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「全国一斉の休校要請」に疑問を抱いた3つの理由。
安倍首相がコロナ感染の拡大を防ぐために、全国すべての小中高校や特別支援学校に休校要請を出しました。
これについては賛否あると思いますが、私は疑問を抱きました。主に、以下3つの点が気になっています。
①「子ども」にターゲットを絞る必要があったのか。
まずは、効果の面から。下記は、中国における感染者の内訳を示したものです。2月11日と二週間以上も前のデータになってしまうのですが、この時点で感染者は4万4672人が確認されています。
そのうち、0〜9歳は、感染者が416人(0.9%)で死亡者が0人。10〜19歳は、感染者が549人(1.2%)で死亡者が1人(0.1%)。他の年代と比べると、格段にリスクが少ないことがわかります。
これはあくまで中国のデータですが、日本で公表されている感染者情報から見ても、日本もそう変わらない状況だと考えられます。
つまり、感染リスクも死亡リスクもそう高くないと思われる年代の動きを止める政策に、いったいどれほどの効果があるのかと疑問を抱いたのです。
②「全国一斉」である必要があったのか。
下記リンクに、都道府県別の感染者数が一覧でまとめられていますが、東北は0人、四国は1人など、日本における感染者の発生状況は、各地によってかなりバラツキがあります。
それでも、全国一斉で休校措置を取る必要があるのでしょうか。もちろん、国内における人の往来を禁じているわけではないので、いまは感染者がいない地域でも、今後はどうなるかわかりません。そういう意味では、「徹底的に封じ込めるのだ」という強い意志が感じられるとも言えるのですが、もう少し地域によって弾力性を持たせた指示でもよかったのではないかと思うのです。
③休校措置により、親の動きも止まるのではないか。
これは、要請が出された直後から指摘が相次いでいる点ですが、やはり子どもの動きを止めることで、親の動き求められてしまうケースがある、ということです。特に、共働きやひとり親のご家庭では、「日中、誰が子どもの面倒を見るんだ」という点に、大いに頭を悩ませることと思います。
実際、全国に先駆けて休校措置を取った北海道では、2割を超える看護師が子どもの面倒を見るために出勤できない状態となり、そのため診療の縮小を迫られた医療機関も出てきてしまったとの事例も報告されています。
千葉市では、首相による休校要請を受けて熊谷俊人市長が迅速な対応で、すでに来週以降の体制について発表しています。
学校休校について方針を固めました。3月3日(火)より市内一斉休校とします(市立高校は4日から)。2日(月)に休校中の学習・生活指導を丁寧に行う等、混乱を回避します。
— 熊谷俊人(千葉市長) (@kumagai_chiba) February 28, 2020
1・2年生で保護者がどうしても対応できない場合は学校で自習。疫学的知見に基づき、各教室少人数に分散して予防に努めます。
こうした優れたリーダーシップを発揮してくれる首長がいる自治体ならば、まだ今回の休校措置による副作用を最小限に留めることができるのでしょうが、熊谷市長のような迅速かつ的確な動きができる首長は、全国にそう多くないのが実情です。
まとめ
さて、ここまで述べてきたような理由から、今回の全国一斉休校要請に対して、私は大きな疑問を抱いています。あまりに効果が乏しく、それに比して副作用が大きいと感じるからです。
しかし、決まったからには(あくまで「要請」なので、従わない自治体が出てくる可能性もありますが)、いかにこの休校措置による“副作用”を少なく遂行していくかといった思考に切り替えていく必要がありそうです。
自治体によってかなり対応にバラツキが出ることになりそうですが、千葉市などの動きを参考にしながら、とにかく国民の「くらし」を大切にした対応がなされることを願っています。
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