2023年2月25日
この時期だけの日課があります。
それは、朝起きて海側の窓を覗くこと。
結露がひどく、外が見えないことが度々ですが、端っこの方だけでも覗いて、空と海の様子を見ます。「あ、今日も流氷がある。」そう確認したら、お湯を沸かしゴミ出しに行きます。
冬に流氷が来る街に住んで、6年目となりました。いつか離れると思いながらも、また今年も、朝に起きるのが楽しみな日々を過ごしています。
新しい旅の形として「余白をえがく道東旅」のコーディネートのお手伝いをしてきました。今年初めの燃え尽き症候群、なう。
「知床サス旅」に引き続き、多くの方が知床を訪れ、各々で選んだコンテンツを楽しんでくれました。どんな人が来るのか、当日にならないとわからないというドキドキ感はあるけれど、その感性を存分に発揮してくれる方々ばかりで、今後のつながりも含めて楽しみだなと思っているところです。
知床は「正しく観光ができる」場所なんだな〜と思います。
流氷ウォークや知床五湖のツアーなど、王道と呼ばれるコースもあり、大型のバスツアーやそれに対応できる大型ホテルやインフラ(国道など)もあります。
お客様に聞かれたら、「まずはこちら!」というようなツアーが既にあることはとても素敵なこと。課題感としてはリピーターのお客様(例えば、4回目以上の知床ファン)が何をするかというときに、選択肢がえらく少ないのではないかということです。
住んでしまえば日々飽きることなく過ごしているのですが、何度来ても「まずはこれ!」というコンテンツに参加させられてたら、私だったらもういいかなって思うかも。
初見の人も4回目の人も同じ空間で満足できるもの(スキルアップしていくスポーツ系のものとか?)が少ないのかなぁ。まぁ、もしかすると、それが好きで来ている人もいるかもしれない。
もっとお客さんと対話しないと、と思うこの頃。「YOUは何しに知床へ?」と、送迎車の中でお客様に聞きまくる毎日。
単純な「宿泊人数○○名!」という数字で見るだけでは、わからない何かをつかめていないことは、私たちの大事なものを失わせているような気がしてならないのです。
正しくない観光…というと語弊の塊ですが、「観光っぽくない観光」、例えば、暮らしと密接したようなものや、ビジネスに発展しそうなコンテンツがあって、より多様な知床への訪問理由を並べられることで、多様で多彩な方が来訪し、様々なイノベーションを起こしていくような気がしています。観光が生きているだけではなく、きちんと活きている感。
そんなことで人に来て欲しいのか、観光で地域のイノベーションを起こしたいのか、どう考えるのかは地域のみんなそれぞれが考えるべきかもしれない。
手っ取り早く稼ぎたいなら「初見さんウェルカム観光」をやったらいいし。でももっと、本質的な観光や、地域課題解決など一歩踏み込んだところに観光を置くするなら、もっと観光のあり方を考え信じるべきかもしれない。
イノベーションってどう起こるのかって考えた時に、仕掛け作りと、そのイノベーションをうまくキャッチできる人が地域側にいなければ意味がない。
「アイディアはたくさんあるけど、泥臭く実践していくことが大事。」
地域側も、一歩進んだ観光にうまく「はまっていく」必要があるんじゃないのか。そのためにもいろんな壁を越えなきゃいけない。地域は、ここに住む一人ひとりは、何を求めているんだろうか。
この地域は、過去に置き去りにされる遺産じゃない。
世界自然遺産として観光されることも重要なのはわかるけど。世界自然遺産であることは「知床」のプロフィールの一つでしかなくて。どうしても、ここに居ることにそれが理由になってしまうけど、それは一つのきっかけでしかないんじゃないのか。
私は、もっと、「知床」としてもっと、今を生きて活きたい皆さんに、訪れる人にも迎える人にも、ここにいる人に発信できるメッセージがあると信じています。
他の国立公園や、今、観光という分野で新しい動きを見せる地域は、今まで何もなかった(と思ってるだけで、ほんとはたくさん資源が眠っている)地域に新しい風が吹き、改めて地域の資源や魅力に注目される取り組みばかりです。うらやましくも、この地域との違いを見せつけられるような。観光が大きくなりすぎた(?)この地域で、まだ「尽くしきれてない」「もっと輝くべき」なのは何なのか。
今まで正しかったこと、「王道」と呼ばれるものが、これからの「正しい」であるのだろうか。
そもそも正しいとか、正しくないとか、そんな二極のものさしで測られたいわけではない。もっとこう、枠からはみ出た個性豊かな選択肢があってもいいのではないだろうか。
この場所で出会うみんなは、とても個性的で、豊かで、可能性を秘めているやつらばっかりです。きっとこれからどんどん芽が出てきます。
大きく、正しいとされる観光に、この場所の魅力が隠されないでほしい。
大きく、正しいとされる何かに、踏みつぶされることなく、ちゃんと育つことができますように。
私も含めて…。
あとは、願うだけではなく、きちんと体と心を動かすことからはじめること。
この場所で、共通価値の創造を体現することをしたいと思っています。
共通価値の創造とかって難しく言いましたけど、とりあえず関わった人がwin-winになるようなイメージ。お金稼げたんでwinとかもそうだけど、もっと活きてる人間らしいものがいいなぁ。というかwinとかloseの二極ではないと思う。参加した人たちが、幸せかどうか。活きてるかどうか。
幸せの反対は不幸せではなくて、ただ何も感じない、ということだと思います。空を見てもいつも曇っていて、ファーストフードにような刺激物ですら味がしないようなこと。
だからwinとかloseの二極ではない気がしていて。相対的な価値ではなく、絶対的な価値で、やりたいことを共創したい。
共創には何が必要だろうか。誰かに教えてもらいたいけど、一つずつ積み重ねていくしかないですよね。
未来を「変えたい」とは思っていません。
私の中で、未来はまだまだ何色でもないと思っていて。真っ白なキャンパス~~というありきたりな回答でもあるけれど、どちらかというと、いろんな絵の具の色がぽつぽつとちりばめられている感じ。これからどの色が強くなるんだろうな~わくわく(cv.アーニャ)、という感じです。
知床の未来を共創する。ともに作る。ともにえがく。
そういう思いを込めて、「シレトコノミライ」と名付けました。
今から動き始めるもののために。今思っていることを、ここに書き留めておきます。
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