46歳になりました。決意のほどを。

2022年4月6日 06:00

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46歳になりました。ハッピーバースデー、俺。

いたって月並みな言葉ではありますが、めちゃくちゃみなさんに感謝してます。おそらく私ほど周囲の人々に支えられながら生きている人間はいないんじゃないかな。そう思うほど、日頃から支えてくれる身近な人々、そして遠くから応援してくださるみなさんへの感謝の思いを強く感じています。

さて、あらためて46歳。いい年ですね。「いい年」って、どちらの意味にも受け取れる言葉ですよね。「もういいオッサンだな」という意味にもなるし、「脂の乗った年齢だな」という意味にもなる。正直、カッコつけずに言うと、どちらもあるよね、と感じています。

老眼はもう5年前くらいから始まっているし、鼻毛や眉毛には白いものが混じってきたし、徹夜なんかもう絶対にできないし、朝方はトイレに行きたくて目が覚めることも。ええ、「いい年」ですよ。もう。

とはいえ、若い頃よりも多少は大局的に物事を見られるようになってきた気もするし、大切だと思える友人の数は年々増えていくし、その友人たちが私のことを親身になってサポートしてくれるし、何より私自身にまだまだ「やってやるぞ」という気力がみなぎっている。そういう意味でも「いい年」なんですよね。

問題は、「何を」やってやるのか。

やっぱり、いまの私にとっては、これなんですよね。

もう、この春で５年目になります。こんなに長く取り組むことになるとは思ってもみませんでした。こんなに本気になるとは、思ってもみませんでした。でも、決して誰かにやらされてるわけでもなくて、みずらかの意思で、「続ける」「挑む」と決めてるんです。それが、気づいたら５年目に突入していたという感じ。

でも、“やめ時”を見失っている、というのもあるんですよね。僕たちプロジェクトチームは、特にゴールを決めずに見切り発車してしまったところがあるので、文字通り「どこまで歩いたら」ゴールなのかが、いまいちピンと来ていないんです。だから、よく取材で「プロジェクトのゴールは？」と質問されたとき、「これ以上の努力を積み重ねても、もう進展がないと感じるまでやりきりたい」と答えるようにしているのですが、別にカッコいいことを言おうとしてるわけじゃなくで、わりと本心からの言葉なんですよ。

実際、日々の階段トレーニングなどの成果もあってか、いまのところプロジェクト開始から、努力すればするほど歩行距離や歩行スピードが伸びていくという状態が続いているので、どうしても「いまここでやめるわけにはいかない」という心境になってしまうんですよね。

まあ、幸いにして、46歳を迎えたいまでも、そこまで体力の衰えを感じているわけではないので、５年目に突入した「乙武義足プロジェクト」も引き続き頑張っていこうとは思っているのですが、やはり明確な目標は欲しい。そこを“ゴール”にするかは別にして、「あのラインを目指そう」というものがあったほうが、よりトレーニングに熱が入りそうだなと。

というわけで、ここに宣言します。

「私、乙武洋匡は、46歳のうちに義足で100m歩くことを目標にします！」

はじめの1年間では、たった10mしか歩けませんでした。でも、いまから振り返れば「たった10m」でも、当時、すぐに前のめりになって倒れ込んでしまっていた私からすれば、とてつもなく長い距離だったんです。

初めて10mを歩くことができたのは、クラウドファンディングで支援してくれたみなさんが豊洲にあるランニングスタジアムに来てくださったとき。人目もはばかららず、号泣したんですよね。10mも歩けたことが信じられなくて。10mを歩けたという事実に感動して。

そんな私が、今度は100mを目指します。昨秋に行った日本科学未来館での歩行では66mを歩いたので、ちょうどその1.5倍ということになります。そう考えると、ちょっと無理のある目標設定な気もしますが、こういうのは“安パイ”な目標を立てても面白くないですもんね。どうせやるなら、どーんと高い目標を。

今後、コロナがどうなっていくかわかりませんが、状況によっては、またみなさんの前で歩行を披露するイベントを開催できたらと思っています。応援してくださるみなさんの前で100mを歩ききることができたら、どんなに気持ちいいだろう。最近は、そんな場面を頭に思い描きながらトレーニングに励んでいます。

もちろん、そんな無謀とも思える目標を達成するには、プロジェクトメンバーの協力が欠かせません。このプロジェクトの肝である“ロボット義足”を開発した義足エンジニアの遠藤謙さん。義肢装具士の沖野敦郎さん。そして理学療法士の内田直生さん。それぞれの強みを生かして、なんとか「100m」を歩いてみせたい。そう思っています。