治会の担い手不足の要因は、大きく社会的要因と町内会・自治会の運営面での要因が考えられる。社会的要因は、「高齢化」と「ライフスタイルの変化」がある。
「高齢化」は、高齢化に伴う役員の引退と交代要員の不足につながり、担い手不足の要因となっている。
「ライフスタイルの変化」は、町内会・自治会へのニーズの変化につながっている。
1960年から70年代、町内会・自治会は運動会やバス旅行などの行事をおこなっていて、それが人々の楽しみだった。しかし、それぞれの趣味趣向に合わせたライフスタイルに変わった。例えば、マイカーが普及し家族単位で出かけるようになると、町内会・自治会が行なっていたバス旅行などのニーズは低くなっり、次第に町内会・自治会との関係が薄れ、担い手不足につながった。
運営面からの担い手不足の要因は、「役員の負担が大きい」「閉鎖的な印象」「ニーズとの乖離」「情報発信と広報の不足」などがあげられる。
町内会・自治会の役員は、ボランティが基本。しかし、役員になると自分たちの町内会・自治会の運営だけでなく、行政などから様々な関係団体との会議にも出席することが多くなり、どうしても役員は忙しくなってしまう。
このため、町内会・自治会の役員は忙しいという理由から敬遠されがちになる。そこで、活動の棚卸しやデジタル化などにより役員の負担を少しでも軽減することが必要になっている。
町内会・自治会は、一部の役員だけで運営されているといった印象があり、「閉鎖的という印象」が強い。閉鎖的な印象が強いと新たなメンバーが参画するにはハードルが高い。
役員会などの会議は誰もが自由に参加できるようなオープンな運営を心がけることが必要である。
また、役員の任期が長いことも閉鎖的な印象を与えてしまう。このため、役員が交代する仕組みをつくることも必要である。
そして多くの町内会・自治会には、「ニーズとの乖離」がみられる。
多様化する会員のニーズを把握きれず、これまでの活動を継承することを基本とする役員と会員のニーズに差が出来てしまっているために、会員の関心が薄れてしまっている。
会員にニーズを把握し、活動の棚卸しや新たな活動を展開することが求められている。また、各世代から役員が選出される仕組みをつくり、各世代のニーズを運営に反映で来るようにすることが必要だと思われる。
そして、町内会・自治会は知られていないということが担い手不足の要因としてある。20代・30代の人たちに聞くと町内会・自治会を知らないと言う人が増えている。町内会・自治会の運営にあたっては、知られていないという前提にした方がよい。
同時に町内会・自治会の情報は伝わっていないと考えるべきである。回覧板を回しているから地域の人たちに情報は届いていると思うのは、もはや幻想である。
新聞は取っていないしテレビも見ない、情報はネットからという若い世代が増えるなかで、戦前からの情報伝達の手段である回覧版だけでは、情報は伝わらない。
町内会・自治会もその活動がわかるように多様な手段で情報発信を行い、その活動と存在を知ってもらうようにすることが必要になっている。
町内会・自治会に加入していることが当たり前で、回覧板を読んでいるのも当たり前というのは昔のこと。
地域コミュニティの住民=町内会・自治会の会員のニーズが大きく変わっているなかで、昔ながらの活動を継承しているだけでは、町内会・自治会の担い手不足は解決できない。
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