「0歳児選挙権」における3つの懸念点。
みなさん、こんにちは。こちらに私が直接文章を寄せるのも一ヶ月以上ぶりとなってしまいました。選挙が終わってからもなかなか「発信しよう」という気力と体力が回復せず、noteの更新もキタムラ任せとなってしまっていました。
今後も、以前のように「週1回、必ず更新」というわけにはいかないかもしれませんが、気になるトピックがあれば、随時、記事を書いていきたいと思います。というわけで、今回はこちら!
大阪府知事でもある日本維新の会・吉村洋文共同代表が、「僕は『0歳児選挙権』をやったらいいと思ってる。これだけ少子高齢化が進んでいる日本だからこそ、僕はやはりやるべきだと思います」と発言、次の衆院選で「0歳児選挙権」の導入を公約に盛り込む考えを示しました。
この発言には賛否両論あり、
「シルバー民主主義の傾向に歯止めをかける上でも、ぜひ検討してもらいたい」
「子育て世代に力を与える素晴らしい提案」
という声もあれば、
「一人一票の原則が崩れ、新たな不平等が生まれてしまう」
「そもそも制度として実現不可能だろう」
といった批判的な書き込みも見られました。
たしかに、現在の硬直した政治状況を見たとき、これまでとは異なるダイナミックな変革でもないかぎり、なかなか変わりそうにないだろうという、なかば絶望的な思いを抱いている方は決して少なくないでしょう。
そうしたなかでの「0歳児選挙権」は、まだ世界でも実現した例のない野心的な提案ですし、まさに「ダイナミックな変革」を生み出す可能性のある制度だとは思います。実現できるかはともかく、この制度のメリット、デメリットを議論することには大いに意義がありそうです。
大きなインパクトを持って伝えられた今回の「0歳児選挙権」ですが、じつは政治の世界ではそこまで目新しい提案ではありません。今から40年近く遡った1986年、アメリカの人口統計学者であるポール・ドメインは、「政治はもっと若い世代の関心に敏感でなければならない」と考え、投票年齢未満の子どもにも1票を与える仕組み(ドメイン投票方式)を提唱したのです。
私がこのドメイン投票方式を知ったのは今から10年ほど前でした。当初、非常に魅力的な仕組みだと感じていたのは事実ですが、この制度設計と真摯に向き合い、精査していくうち、どうしても私の中で解決しがたい3つの懸念点が浮かび上がってくることとなりました。
以下、その懸念点に触れつつ、建設的な議論へとつなげていきたいと思います。
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