人間とAIの役割 -人間に求められることとは-
LLMをはじめとする生成AIが目覚ましい発展を遂げており、AIの活用領域がどんどん広がる一方で、人間の活動範囲や役割が狭まってきているのではないかという感覚を日々感じています。
この感覚について自分なりに整理してみて、これから人間に求められる役割について、少し言語化してみたいと思います。
生成AIのプロセス
生成AIを活用するプロセスを大まかに考えると、以下の4つのプロセスに切り分けられます。
1. 入力:生成AIに対して、プロンプトなどの入力情報を入力する
2. 生成:入力情報をAIモデルが解釈する
3. 出力:AIモデルの解釈の結果を出力する
4. 活用:AIモデルの出力結果を活用する
人間とAIの役割
これらのプロセスについて、人間とAIの役割を意識してみると、以下のように切り分けられます。
● 人間:入力・活用
● AI:生成・出力
人間側は、AIモデルへ必要な情報を "入力" し、AIから出力された結果を社会の様々な場面で "活用" することが役割となります。
一方、AI側については、人間が投入した入力情報を解釈して結果を "生成" し、AIモデルの特徴を活かしたかたちで何かしらの結果を "出力" することが役割となります。
生成AIの活用について、人間とAIの役割を切り口として分類したとき、それぞれの活用プロセスにおいて人間にはどのような役割が求められるのでしょうか。プロセスごとに整理して、言語化しみたいと思います。
"入力"における人間の役割
入力 は人間側のプロセスです。このプロセスにおいては、「入力情報を考える」と「入力情報を言語化・具体化する」の2つが求められます。入力情報をなんとなくイメージするだけでは生成AIをうまく活用することができません。そのなんとなくのイメージを、生成AIが活用できる情報まで落とし込む必要があります。
現在のChatGPTのような対話型生成AIは、自然言語の入力が人間とAIのインターフェースとなっていますが、今後技術が発展していけば、自然言語に限らず様々な種類の情報がインターフェースになり得ます。
人間に求められるのは、生成AIとのインターフェースとなる情報を生成AIの性能を発揮できるかたちに変換することです。そのためには、入力情報を発想するためのベースとなる知識が必要ですし、AI側が入力情報をどのように理解・解釈するのかという特性を把握する必要もあります。
”生成”における人間の役割
生成 はAI側のプロセスとして位置づけられます。人間が入力した情報をAIが理解・解釈するプロセスであると私は捉えています。このプロセスにおいて人間に求められるのは、既に触れている部分ではありますが、「入力情報に対するAIの理解・解釈の特性を把握する」という点です。
AIの理解・解釈の特性を把握せずに入力情報を与えていては、求める出力結果を得るのは困難です。自分が入力した情報がどのように理解・解釈されるのか、AIモデルの出力を確認しながら確かめていく必要があります。つまり、どれだけ素晴らしい入力情報があったとしても、それがどう理解・解釈されるのかによって、出力されるものの価値が決まってしまうともいえるのです。
”出力”における人間の役割
”出力” も生成と同じくAI側のプロセスとなります。このプロセスでは、人間が入力した情報をAIが理解・解釈した結果が、画像や映像、テキスト、音声などの何かしらの形で出力されます。ここで人間に求められるのは、「どんなものを出力したいか」をイメージする感覚です。
この感覚を持っていないと、AIによって出力されたものをうまく評価することができません。「自分は〇〇のようなものを作りたい」というイメージがないと、生成AIをどのように使えばよいのかも曖昧になってしまいます。最終的な目的が、生成AIのアウトプットと社会との接点を見出すことだとすると、その目的を見据えた出力の想定が必要なのです。
”活用”における人間の役割
最後に、人間側のプロセスとして ”活用” があります。AIによって出力された結果を、人間の社会のなかにうまく組み込んでいけるかどうかを考える必要があります。この社会との接点を見いだせなければ、生成AIは何かを生成することが目的となってしまい、ただただ無意味なデータが量産されるだけになります。
生成AIは、社会をよりよい方向にすすめるための手段のひとつとして位置づけ、どのように活用していくのかを模索しなければなりません。この活用まで考え抜くことではじめて、生成AIが持つ価値や意味が見出されていくのだと思います。
生成AIと社会を結びつけるために
ここまで、生成AIを活用するプロセスと人間側の役割について整理しながら言語化してみました。生成AIをよりよく活用していくためには、以下の点が人間に求められると考えられます。
多種多様な入力を可能とする知識的基盤:AIは適切な入力情報をインプットしないと、求める情報をアウトプットしてくれません。適切な入力情報を入力するにあたって、人間である我々がもっている知識を活用する必要があります。
出力をイメージする創造性、想像力:AIを用いて何をアウトプットするのかというイメージを持てなければ、次の活用のプロセスまでつなげられません。この創造性、想像力を養うひとつの方法としては、日頃から多くのコンテンツに触れることが挙げられます。
最終的な活用までのストーリー構築力:AIからイメージどおりのアウトプットを得られたとしても、それが社会と接点を持ち、活用されていかなければ出力された情報は無駄になります。入力から生成、出力、活用までのストーリーがなければ、AIをうまく使いこなすことはできません。
以上、生成AIを活用するにあたっての、人間とAIのそれぞれの役割について自分なりに整理して言語化してみました。AIの活用がどんどん浸透していくなかで、人間はどのように振る舞うべきなのか、今後も引き続き考えていきたいと思います。
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