一風変わっているらしいマジックの練習方法その1
こんにちは。凌雲です。
後輩や友人のマジシャン、あるいはマジックをやらない人から「どうやってマジックを練習しているの?」と聞かれることがあります。「皆がやっているような普通の方法だけど……」と話してみると、「何それ(笑」「独特」「初めて聞いた」などと言われることがありました。ちょっとびっくり。
至って普通かつ誰でもやっている様な方法だと思うのですが、変わった方法だと言われた事があったので、自分の中で言語化・整理するために書いてみることにしました。
自分のやっている練習方法を書き出してみると、大きく分けて「鏡を使わない」「目をつぶって練習する」「お風呂でエアカードマジック」「好きなプロマジシャンの演技動画を何度も見るだけ」「DVDでの学び方は1%の解説動画と99%の演技動画」の5つ。今回は「鏡を使わない」について話してみようと思います。
鏡を使わない
練習方法を話していて驚かれたのが「鏡を使わない」ことです。100%使わないというわけではなくて、ちょっとした動きの確認程度に鏡の前に立つことはあります。でもほとんどの場合、鏡を使わずに練習しています。動きの確認であっても、99%は家族に「見て」もらうか、iPhoneで撮った映像で確認します。
鏡を使わない、というか鏡をうまく使えないというのが正しいと思います。
僕のマジックの練習方法は小学生で始めた頃から今まで「練習したものを家族や友人に沢山見てもらう」であり、これが鏡を使っての練習が上手くできない大きな理由なのかな、と思っています。
マジックを始めた頃から「マジックを人に見てもらいたい」という欲求が高かった僕は、家族や友人にしつこいくらいにマジックを見てもらっていました。
ソファでくつろいでいる家族や公園で遊んでいる時に友人にマジックを見せていたので、前だけでなく、前後左右、時には下から覗かれることもありました。なので自然と「どんな角度から見られても大丈夫」なマジックを演じる事が多くなり、ハンドリングも角度に強いものを好んで選択していました。(演じるマジックの選択や理想のスタイルについての話はまた書こうと思います)
お恥ずかしい話ですが、始めたての頃は説明書を見てまともに練習しないまま見せる事も多かったです。(今も家族にはそうしてしまう事があります……)
当然「見えた!」「分かった」「下手っぴ」と突っ込まれることもしばしば。実演≒練習だったためか、演じる中で注意すべきポイントや角度を感覚的に掴んでいった事は怪我の功名だったのかも。
なので、「鏡」での練習は上手くできません。お客さんの反応もないし、角度は自分の視点から見えるものしか確認できない、鏡の中の手元を見てしまうのでいざ人に見せる時に視点が定まらない……など。僕にとって、鏡を使っての練習はいくらやっても上達しない方法なのです。
最近はスマホという超便利道具を手に入れたので長回しにして何度も何度も同じマジックや技法を撮ってフラッシュや動きの確認に使っています。ただ、カメラを見ずに虚空の幻の観客相手にやるので全く映っておらず撮り直しをすることも(笑)
鏡の中の自分は都合の良い幻影だと思っていて、鏡の前で上手くできていたように感じても、実際に動画を撮ってみるとセリフも動きも流れが悪くて、フラッシュしまくっている事が多くあります。
要は都合の悪い部分を無意識のうちに見ていないのです。反対に上手くできたところだけ見ているので、「できた!」と思って母に見せると(母が一番鋭くごまかしが効きません)、「??……なにが不思議なの???」とダメ出しを受けます。毎回凹んで練習して、何度もアタックしては砕け散ってます。
動画に撮ると、鏡よりは誤魔化しが効かないので、自分の正しい姿が見え易くなります。それでもやっぱり実際に見てもらうのとは大違いですね。あくまでカメラの一視点からの映像なので。
お金をかけて多角視点のカメラ撮影であればもう少し効果が高くなるかもしれません。しかし、実際の観客は首を横に上に下に動かして見やすい位置で見ようとするので、完全とは言えないと思います。
この間YouTubeを見ていた時に、「鏡を使うのは動きのチェックだけにするべきだ」という話をデビッド・ロスがスクリプト・マヌーヴァのインタビューで言っていて、自分のやり方は間違っていなかったのだな、と感じて嬉しかったです。(心の中で小さくガッツポーズ)
↓デビッド・ロスのインタビュー(46秒くらいから。コインの練習方法のコツは?という質問への回答ですが、カードマジック等にも共通する考えだと思います)
https://m.youtube.com/watch?v=41Qfi1H_C3A
それから、つい先日うそたばで知り合ったマジック研究家のクロッキーさんから「動画を撮って練習するのはとても良い方法ですよ」と教えて頂いて、鏡の代わりに動画撮影で動きを確認する、ということを意識的に多くしています。二度手間ですが、鏡で見るよりも自分の動きがはっきりとわかるのでオススメです。
誤解しないで貰いたいのですが、僕は鏡での練習を「悪いもの」だとは思っていません。たまに使うこともありますし。
しかし、僕のように「都合の悪いところは目をつぶってしまう」傾向がある人は、鏡の代わりに撮影した動画で確認してみると良いと思います。
でもやはり、一番良いのは「信頼できる」かつ「厳しくチェックしてくれる」人に見せることだと思います。僕にとって「人前での一回の実演」は「鏡の前の千回の練習」を凌駕します。
想像以上に長くなってしまいました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。良かったら感想や皆さんの練習方法についてのお話を聞かせてください。聞きたいです。
ついでに「いいね」を押してくれたらめっちゃ喜びます。
次回は「目をつぶって練習する」「お風呂でエアカードマジック」の2つについて書こうと思います。
ではまた。
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