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ふるさと納税の民間ポータルサイトとの連携は何社が適当か?という話

こんにちは。ふるさと納税エバンジェリストの阪上です。
私は、少々得意な「ふるさと納税」の自治体業務について、ノウハウを全国の自治体さんに提供しています。
ふるさと納税が健全に発展し、いずれの自治体も等しくふるさと納税の恩恵が得られるような世界を目指して活動しています。

今日は、視察やお問い合わせでご質問の多い題材についてお伝えしたいと思います。
ふるさと納税を受け入れてくれるポータルサイトは沢山あります。
そこでよく質問されるのが、「どこのサイトが良いのか」「連携するのは何社くらいが適当なのか(多ければ多い方が良いのか)」ということです。
古い話ですが、「さとふる」さんが、連携する自治体について、他のポータルとの契約を認めなかったという頃もあり、1自治体に1ポータルがスタンダードな時代もありました。
民間ポータルサイトは、いわゆる4大サイトと呼ばれる「ふるさとチョイス」、「ふるなび」、「さとふる」、「楽天ふるさと納税」のほか、数十のサイトがあって、最近では、複数のポータサイトと連携している自治体がほとんどで、逆に1自治体1ポータルという自治体は、ほぼ無いんじゃないかと思います。

Q.「どのサイトが良いのか」

まず、「どのサイトが良いのか」については、サイトによっていろいろと特色はあるので、目的を「寄附を沢山集めるため」に限定すると、1位は「楽天ふるさと納税」、2位は「さとふる」と「ふるさとチョイス」が似た規模で、4位が「ふるなび」です。
この4つのサイトだけで全国の寄附(ふるさと納税)の90%以上を受け入れていると言われていて、いかにこの4つのサイトの集客力が凄いのかということが分かります。最近では、この4つのサイトを「四大サイト」と呼ぶようになりました。
ここ数年は、楽天の伸びが凄くて、そのうちシェアが50%を超えるのではないかと言われるほどです。次いで伸びているのが、さとふるです。前年比で10%程度シェアを伸ばしているのでは、というデータもあります。
ふるさとチョイスについては、年々シェアを落としており、「もう、チョイスはダメ!」とか言われる方もいますが、4位のふるなびと比べてもまだまだ大きなシェアを保持しています。
この流れは、今後も大きく変わらないと思いますが、とにかくこの四大サイトとさえ連携すれば理論上ですが、シェアの90%以上をカバーすることが可能になります。
なので、「どのサイトが良いのか」という問いに対してハッキリと回答できるのは、この四大サイトが良いということです。そんなこと改めて言われなくても知ってますよね。
さて、本題です。では、「連携するサイトは何社くらいが適当なのか(多ければ多い方が良いのか)」について、私なりの考えをお伝えいたします。

Q.「連携するサイトは何社くらいが適当なのか」

「連携するサイトは何社くらいが適当なのか(多ければ多い方が良いのか)」については、結論から申し上げると、これは自治体の寄附規模によって異なってくると考えています。
先ほど申し上げたように、四大サイトのシェアは90%以上と言われているので、他にサイトは数十ありますが、これらを合わせても10%未満ということになります。もちろん10%といってもバカにはできないので、これを取りに行きたいという気持ちは分かります。実際、ウチはこれを取りに行ってます。でも、寄附規模によっては、四大サイト以外は切り捨てる方が効率的なんじゃないかと考えていて、そこについてご説明します。

サイトを増やして問題なのは、そのサイトから入ってくる寄附が多い少ないに関わらず同じだけ手間がかかることです。
最近は、サイト管理を委託する自治体さんが多くて、ほとんどの場合、中間事業者さんががやってくれています。しかし、業者のリソースにも限りがあるので、必要以上に多くのサイトを管理するとなると、作業が “広く浅く” なってしまう恐れがあります。
サイト管理は、返礼品を掲載したら終わりではなく、必要によって画像の差し替えやページの作りこみ、広告出稿や在庫管理など、多くの寄附を集めるための作業は多岐に渡り、サイト1つから2つに増えれば、作業は2倍になり、3つに増えれば3倍になるので、サイトを増やせば増やすほど作業負担は増加し続けていきます。

ここでお考えいただきたいのは、サイトが増えて作業負担が増えると人員が必要になりますが、どこがこれを増やすかというと中間事業者です。当然ですが人件費がかかります。
また、中間事業者への委託料は多くの場合は成果報酬になります。つまり寄附がいくら集まったかで委託料が変わってきます。
つまり、沢山集まる自治体、集めれる自治体からは潤沢に委託料をもらえるので人員体制も充実していますが、寄附規模の小さな自治体だと人員は少なくなることは当然です。
では、規模の小さな自治体が少ない人員で対応するにはどうしたら良いのかというと、中間事業者さんに「効率的に集めてもらうこと」、これに尽きると思います。

それぞれのサイトもそうですが、1つ1つの返礼品に「どれだけ手をかけ、コストをかけ、育てられるか」ということが売れ行きを大きく左右するので、せかっく沢山のサイトに返礼品を掲載しても、十分に手をかけれない、コストをかけられないのであれば育つものも育ちません。対応が中途半端になってしまい、思うような結果が得られないということになってしまう恐れがあります。
もちろん “塵も積もれば山となる” で、広く多くの方から寄附をいただこうとすると沢山のサイトと連携するのは間違いではないと思います。実際、本市では、直営サイト、四大サイトを含めて17サイトと連携しており、どん欲に寄附を広く多くの方から獲得しようとしています。
しかしながら、本市のように寄附規模が100億円の自治体であれば、四大サイト以外のサイトのシェアが10%とすると10億円あるので、その中でも優良なサイトをいくつか連携すれば数億は得られると思いますが、しかし、寄附規模が1億円の自治体だとすると、10%だと1000万円にも満たないので、たぶん多くても1サイトで100万円前後になりますし、中には年間で数万円というサイトもあるでしょうから、言い方は悪いですが、それっぽっちのサイトにどれだけリソースを割くのかという問題が生じてきます。

本市では、正職員が5名、任期付き職員が6名、アルバイトさんも居り、10名以上のスタッフがふるさと納税をほぼ専任で担当しており、充実した人員体制をいただいているので、一部のサイト管理を内政で行うなどしており、中間事業者と連携しながら17ものサイトを管理することが可能ですが、これからふるさと納税を頑張ろう!という自治体や寄附規模の小さな自治体では、そのような人員配置をするのは難しいと思います。

申し上げたいのは、仮に自治体側でも、中間事業者側でも充実した体制が作れない(=寄附額が少ない場合が多い)段階であれば、沢山のサイトと連携するよりも、四大サイトをじっくり育てていくことの方が効率的なんじゃないだろうかということです。
つまり、沢山のサイトと連携して、四大サイト以外の管理に割かなければいけないリソースを四大サイトにシフトすれば、サイトを増やすよりも多くの寄附を集めることができるのではないかと思います。
なので、「連携するサイトは何社くらいが適当なのか(多ければ多い方が良いのか)」への回答は、「自治体の寄附規模によって異なる」ということ、肌感覚ですが、目安としては『寄附が10億を超えるまでは、四大サイトだけで良いのではないか』というのが、私の答えです。
また、10億円を超えたとしても、四大サイト以外でも規模が大きめの、「ふるさとプレミアム」や「ANAふるさと納税」、「auふるさと納税」など、2~3のサイトを増やす程度が効率的なのではないかと思います。
つまり、「増やせばいいってもんじゃない」ということかと思います。

Q.まとめ

ふるさと納税を沢山集めようとすると無数にやることがあります。そこで重要なのは、やらなければいけないことに優先順位にをつけて、いかに効率的に最短距離で寄附を集めるかということです。あれもこれもではなく、時には何かを切り捨てて、集中することも大切です。
サイトの管理は、自治体が直営でやろうが、中間事業者に委託しようがリソースは限られているので、どちらがやっても管理するサイトが増えれば仕事量が増えて大変です。最近では、優良な中間事業者のキャパは限界にきているので、民間に任せると無限に仕事をしてくれると考えるのは、自治体の勝手な妄想だと思います。
じゃあ、キャパの大きい大手にお願いすれば良いのかと言うとそういうことでもなく、手をかけ、コストをかけ、育てくれるような中間事業者は、私が知っている限り大手には存在しません。
なので、優良な中間事業者さんにいかに効率よく動いてもらうかが重要になってきていると考えています。

返礼品事業者だけではなく、中間事業者は、いまや自治体にとって大切なビジネスパートナーです。また、彼らも人間ですので、自治体は、やれやれと要求するだけでなく、彼らが効率的に仕事ができるような環境を作ってあげることも大切だと思います。ここについては、また別の機会に詳しくお伝えできればと思います。

ちょっと文章が長すぎですね。次からはもう少し短めにします。

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