洋服お直し講座2-1 パンツの丈直し
こんにちは。Hadopelagic Maison(ヘイドペラジックメゾン)の花子です。
第2回採寸お直し講座はパンツの丈編、3~4回に分けて投稿予定です。
今回も記事は途中から有料とさせていただいております。
是非最後までご覧いただけたら幸いです。
ショップからも一般のお客様からも最も多く持ち込まれるのがパンツの丈直し。
お直し屋では入社するとまず初めに教わるお直しの基本中の基本なのですが、これがとっても奥深いもので、簡単なように思えて実は非常に難しいです。
たかがパン丈、されどパン丈。気を引き締めて学んでいきましょう。
パンツの裾には大きくわけて3種類の仕立てがあります。
シングル・ダブル・タタキなどと呼ばれ、それぞれ見た目や注意点が違ってくるのですが、それらは次回以降にじっくりとお話することにして……本日はどのパンツにも共通して言える採寸時の注意点などをご紹介します。
ザックリと試着前・試着中・試着後に項目を分けていますが、細かなタイミングの前後はあるかと思うので現場の状況に合わせましょう。
試着前
〜品物の汚れやキズを確認する〜
新品・先地品に関わらず、ご試着していただく前に品物を全体的に見てみましょう。思わぬ汚れやキズがあるかもしれません。
お直し屋ではお持ち込みの度にまずやることを推奨します。ショップでも先地品の場合は特に要注意。
前回のお直し講座1でも詳しく説明していますので、是非そちらも合わせてご覧下さい。
そしてこの時、もう一つ確認してほしい事があります。
〜左右差が無いか確認する〜
採寸時に気にするべき左右差はふたつあります。お客様の足の左右差と、品物の左右差です。
足の長さが違うのにパンツの丈を左右揃えてしまったり、逆にパンツの左右の長さが違うのに同じ寸法ずつ切ってしまったりすると、着た時にちぐはぐに見えてしまう事故の元です。
長い分にはつめられますが、短い方は丈出しできないこともあります。
左右でつめ寸法を変える必要があるケースは意外と多いので注意しましょう。
⚫︎足の左右差
人間の身体は完全に左右対称ではありません。決まった片脚に体重を乗せる癖があったり、スポーツをする習慣があり筋肉の付き方が違ったりと理由は様々ですが、0.5~1.5センチ位の左右差は珍しくないのでお客様に聞き取りをしましょう。
タイミングとしては採寸中がおすすめです。
ご自身で把握している方は先に言い出してくださることもありますが、中には『気にしたことがなくわからない』というお客様もいらっしゃいます。
そんな時は採寸時に左右同じ寸法を折りあげてみてサッと確かめてみましょう。ただし、この方法は後述の品物の左右差が無いことが前提になりますのでご注意を。
見た目が揃うかどうかですので、鏡に映る姿で確認することが一番です。
●品物の左右差
売り物の洋服は左右まったく同じ長さにできている……とつい思ってしまいますが、実は意外とそうでもありません。個体差があったり、左右で股下の長さが違うことはよくあります。
それは製造上避けられないことであり、そのためメーカーは独自の『許容範囲』を定め、多少寸法に誤差があってもその範囲内であれば問題無しとみなして売り場に出すのです。
品物の左右差は、試着の前に把握しておくと採寸で役立つ場合があります。
可能であればお客様を試着室へご案内しお荷物などを置いていただいている間にサッと見ておきたいですが、もちろん接客の流れ上先に左右差を見ることができない場合も多々あるかと思います。その時はその時で、試着が終わってから確認しましょう。
⚫︎左右差の見方
パンツ全体が乗せられる大きな台に置いて、センタープレスのあるものは折り目でたたみ、無いものは脇を合わせて前身頃を内側にしてたたみます。
パンツのウエスト側と裾側を持ってピンと張り(引っ張りすぎはNG、たたみジワなどを伸ばす程度)、左右の長さの差を見ましょう。
この時、中には真っ直ぐに置くことができない品物があります。そもそも洋服は平面の布を人間の身体に合わせて立体的にしてあるものだからです。他にもデザイン的に布の分量が多かったり、先地品で着用により膝抜けが起きているなど原因は様々ですが、そういったものはパンツ全体を一気に見るのではなく、前は前、後ろは後ろ……と測りたい辺だけを真っ直ぐにしてそれぞれ確認していくと見やすいです。
また、歪みも同時に確認すると良いでしょう。脇側と股下側の長さが違ったり、裾が平でなく不自然なカーブになっていることもあります。
どこがどのくらい長い/短いのかなど特徴を伝票などにメモしておき、それを加味して採寸に移りましょう。
ここからはいよいよご試着いただいた後の話に移ります。
採寸時に気にしておきたいポイントや、丈出しは何センチまでできるのかチェックの方法、お直し業者に出す際の伝票に書くときの小さな工夫etc……盛りだくさんでお送りいたします。
目次で内容をチラ見せしておりますので、気になったかたは是非ご購読よろしくお願いいたします!
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