【義足プロジェクト #5】 「真っ白な日々」に舞い込んだオファー。
この記事は、来月5日(日)に「FRaU×現代ビジネス」にも掲載されます。
足がないのに、子どもの頃から「下駄」を履かされ続けてきた。
「歩けるなんてすごいね」
「字が書けるなんてすごいね」
「自分一人で食べられるなんてすごいね」
周囲と同じことをしているはずなのに、なぜか私だけが褒められた。子どもながらに、その「なぜか」を必死に考えた。
答えは、わりとすぐに出た。
あなたは障害者だから何もできない――。
多くの人の胸の内には、そんな前提が横たわっている。だから、手も足もない小さな子どもが目の前で車椅子から降りて歩き出したり、肩と頬の間にペンを挟んで字を書き始めたりすると、人々は目を見開いて驚き、そして惜しみない賞賛の言葉を注いでくれたのだ。
そのカラクリに気づいてしまうと、私は人々がかけてくれる賞賛の言葉を素直に受け取れなくなってしまった。もっと正確にいえば、言葉の根底にある「障害者だから何もできない」という前提に反発を覚えるようになってしまった。
そこでまた考えた。私は健常者と同じことしかできていない。だから自分だけが褒められることにモヤモヤするのだ。ならば、健常者よりも秀でたことができるようになればいい。そうすれば、きっとその褒め言葉を素直に受け取れるようになるはずだ。
そうして私は努力するようになった。
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