消化器病専門医試験2023年復元問題

2023年10月1日に開催された消化器病専門医試験の復元問題です。
合格したため、復元問題を作成し、公開することとしました。
なお、各問題には予備知識も記載しておりますので、ぜひ活用して頂けますと幸いです。その前に個人的に行った試験対策を以下に挙げます。

①消化器病学会専門医試験過去問 
第9集・第8集(2〜3周)、第7集(2周)
②noteに掲載されている過去問(2022年)を購入。
③専門医のための消化器病学 第3版
④各種ガイドライン(消化器病学会が無料公開していたガイドラインや実際に神経内分泌腫瘍のガイドラインや癌取り扱い規約も購入し、活用しました)

実際の試験は、これまでの試験と比べて外科の問題がかなり増えた印象です。
胃がんの術式を答えさせる問題が4問程度出ていたかと思います。
(D1+郭清等細かいところまで)
また、直腸癌術後のストーママーキングについての知識問題もありました。
そのため、ある程度はステージングとそれに相当する治療法に関しては対策が必要かと思います。
復元問題の内訳は以下のとおりです。
食道 10問
胃  21問
大腸 24問
肝臓 16問
胆膵    12問
その他 5問(消化管と上皮の組み合わせ、フレイルについて、倫理審査を通さなくても良い研究について、臨床試験について、DPCについて)
計88/100問です。

2023年10月の試験もCBT形式でした。会場(私は新宿会場でした)に到着し、受付後には荷物をすべてロッカーに入れて入室することとなるため、直前までロッカーの前で資料を眺めたりしている方も所々いらっしゃいました。
また、試験中は筆記用具の使用は不可でメモも出来ませんでした。

2023年第33回消化器病専門医試験結果 
受験者数 837名 欠席者数 30名 合格者数 612名 合格率 73.1%であり、ここ数回の試験と比較し、約14%ほど合格率が低下しており、以前に戻った印象です。

★NEW ! 2024年2月19日 
バレット食道や食道胃接合部癌等(Siewert、西の分類)の定義を追加しました。
★NEW ! 2024年2月29日
便秘症に関してガイドラインから抜粋し、記載しました。
★NEW ! 2024年5月27日
・GIST、IBS、慢性膵炎について追記しました。
・胃癌の組織型分類と記載法について追記しました。
・リンチ症候群における関連腫瘍の累積生涯発生率について追記しました。
・自己免疫性胃炎について追記しました(胃10)
・肝性浮腫 / 脳症の治療について追記しました
★NEW ! 2024年6月1日
遺伝子診断やカウンセリングについて追記しました。
(大腸ポリープ診療ガイドラインから抜粋)
★NEW!2024年6月10日
IPMNの特徴、MCNの参照リンク
UC, Crohn病の保険適用薬について追記しました。
★NEW ! 2024年6月19日
ピロリ菌の知識についての画像を添付しました。
食道癌に関する知識を追記しました。(咽喉頭の観察、ヨード染色などについても)
★NEW ! 2024年6月20日
食道アカラシア、食道静脈瘤に関する知識を追記しました。
★NEW!2024年6月22日
大腸鋸歯状病変、指定難病、好酸球性食道炎/胃腸炎について追記しました。

◾️◾️◾️2023年10月1日 消化器病専門医試験 復元問題◾️◾️◾️
⚪︎食道 10/10問
1. 食道癌手術における処理血管で処理しないもの → 上肺静脈 ?
⚫︎咽頭・食道領域の定義・分類
咽頭には粘膜筋板が存在せず、上皮、上皮下層、固有筋層に分類される。
表在癌の定義:咽頭・喉頭では癌細胞の浸潤が上皮下層に止まり、固有筋層に及んでいないものと定義され、リンパ節転移の有無は問わない
早期癌の定義:原発巣の壁深達度が粘膜内にとどまる食道癌を早期食道癌とよび、リンパ節転移の有無は問わない。
内視鏡で切除された病変では、粘膜筋板から200μm以内の粘膜下層にとどまる病変をT1b-SM1とし、200μmを超える粘膜下層に浸潤する病変を全てT1b-SM2とする(SM3は定義されない!!)と規定されている。
食道癌取扱い規約12版から腹部食道(Ae)という表記が削除され、
食道胃接合部上下2cmの部位は、食道胃接合部領域(Jz)と区分することとなった。
Ce(頸部食道):食道入口部(O)〜胸骨上縁(S)
Ut(胸部上部食道):胸骨上縁(S)〜気管分岐部下縁(B)
Mt(胸部中部食道):気管分岐部下縁(B)〜B〜EGJまでの2等分の位置
Lt(胸部下部食道):B〜EGJまでの2等分の位置〜食道裂孔(H)

・扁平上皮がんにおけるアルコールについて
アルコール飲料に含まれるエタノールは胃・十二指腸および小腸から吸収されて肝臓に運搬されて肝細胞内のミトコンドリアでアルコール脱水素酵素1B(ADH1B)によってアセトアルデヒドに代謝される。アセトアルデヒドは、ミトコンドリアに局在するアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)によって発癌性のない酢酸に代謝される。
ALDH2には遺伝子多型があり、
日本人の
50%強は野生型、
40%はヘテロ欠損型、
10%弱はホモ欠損型である。
ホモ欠損型はALDH2の酵素活性がほとんどなく、ヘテロ欠損型はALDH2の酵素活性は野生型の約17%と低い
ALDH2欠損型(ヘテロ欠損型とホモ欠損型をALDH2欠損型と定義)の多くは、フラッシャーであり、お酒に弱い体質であるが、飲酒を継続すれば大酒家になりうる。

ヘテロ欠損型の大酒家は食道癌発生リスクは高いことが明らかにされている
ADH1Bにも遺伝子多型があり、日本人の5-7%は、1 alleleのホモ低活動性であるが、ADH1B低活性型はエタノールの代謝が遅いため、飲酒をすると長時間エタノールに暴露されて耐性が進行しやすく、顔が赤くなるフラッシング反応も弱く、多量飲酒者になりやすい。

⚫︎食道癌リスク検診問診票
・「現在、コップ1杯程度の少量の飲酒で、すぐ顔が赤くなる体質がありますか?」
・「飲酒を始めた頃の1-2年間は、ビールコップ1杯程度の少量の飲酒で、すぐに顔が赤くなる体質がありましたか?」を質問し、いずれかで「はい」なら
顔面フラッシング反応陽性とする。
食道癌発生リスクはALDH2酵素活性正常者の3.1-8.5倍に増加する。

⚫︎ヨード染色について
ヨード散布を行うと食道粘膜に多発ヨード不染帯を認めることがあるが、Mutoらはこれをmultiple Lugol-voiding lesions(multiple LVL)と命名し、飲酒とALDH2の遺伝子多型との関係を報告した。
食道癌患者において、ALDH2欠損型かつ1日の純エタノール換算100g未満の飲酒習慣は、ALDH2酵素活性正常者かつエタノール換算100g未満の飲酒習慣と比較すると、multiple LVLが発生するリスクは有意に高かった。
ヨード不染帯のGrade C(内視鏡1画面中に不染帯が10個以上存在するもの)は、異時性食道癌発生と異時性頭頸部癌発生の独立したリスク因子である。
ヨード溶液の濃度は健診においては、0.5%-1.0%程度で十分と考えられる。
中和剤はチオ硫酸ナトリウムである。

⚫︎Type B血管診断の陽性的中率は以下
B1 vs EP/LPMは93%
B2 vs MM/SM1では62%
B3 vs SM2は74%

⚫︎AVA血管診断の陽性的中率は以下
small vs EP/LPM 73%
middle vs MM/SM1 89%
large vs SM2 100%

⚫︎深達度の話
粘膜筋板に達すると約10%で転移を認めることから、内視鏡切除検体の病理診断で脈管侵襲陽性の場合は追加治療が推奨されている。pT1b-SM2の場合は、リンパ節転移が40%とする報告が多く、内視鏡治療適応外である。以下参照。

⚫︎咽頭観察の観察
検査前事前に説明しておくと不安が軽減し、咽頭反射の軽減につながることがある。また、観察時には発声してもらうことを説明する。特に精密な観察が必要な場合には、深吸気後に息こらえをして頬部を膨らませて口腔咽喉頭に空気を充満させるバルサルバ法が効果的である。
下顎を前方に突き出す姿勢(匂いを嗅ぐ姿勢)にすると下咽頭の視野を確保しやすくなることがある。
※咽頭観察時はスコープ先端を後壁側に沿って観察することが望ましい。
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2. 好酸球性食道炎 → Ist としてPPIを使用する。
3. 好酸球性食道炎 → 選択肢に即時型アレルギーで急性発症する
★好酸球性食道炎(EoE) 指定難病98
日本では好酸球性胃腸炎(EGE)は多いが、EoEは少ない。
逆に欧米ではEoEが多い。
・病態:食事や空気中の抗原に対するアレルギー
食道の運動障害や線維化に伴う狭窄をきたし、胸のつかえ感・嚥下障害などの症状を引き起こす。本邦でも増加している可能性が高い(欧米では急増している)
※診断基準の必須項目
1.食道機能障害に起因する症状(嚥下障害、つかえ感)の存在
2.食道粘膜の生検で上皮内に好酸球数15個以上/HPF(400倍視野)が存在(数箇所の生検が望ましい)
※EoEに特徴的な内視鏡所見
1.Edema(浮腫、血管透見の低下・消失)
2.Rings(輪状ひだ・気管支様食道)
3.Exudate(白色滲出物)
4.Furrows(縦走溝)→粘膜の炎症・浮腫が要因とされる
5.Stricture(狭窄)などがある。

頻度が高いものから縦走溝(furrows)、白斑(evudate)、輪状の多発収縮輪(rings)
食道粘膜の生検で上皮内に15/HPF以上の好酸球が存在していることで診断。
しかし!好酸球性胃腸炎では、胃/小腸/大腸の生検で粘膜内に好酸球主体の炎症細胞浸潤が存在している。20/HPF以上の好酸球浸潤で診断される。
食道15/HPF 
胃腸20/HPF 混同注意です!

※治療
未確立(根本的な治療は確立されていない)

★指定難病一覧(消化器疾患)


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4. バレット食道腺がんの治療法 → 選択肢に放射線療法、手術あり
*バレット食道の定義
バレット粘膜(胃から食道に伸びる円柱上皮で構成され、腸上皮化生の有無を問わない)の存在する食道をバレット食道と呼ぶ。
※バレット食道腺癌は、バレット粘膜に生じた腺癌である。食道胃接合部の胃粘膜から生じた腺癌(胃癌)とは発生母地が異なるが、大きな進行癌では区別できない場合もある。組織分類に関しては、「胃癌取扱い規約」に準じる。
○疫学
食道癌におけるBAC(バレット食道癌)と食道腺癌を合わせた割合は2002年に2.4%,2012年には7.4%と約10年間で約3倍に増加しているが、欧米ほどの増加はない。また,背景粘膜に関して,欧米では最大長が3cm以上のLSBE(long segment Barrettʼs esophagus)の有病率が2~7%であるが,本邦のそれは0.35%であり,圧倒的にSSBE(short segment Barrettʼs esophagus)が多い.
Barrett食道の長さによって発癌率は異なり,SSBEでは年率0.19%,LSBEでは年率0.33~0.56%と報告され、LSBEはSSBEに比べ発癌率が2~3倍高い.
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease ;GERD)はBarrett食道の要因である。
31)胃と腸 56(2):135-137, 2021より抜粋

Barrett食道腺癌ぼ場合、粘膜内癌では、本来の粘膜筋板よりも浅い層に新生粘膜筋板が形成されている場合はそれを指標にして、それより浅いものをpT1a-SMM, 本来の筋板に達するものをpT1a-DMMとする。

・GERDの定義
明らかな粘膜傷害が認められるものと定義され、粘膜傷害は「より正常に見える周囲粘膜と明確に区分される白苔ないし発赤を有する領域」と定義される。
NERDとErosive esophagaitisに分類され、NERDはgradeNとM、それ以外はErosive esophagitis。GERD患者は増加中であり、少なくとも週2回以上のGERD症状を持つ患者は人口の6.6%と言われているが、そのうち80%がNERD患者であるとされる。また、本邦の胃食道逆流症の大部分は軽症型であり、全体の
90%を占める。GradeA/Bは食道壁下部の前壁〜右壁に好発するが、
Grade Cは後壁に好発する。

5. 食道表在癌あり EUSでSM massive以深浸潤疑い。深達度を答えさせる問題。
→確か第4層のMPまで及んでいた病変だった気がします。

★EUSについて
SMT/SELや進行癌には胃壁深部や壁外を広範囲に観察可能な
大型の振動子を有する専用機や12MHz細径プローブを選択する。

小さな早期胃癌などの表在性病変には内視鏡下に病変を確認しつつ胃壁の浅層を詳しく観察できる15-20MHzなどの高周波数の細径プローブを選択する。

深達度診断(脱気水充満法またはバルーン併用脱気水充満法)
500mL程脱気水を注入し、病変とその周辺の正常胃壁を適度に伸展させ、消化管壁と適切な距離(5-20mm)を保ち、深達度診断を行う。

リンパ節転移診断(バルーン法)
胃・十二指腸全周の壁外情報を深部まで得るため、深達度診断で注入した脱気水を可能な限り吸引し、バルーンと胃・十二指腸を密着させ、ブラインドのないリンパ節転移診断を行う。

6. 食道癌および胃接合部癌のガイドラインについて 2つ選べ
選択肢→75歳以下が対象となる。
7. 食道静脈瘤破裂の臨床問題→まず行う治療は? EVL
⚫︎治療適応
出血所見を認めるもの(活動性出血およびフィブリン栓)
・出血既往のあるもの
・F2以上の形態あるいはRC  sign陽性
・孤立性胃静脈瘤においては
出血例、出血既往のほか、静脈瘤上にRCやびらん、潰瘍を認めるもの、F2/3の緊満したもの、6か月以内に急速に増大したもの

※EISの適応慎重検討例
・著明な黄疸 T-Bil 4.0mg/dL以上
・低アルブミン血症(Alb2.5g/dL以下)
・血小板低下例(2万以下)
・全身の出血傾向
・大量の腹水、肝性脳症、腎機能低下

→その場合の代替案としては食道静脈瘤であればEVLを、胃静脈瘤であれば内視鏡的胃静脈瘤組織接着剤注入術が挙げられる。
・EISは静脈瘤内注入法(Intravariceal EIS)と静脈瘤外注入法(Paravariceal EIS)に大別され前者にはEO(ethanolamine oleate、商品名オルダミン), 後者にはAS(aethoxysklerol)を用いる。

★Intravariceal EIS
・被験者を仰臥位あるいは左半側臥位にさせる!
・穿刺部位は、食道胃接合部から5cm胃内の下部食道に行う
穿刺後、介助者が軽く陰圧をかけ、穿刺針が静脈瘤内にあることを確認する。
内視鏡装着バルーンを空気で膨らませて(約15-30mL)、EOの排血路側(頭側)への流出を防止する。X線透視下に確認しながら門脈に流入する寸前
(左胃静脈の門脈合流寸前)までEOを注入する。
内視鏡バルーンを脱気させた後、静脈瘤から抜針する。(できるだけ出血量を減らす)穿刺部位からの出血は内視鏡装着バルーンで圧迫し、止血する。
・投与量:1回のEOの使用量は0.4mL/kg以内(20mL/体重50kgあたりを目安)とし、多量の静脈瘤内注入を行なった際は、腎障害の予防のためハプトグロビン2,000-4,000単位を速やかに静脈内投与し、十分な輸液を行う。

・EO:血管内に注入されると内皮細胞を障害し、血栓を形成する。強力な溶血作用もあるので、全身に多量のEOが流れるとヘモグロビン尿をきたし、腎不全を合併する可能性がある。EOの血管内皮障害により静脈瘤を血栓化し、閉塞させることを目的としている。

・AS:EOと比べ、血栓形成作用は弱く、組織障害や溶血作用も弱い
そのため、主に静脈瘤外注入法に用いる。

・無水エタノール(保険適応外)
EOやASと比較して内皮細胞障害効果があり、即時に血管塞栓が可能である。
貫通血管や壁外シャントが発達している症例に有効。
しかしながら、大循環系へ流入すると肺塞栓や心筋梗塞を生じるリスクがあるため、1ショット1mL以内で最大2ショットにとどめておく!

★Paravariceal EIS
・方法:下部食道の静脈瘤ならびに静脈瘤周囲の粘膜から
粘膜下層に硬化剤1%ASを注入する手技。Intravariceal EIS施行後で血栓化された静脈瘤、あるいは静脈瘤近傍で、食道胃接合部から口側5cm胃内の粘膜下層に穿刺を行う。針先が筋層方向に深くならぬよう注意し、粘膜下層の膨隆を形成するように硬化剤を注入する。1箇所の注入量は1-2mL年、1回の治療での総量は、20mLを目安とする。EOを用いる場合は、1回注入量は0.5-1.0mL以内にとし、複数部位の注入となったとしても総量は10mLを超えないようにする。

・作用機序:食道粘膜から粘膜層に浅い潰瘍を形成し、その治癒過程で生じる線維化により静脈瘤の消失と粘膜の硬化を測ることを目的としている。

・適応:瘤内に注入困難なF0-F1静脈瘤であり初回治療では
なくIntravariceal EIS後やEVL後の追加治療、形態が小さな再発静脈瘤に対する治療として行われる。単独では供血路塞栓効果は期待できない
。したがってその後はF0RC0を達成するためにはAPCによる地固めを行うことが望ましい。通常、X線透視や内視鏡装着バルーンは不要!
ただし、Intraからの切り替えで形態が残る静脈瘤に対して施行する
場合には止血操作のためにバルーンを使用しても良い。

★EO・AS併用法及びAPC地固め法
方法:EO・AS併用法は、5%EOのIntravariceal EISを行なった後、1週間の間隔をあけて1%ASのParavariceal EISを行う手技である。すなわち、まずIntravariceal EISで食道静脈瘤とその供血路を閉塞する。
次に、静脈瘤内注入が困難となった段階で、Paravariceal EISでEO法後に残存した細静脈瘤を消失させ、完全消失を図る。Paravariceal EISでも地固め療法が可能。しかしながらParavariceal EISによる地固め法では狭窄をきたす割合が高い。
→そこで、Intravariceal EISを2回程度、Paravariceal EISを1回施行後、
APCで地固め法を行うことが望ましい。
食道胃接合部から口側5cmの下部食堂に対して全周を均一にAPC焼灼する。
APC後、潰瘍を形成するが、その潰瘍の治癒に伴い、線維組織の増生で置換される。この線維組織が静脈瘤の新生を遮断することで再発を防止する。
    Intravariceal EIS with EO
→ Paravariceal EIS with AS
→ APC地固め療法
→ 食道壁の線維化
EVLについて
・作用機序:結紮による物理的な静脈瘤血流の遮断とそれに引き続く静脈瘤内の血栓化、結紮部位の潰瘍形成ならびに線維化による静脈瘤消失
→Intravariceal EISで問題となる高度肝機能障害例や腎障害を
合併する症例にも施行しやすい。しかしながら、供血路塞栓効果が
期待できないため
EVL単独ではIntravariceal EISに比して再発率が高く、Paravariceal EISやAPCなどを追加することが推奨されている。
方法:単発式ではオーバーチューブを挿入する。
食道胃接合部のやや胃側(静脈瘤のできるだけ胃側)、
方向は前壁右側(2時方向)から手技を行うことが推奨されている。
連続するLg-cがあれば、Lg-cを含めて結紮する。他の方向に大きな静脈瘤がある場合はそこから結紮しても良い。
→その後口側に向かい、その視野で最も目立つ静脈瘤を結紮する。
結紮箇所の間隔は1.5-2cmくらいあけると直前にかけた箇所の伸展が及ばず、十分な吸引ができる。基本的には内視鏡画面の12時方向(口側)を支点とし、6時方向(肛門側)粘膜を引き込むと吸引しやすい。1回の治療では、8-12個までとし、
静脈瘤の形態がない部分の結紮は避けた方が良い。1週間後に内視鏡検査を
施行し、残存する静脈瘤があればEVLを追加する。しかし、
F1RC0程度であり、吸引できる静脈瘤がない場合にはParavariceal EISやAPCを追加する。緊急出血例では、まず出血部位をEVLで結紮し、止血する。
★EISとEVLを併用するEISL(硬化療法結紮術同時併用療法)も行われている
。EISLは、EOを供血路まで注入後、穿刺部にEVLを行う治療法のこと。
EIS単独に比べて治療時間の短縮や治療効果向上の報告がされている。

孤立性胃静脈瘤に対する内視鏡的接着剤注入術
薬剤:n-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA, 商品名:Histoacryl),
油性造影剤ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル(商品名:Lipiodol)
NBCAはいわゆる瞬間接着剤!孤立性胃静脈瘤には第一選択薬である。
大きな脈管に流出した場合、肺塞栓や脾塞栓を引き起こすリスクがある。
方法:内視鏡装着バルーンは用いない。原則X線透視下で!
NBCA混合液の割合は60-90%が推奨。
注入する際は、ブドウ糖液を用い、生理食塩水は推奨されない。
通常、穹窿部の最も深い部位の隆起が短胃静脈方向で、後壁側が左胃静脈の方向である。穿刺に際してはこれを理解すると良い。

※補足
消化管出血に対する止血術の適応

8. 傍食道裂孔ヘルニアについて正しいもの1つ up side down stomach選択肢→a.先天性である、b.男性に多い、c.食道の左側に好発する9. 食道アカラシアの術式でないものは? Hassab術アカラシアでは、食道癌を合併するリスクが高い。※アカラシアの内視鏡所見深吸気時に柵状血管の全体像が観察されないesophageal rosetteを認める。この所見はLES部位の障害範囲が広範囲に及ぶ症例で見られると考えられている。

Gingko-leaf sign:深吸気特に全周の柵状血管下端が観察できず、下部食道の縦断像を想定すると食道外側から銀杏の葉様を呈する所見である。
この所見はLESの一部分が障害されていると考えられ、頻度は低く、食道垢らしあの初期像と予想される。


・Champagne glass sign:胃内の反転操作において食道胃接合部を観察すると
、狭小部(LES収縮部)が柵状血管の下端より口側に位置し、EGJは弛緩しているように見える内視鏡所見である。これらの内視鏡所見は、LES障害部位の範囲による違いを示している可能性がある。
LES障害部位が広範囲であるesophageal rosette
LESの狭い範囲の障害(主にLES下端)の障害であるgingko-leaf sign
LES中部から上方部位の障害であるchampagne glass signに分類される。

・Pinstripe pattern
食道粘膜表層のごく細い縦走する全周性の襞であるこの所見は客観的な所見に
乏しい初期食道アカラシア患者の約60%に見られ、鎮静剤使用時にも観察される。
・食道体部運動異常を疑う内視鏡所見
食道体部の同期性収縮や強収縮を特徴とするdistal esophageal spasm(DES)やhypercontractile esophagus(jackhammer esophagus), また食道体部の同期性収縮を伴うType IIIの食道アカラシアでは、内視鏡検査において食道大部に多発輪状(数珠状)収縮波やらせん状収縮波、食道の狭小化(伸展不良)を認めることがある。つかえ感や胸痛などの症状を認め、これらの所見を有する時は食道体部の運動異常を疑う必要がある。

治療法:経口内視鏡的筋層切開術(POEM)→2016年に保険収載
これが標準治療となっている!奏功率95%以上。
食道の同期性収縮部位を長く筋層切開する必要のあるType IIIの食道アカラシアにおいては、POEMがファーストラインとして推奨される。
POEM後に症候性胃食道逆流症(GERD)を15% 程度に認めるが、いずれも軽症であり、酸分泌抑制薬の投与で対応可能。

10. 食道内圧検査について正しいものは? 
*選択肢:胃の蠕動運動も測定可能である

⚪︎胃 21/25問
1. 食道胃接合部癌における西分類とSiewert分類について
→○食道1cm, 胃2cmの腺癌
*食道胃接合部癌の定義(西の分類)*
Stageは組織型により異なる。腺癌では胃癌に、扁平上皮癌及びその他では、頸部・胸部食道癌に準じた進行度分類を用いる。ただし、領域リンパ節及びリンパ節郭清度は組織型に関わらず領域いリンパ節に記載のごとく定める。
食道胃接合部領域(Zone of the EGJ(Jz))EGJ上下2cmに癌腫の中心(最深部)があるものは、組織型に関わらず食道胃接合部癌という。
腺癌(AC). 扁平上皮癌(SCC), その他(OTH)に分けて記載する。

TNM分類(第8版)では癌腫の中心が食道胃接合部より胃側2cm以内にあり、食道側に浸潤するもの(Siewert types I/II)では食道癌と分類されるが、
癌腫の中心が胃側2cmから5cmにあり、食道側に浸潤するもの(Siewert type III)は胃癌に分類される。

※食道胃接合部に発生する腺癌においては、粘膜筋板から500μmを超える粘膜下層に浸潤する病変全てをT1b-SM2とする。
(食道癌であれば200μmを超える浸潤でSM2なので混同要注意です。)
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2. 早期胃癌 角部前壁のSM massive → 治療は? 幽門側胃切除

※内視鏡治療により切除された標本の扱い
・手順
①伸展固定 
胃の場合10%中性緩衝ホルマリン溶液で6-72時間固定
②ホルマリン固定
ホルマリン固定後には十分な水洗が必要。
粘液がある場合は重炭酸ナトリウム1gに粘液溶解剤(ガスチーム1包)、水道水
200mLを加え十分に洗浄することもある。
③染色
④実体顕微鏡観察
⑤切り出し
断端に最も近い病巣部分に接線を想定し、それに対して垂直に
割を入れ、さらにこの割に平行に2-3mm間隔で切り出す。
⑥病理組織学診断

3. 噴門直下の進行癌 → 噴門側胃切除
4. 進行胃癌 3型 全摘か幽門側切除か
※このどれかでsigの病理が出ていました。
・胃癌治療におけるバイオマーカー
→HER2, MSI, TMB, NTRK, PD-L1(CPS  scoring)
NTRKは胃、大腸、肺で関連。
〜胃癌取り扱い規約15版より抜粋 組織型分類と記載法〜
1) 一般型 
 (1)乳頭腺癌 pap
 (2)管状腺癌 tub
 a.高分化 tub1
 b. 中分化 tub2
 (3)低分化型腺癌 por
 a.充実型 por 1
 b. 非充実型 por 2
 (4)印環細胞癌 sig
 (5)粘液癌 muc
2) 特殊型
 (1)カルチノイド腫瘍
 (2)内分泌細胞癌
 (3)リンパ球浸潤癌
リンパ球浸潤がんではEBウイルス感染が証明されることが多い。
胃の上部に好発する。ただし、リンパ球浸潤がんでなくてもEBウイルスが証明されることがある。胚細胞への分化を示す特殊型胃癌として胎児消化管類似癌と肝様腺癌がありしばしば混在する。Glypican 3やSALL4蛋白が発現し、AFPを産生していることが多い。
 (4)胎児消化管類似癌
 (5)肝様腺癌
 (6)胃底腺型胃癌
 (7)腺扁平上皮癌
 (8)扁平上皮癌
 (9)未分化癌
(10)その他の癌
※余談 腺癌の原発巣同定に有用な免疫染色
胃癌のマーカー:MUC5AC, MUC6, pepsinogen-I 
大腸癌のマーカー:MUC2, CDX2
5. T1bの癌の外科手術について D1+郭清を行うが正答と思われます。
6. ESDの絶対適応について2つ選べ → 過去問と変わりありませんでした。
7.  アニサキスについて 夏季に多い、1型+3型アレルギーである(○)
8. IBSについて誤り2つ 
選択肢→a. 予後が健常人と比較して悪い、b. 感染性腸炎の後に発症することがある、c. 腸管の運動機能障害と関連する。
9. NSAIDs潰瘍について使用する薬剤は?
選択肢→PG製剤とPPI, 他H2RA
10. A型胃炎について合併疾患で誤っているもの 
a. 2型糖尿病(正しくは1型糖尿病)他、b. 甲状腺機能低下症、c. 胃癌、
d.胃カルチノイド
11. A型胃炎~悪性貧血(汎血球減少あり)の臨床問題 
本症例で誤っているものは? → LDH低値
※自己免疫性胃炎(AIG)においては貧血を合併して初めてA型胃炎と呼称する。
(胃炎の京都分類より抜粋)
「何らかの」自己免疫異常に伴い壁細胞が破壊・消失し、この過程においてH + / K + ATPase に対する自己抗体(抗胃壁細胞抗体)が産生される特殊型胃炎を指す。
★AIGの内視鏡所見の特徴
→胃体部から胃底部優位の均一な血管透見像を呈する高度萎縮を認めることが基本的な内視鏡所見。
それ以外にも固着粘液と残存胃底腺粘膜(ROM:remnants of oxyntic mucosa)も特徴的な所見であり、腺窩上皮過形成性ポリープはAIGの拾い上げに有用。

ROMは平坦粘膜、低い隆起、島状、ポリープ状(偽ポリープ)などを呈し、
大きさは点状から面状で境界も明瞭・不明瞭など様々。NBIでは濃い茶色として認識できる。臨床的にROMの重要な点は胃底腺領域にどのくらいROMが残っているか。「胃底腺領域に占めるROMの面積率」はAIGの萎縮、進行度を評価する指標である。
固着粘液は穹窿部から胃体上部に付着する水洗では容易に除去できない黄白色の粘稠な粘液である。尿素呼気試験を偽陽性とする弱ウレアーゼ陽性菌の温床となり、
泥沼除菌の要因となりうる。

★H.pylori感染以外の内視鏡所見
酸分泌抑制薬投与患者の非萎縮性胃底線粘膜に発現する
白色球状外観(WGA)を通常光観察で視認可能であることから白点と呼称された
。白点の頻度は酸分泌抑制薬、特にボノプラザンにおいて有意に高率であり、高ガストリン血症(500pg/mL以上)患者の占める割合が有意に高率であったとされている。

12. 高胃酸の高ガストリン血症を認めるもの
選択肢→A型胃炎、萎縮性胃炎、PPI内服
13. 胃カルチノイド
消化管カルチノイドなので、MEN1と関連があるが○でOKと思われます。

〜膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン2019年【第2版】より抜粋〜
*胃カルチノイドRindi分類*
I型:萎縮性胃炎に伴う高ガストリン血症によるもの
70-80% 1-2cmのものが胃体部に多発する。NET G1が多く転移リスクは2-5%
II型: Zollinger Ellison症候群に伴う高ガストリン血症による
5-6%を占める。1-2cm以下の小病変が胃体部に多発する。NET G1/G2が多く転移リスクが10-30%。II型の多くはMEN1に合併しており、十二指腸病変に対する外科治療が主体
III型:散発性でガストリン非依存
14-25%を占める。一般的に孤発性で2cmを超え、Ki-67が20%超であること
が多く、筋層を超えて浸潤するものが大半。
転移リスク50%以上と報告され、
リンパ節転移や肝転移をともなっていることが多い。

○治療
粘膜下層までの浸潤を伴う胃カルチノイド(449例)
腫瘍径5mm以下       → 4.6%で転移
5.1mm以上1cm以下 → 9.6%で転移
1.01cm以上2cm以下   → 21.4%で転移
腫瘍径1-2cmの胃NETにおけるリンパ節転移頻度が10-21%であることを考慮すると腫瘍径1cm以上、粘膜下層浸潤を伴う胃NETに対しては、2群リンパ節郭清を伴う幽門側切除術あるいは胃全摘術を推奨する
まとめ
I型 内視鏡治療適応外→局所切除、高ガストリン血症是正目的での幽門洞切除考慮
II型 内視鏡治療適応外→胃切除+リンパ節郭清、十二指腸ガストリノーマ切除
III型 肝転移なし→胃切除+リンパ節郭清 肝転移あり
→内科・集学的治療CQ3参照

NECは一般型の腺癌(分化型)から進展するものがほとんどであり、NETとは別ものとして認識すべきである。神経内分泌腫瘍と腺癌成分が混在しいずれも腫瘍内で30%以上あるものをWHO分類ではMiNEN(mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm)というが、生検のみでは確定できない
(消化器内視鏡ハンドブックから抜粋)
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14. 胃GISTについて 
選択肢→2.0cm 直ちに手術をする。
⚫︎GIST 2008年、2011年で出題あり
・発生部位として胃は60-70% 小腸 31-38% 大腸 5%
・遺伝子異常においてはc-kit遺伝子変異が最多。
〜中でもexon11変異はGIST全体の70-80%。
・PDGER遺伝子変異(kit陰性症例の大半で陽性となる)は10%の頻度。
・c-kit, PDGFR遺伝子変異がいずれも野生型であればイマチニブが効きにくい。
・DOG1はkitの有無に関わらず95%以上のGISTで陽性となる。
・kit, CD34いずれも陰性であってもデスミンとS-100がいずれも陰性であれば     GISTと判定。
※再発リスク分類
modified Fletcher/ Joensuu分類があり以下の項目。
①腫瘍径 ②核分裂数 ③部位 ④腫瘍破裂の有無で規定。
※薬物療法
転移や局所進行により切除不能であればないか治療が1st
遺伝子異常に関わらずイマチニブ→スニチニブ→レゴラフェニブの順番で投与する。
※術前補助療法
イマチニブによる術前補助療法の有用性を検討したRCTは存在せず、腫瘍径10cm以上のような巨大GISTや不完全切除の可能性が高いGISTに対する効果については、現時点で明確なエビデンスは存在しない。

※術後補助化学療法
完全切除されたGISTで腫瘍径が多い、核分裂像が多い、腫瘍破裂を認める場合は再発リスクが高い / 再発高リスクまたは腫瘍破裂GISTに対して、完全切除後3年間のイマチニブによる術後補助化学療法が強く推奨される。

15. 消化管ホルモンと症状について誤っているもの 
VIP-低カリウム血症、インスリノーマ-意識障害、ガストリノーマ-消化管穿孔
16. 消化管ホルモンと産生細胞 壁細胞-ペプシン → 主細胞
17. 術式と再建法で誤り 噴門側切除術-B2再建が誤り。
18. ピロリ菌に関する一般問題 
選択肢→便中抗原検査で死菌を検出することがある、ココイドフォルムはウレアーゼ検査で検出される、ウレアーゼ活性のある薬剤の影響を受ける。




19. 胃がんの術後化学療法について正しいもの1つ
ステージ2の術後化学療法としてS-1を1年間投与する。○
HER2陽性例で術後にS-1+トラスツズマブを投与する。 ×
20. ピロリ菌除菌に用いる薬剤として正しいもの アモキシシリンを選ぶ。
21. FDについて誤っているもの2つ選べ
すみません、選択肢の復元はできませんでした。

⚪︎大腸 24/25問
1. IBSと便中カルプロテクチンについて誤っているものを選べ。
2. IBSについての誤り ・男性に多い→誤答かと思います。
2017年にも出題あり。セロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬が2015年5月に女性にも適応追加となった。薬剤はラモセトロン(イリボー)で投与量は男性の半量の2.5μg1日1回。感染性腸炎はIBSのリスクを亢進させることが明らかにされ、感染性腸炎の10%に発症する。リスク因子としては、女性 / 若年 / 急性胃腸炎中もしくは前に心理的問題がある、胃腸炎の頻度が強い、などが報告されている。
⚫︎IBSのRome IV診断基準
◾️腹痛が
◾️最近3ヶ月の中の1週間につき少なくとも1日以上を占め
◾️下記の2項目以上の特徴を示す
(1)排便に関連する
(2)排便頻度の変化に関連する
(3)便形状(外観)の変化に関連する
最近3ヶ月間は基準を満たす。
少なくとも診断の6ヶ月以上前に症状が出現
(Lacy BE. et al. Gastroenterology 2016;150:1393-1407)
ガイドラインでは、
・抗アレルギー薬は強く推奨されている。
・プロバイオティクスは有用とされている(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌)
・治療の高分子重合体、食物繊維は有用であり、強く推奨。
・IBS-C(便秘型IBS)に粘膜上皮機能変容薬は有用であり、強く推奨。
・IBS-D(下痢型IBS)の治療に5-HT3拮抗薬の投与は強く推奨される。
※ラモセトロン以外の5-HT3拮抗薬は保険適用がなく国内では使用できない。

3. 大腸癌で最も高頻度で見られる遺伝子異常はどれか→KRAS
⚫︎大腸癌
転移の有無に関わらずTis, T1 が早期癌, MP以深に浸潤する癌が進行癌。

4. irAE腸炎の臨床問題で誤り2つ選べ。
CDについての選択肢あり、他ステロイド10gの内服を行う、5-ASAを使用する。
→明らかにirAE腸炎の症例でCDIのr/oをするかどうか?がみそだと思います。
5. カンピロバクター腸炎の臨床問題→大腸内視鏡所見あり 
選択肢→鶏肉の摂取が原因(こちらが正解と思われます。)
(内視鏡所見を見て、今回の原因となった背景を選ばせる問題)
病変の局在としては、終末回腸、結腸
カンピロバクターは組織侵入性があり、炎症性下痢をきたす。
また、反応性関節炎を呈することがある(他に関節炎きたすものは、赤痢、サルモネラ、エルシニア)
2017年に正しい組み合わせはどれか、で出題あり
6. クロンカイトカナダに関する一般問題 正答→介在粘膜にも炎症を認める。
7. 消化管ポリポーシスと症候の組み合わせで正しいもの1つ 
→クロンカイトカナダ-腸重積 中枢神経腫瘍(若年性ポリポーシス)×2
8. 家族性大腸腺腫症との関連があるもの2つ
乳癌、若年性胃ポリポーシス(過誤腫では?)、十二指腸乳頭部癌
9. 本邦の便潜血検査について誤っているものを選べ。
選択肢→要精査率が30-40% →誤り
10. ストーママーキングについて誤っているものを選べ。
選択肢→a. 脂肪層の頂点におく、b. 患者に見える位置におく、c
. 腹直筋外側を貫く
11. 回腸嚢炎の治療薬2つ メトロニダゾールとシプロフロキサシン
→これは2022年過去問と同様でした。
12. ステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎で次に使用する薬剤は?
→インフリキシマブ、タクロリムス
◾️潰瘍性大腸炎の内視鏡所見による分類
軽度:血管透見像消失、粘膜細顆粒状発赤、アフタ、小黄色点
中等度:粘膜粗造、びらん、小潰瘍、易出血性(接触出血)
粘膜膿性分泌付着
重度:広範な潰瘍、著明な自然出血
■潰瘍性大腸炎の保険適用治療
①抗IL-12/23抗体製剤 ウステキヌマブ (ステラーラ) 静注薬
②JAK阻害剤 トファシチニブ (ゼルヤンツ) 経口薬
③抗α4β7インテグリン抗体製剤 ベドリズマブ (エンタイビオ)静注薬
④抗TNF-α製剤 
・ゴリムマブ =シンポニー 皮下注
・インフリキシマブ =レミケード 静注
・アダリムマブ =ヒュミラ 皮下注
⑤血球成分吸着療法(イムノピュア、アダカラム GCAP)
⑥タクロリムス(プログラフ)経口投与 
★シクロスポリンは保険適用外!!
⑦5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤
経口剤(ペンタサ®顆粒/錠・サラゾピリン®錠・アサコール®錠・リアルダ®錠)
または坐剤(ペンタサ®坐剤・サラゾピリン®坐剤)あるいは注腸剤(ペンタサ®注腸) 
⑧ステロイド製剤
リンデロン®坐剤 1日0.5~2mg orステロイド注腸:プレドネマ®注腸1日20~40mg、ステロネマ®注腸1日3~6mg、レクタブル®注腸フォーム1回1プッシュ(ブデソニドとして2mg)1日2回
⑨アザチオプリン:寛解維持療法

13. クローン病で使用する薬剤について ベドリズマブとウステキヌスマブ
→前者は抗α4β7インテグリン抗体製剤 、後者は抗IL-12/23抗体製剤

■クローン病の保険適用治療
①抗IL-12/23抗体製剤 ウステキヌマブ (ステラーラ) 静注薬
②抗α4β7インテグリン抗体製剤 ベドリズマブ (エンタイビオ)静注薬
③抗TNF-α製剤  
インフリキシマブ =レミケード点滴静注
アダリムマブ =ヒュミラ皮下注射) 
※ゴリムマブは潰瘍性大腸炎でのみ!!
④血球成分吸着療法(アダカラムのみ)
⑤5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤
ペンタサ®顆粒/錠・サラゾピリン®錠! 
⑥ステロイド製剤
リンデロン®坐剤 1日0.5~2mg orステロイド注腸:プレドネマ®注腸1日20~40mg、ステロネマ®注腸1日3~6mg、レクタブル®注腸フォーム1回1プッシュ(ブデソニドとして2mg)1日2回
⑦アザチオプリン:寛解維持療法

★Crohn病について
近年、粘膜治癒が長期経過に関連することが明らかになり、内視鏡での評価が必要となっている。CDの内視鏡所見としては、腸病変として、縦走潰瘍、敷石像、 skip lesion, 不整形〜類円形潰瘍、多発アフタ、胃・十二指腸病変としては
竹の節状外観、ノッチ様陥凹などがある。内視鏡分類としては
、主にCrohn's disease Endoscopic Index of Severity(CDEIS)、Simple Endoscopic Score for Crohn's disease(SES-CD), Rutgeerts' scoreなどが使用される。

14. 便秘症についてに知識問題→アミティーザは妊婦に禁忌が正解
*便通異常診療ガイドライン2023年より以下を抜粋
便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」
と定義される。
慢性便秘症は、「慢性的に続く便秘のために日常生活に支障をきたしたり、身
体にも様々な支障をきたしうる病態」 と定義される。
慢性便秘症は、一次性便秘症として,機能性便秘症,便秘型過敏性腸症候群お
よび非狭窄性器質性便秘症 (小腸・結腸障害型と直腸・肛門障害型) に分類さ
れる。また、二次性便秘症として薬剤性便秘症 (オピオイド誘発性便秘症を
含む)、症候性便秘症および狭窄性器質性便秘症に分類される。
症状の観点から 「排便回数減少型」 と 「排便困難型」 に分類される。
機能性便秘症と便秘型過敏性腸症候群を含む慢性便秘症の有病率は国や地域、用いる診断基準の違いによって大きくばらつきがあるものの、およそ 10~15%と見積もられる。慢性便秘症は心血管疾患の発症・死亡リスクの上昇、パーキンソン病や腎疾患の発症リスクの上昇に関与するため、長期予後に影響を与える可能性がある。しかしながら,大腸癌の発生への関与は不明である.←こちらは復元できていない問題で、便秘が予後に寄与するという選択肢があったかと思います。
慢性便秘症と食物繊維摂取量については必ずしも相関がみられず、食物繊維摂取が有効なのは摂取量が不足している場合のみであるとの報告がある。
発酵性で吸収されにくい短鎖炭水化物であるオリゴ糖,二糖類,単糖類,ポリオールの摂取を制限する方法は,慢性便秘症および便秘型過敏性腸症候群においてエビデンスが限られており、逆に短鎖炭水化物の摂取は発酵によるガス産生の増加につながり、慢性便秘症への効果はわずかであると報告されている。
(Staller, Kyle, Cash, Brooks. Myths and Misconceptions About Constipation:a new view for the 2020s. AmJ Gastroenterol 2020; 115: 1741‑1745)
しかしながら、発酵性食物繊維のうち,特に本邦において使用報告が多いグアーガム分解物(PHGG)は,慢性便秘症に対して排便回数を有意に増加させるとともに、便秘薬の使用量を有意に減少させることが示されている。
(Chan TC, Yu VNW, Luk JKH, et al. Effectiveness of partially hydrolyzed guar gum in reducing constipa‑tion in long term care facility residents: a randomized single‑blinded placebo‑controlled trial. J Nutr Health Aging 2022; 26: 247)
キウイフルーツ、プルーン、サイリウムの慢性便秘症に対する有効性が示されている。慢性便秘症患者にある種のプロバイオティクス(適正量を摂取することにより宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義され、腸内細菌叢バランスを改善することなどにより生体に有益な作用をもたらすことが期待されるもの)
は排便回数の増加,腹部症状の改善に有効である。本邦における慢性便秘症に対するプロバイオティクスのエビデンスは限られているが,Lactococcus lactis やLactobacillus plantarum による排便回数の増加が報告されている。

選択肢候補→
○慢性便秘症に膨張性下剤は有効である。(⚪︎)
○慢性便秘症に粘膜上皮機能変容薬(ルビプロストンやリナクロチド)は有効であり、投与することを推奨する。(⚪︎)
15. 5類感染症はどれか アメーバ赤痢が正解。他コレラなど。
16. 指定難病で誤っているもの
a.特発性偽性腸閉塞、b.クロンカイトカナダ症候群、c.蛋白漏出性胃腸症、d.好酸球性腸炎、誤りは蛋白漏出性胃腸症


17. 直腸粘膜脱症候群について 正答2個 過去問でも出題があったかと思います。
d.いきみが原因となる。e.生検で線維筋組織を認める。
18.軸捻転について正しいもの。
Whirl signを呈する。内視鏡的整復が有効である(怪しい)
19. 15歳の家族性大腸腺腫症について
a.母の同意を得て遺伝子検査を行う。b.遺伝子検査には生検が必要である。
c.本人の同意を得て遺伝子検査を行う。d.診断後直ちに手術を勧める。
※ガイドラインより抜粋
遺伝子診断における検体採取に際しては、事前に被験者本人に対して、その目的、方法、期待される利益、予想される不利益、遺伝子検査の限界、不確実性、プライバシーの保護、血縁者が同じ遺伝子変異を有している可能性があることなどについて文書あるいは口頭で十分に説明する必要がある。
そのうえで医師は、患者の同意を文書で得る必要がある。
遺伝子診断の実際の手続きについては、各疾患の診断基準に基づいて行うが、遺伝子診断には詳細な家系図の作成が必須である。
したがって、遺伝子解析を行う前には家系図の作成を行うべきである。
遺伝子解析は臨床検査会社で検査可能であるが、遺伝子解析は保険収載はなされていないため、患者もしくは病院の自己負担となる。
商業ベースで遺伝子解析は行われていないので臨床検査会社を個別に検討するしかない。

・遺伝カウンセリングは、疾患に対する遺伝学的寄与のもたらす医学的、心理的、家族的影響に対して人々がそれを理解し、適応していくことを助けるプロセスとされる。このプロセスは、
①疾患の発生及び再発の可能性を算定するための家族歴、病歴の解釈、
②遺伝、遺伝子検査、予防、研究などに関する教育、
③情報を得たうえで選択肢を自律的に選ぶ決断(informed choice)とリスクや状況に呈する適応を促進するための心理カウンセリングで構成されている。遺伝カウンセリングは、患者の状況を考慮した場の設定が必要であり(家族関係、社会的関係)、通常の大腸癌と全く異なる配慮が必要である。

⚫︎FAPに随伴する主な大腸外病変
胃底腺ポリポーシス、胃腺腫、十二指腸ポリポーシス、十二指腸乳頭部腺腫、
空・回腸腺腫、デスモイド:腸管狭窄、穿孔膿瘍、尿管狭窄、時に自然消退
頭蓋骨腫、顎潜在骨腫、過剰歯、埋没歯、類上皮腫、甲状腺癌、
先天性網膜色素上皮肥大、肝芽腫:幼小児期発症、副腎腫瘍、
脳腫瘍:特に若年発症
●大腸ポリポーシスの分類
遺伝性と非遺伝性に分類
遺伝性には腫瘍性と過誤腫性があり
腫瘍性には、FAP(Gardner症候群)、Turcot症候群、attenuated FAP / MUTYH関連ポリポーシス、鋸歯状腺腫症症候群などが含まれる。
過誤腫性にはPeutz-Jeghers症候群、若年性ポリポーシス症候群、Cowden病 / Bannayan-Riley-Ruvalcaba症候群、hereditary mixed polyposis症候群が含まれる。
非遺伝性は非腫瘍性であり、Cronkhite Canada症候群、inflammatory polyposis、リンパ濾胞性ポリポーシスが含まれる。

⚫︎余談:serrated pathway→鋸歯状病変を特徴付ける腫瘍発生経路の一つ
(以下、大腸ポリープガイドライン参照)
HP:Hyperplastic Polyp
SSA/P:Sessile Serrated  Adenoma/Polyp
TSA:Traditional Serrated Adenoma
・過形成性ポリープ(HP)→SSA/P(WHO分類ではSSLとされる)→MSI-hign陽性癌
に至る経路と
・過形成性ポリープ(HP)→TSA→MSS癌に至る経路があるとされている。
・SSA/Pの癌化率は不明だが、2-5%と見積もられている。
・SSA/Pの分子以上は3つ 
①BRAF変異 ②CpG island methylator phenotype(CIMP) ③MSI 
が重要である。
・TSAでは、BRAF変異とKRAS変異が重要である。
・TSAの癌化率は通常型腺腫と差異がないとされている。
→多くのTSAでpolyp基部で過形成性病変を伴うことが知られている。
・鋸歯状病変が関与する大腸癌の頻度は全体の5-10%程度と見積もられている。

★大腸鋸歯状病変について
・SSA/Pは右側結腸に優位に存在し、径10mm以上の扁平ないし広基性病変で平滑〜微細乳頭状を呈し、褪色調で粘液が付着しているものが多い。
NBI観察:JNET Type1 として認される。
拡大観察:開II型pit(II型類似の星芒状pitを基本とする腺開口部が開大しているもの)が特徴的である。
dysplasiaや癌を疑う所見:二段隆起、中心陥凹、発赤

・TSAは左側結腸・直腸に多く、発赤調で有茎性〜亜有茎性のものが多い。
松毬様や枝サンゴ状を呈する。
NBI観察:幅広い間質に拡張した毛細血管が観察される。
拡大観察:IIIH(シダの葉様pit)、松毬様所見に鋸歯状の腺口を伴うIVH pit、さらにシダの葉所見の表面微細構造を有するものは鋸IV型と称され、特徴的な所見。



20. 好酸球性腸炎について
選択肢:生検で10/HPF以上で診断される。
21. Lynch症候群に合併する疾患はどれか。→膵癌
22. Lynch症候群の特徴として適切なものを選べ。

選択肢→a. 同時性異時性多発をみる。b. 高齢で大腸癌を発症することが多い。
リンチ症候群における関連腫瘍の累積生涯発生率(70歳まで)
大腸癌 54-74% 男性 30-52% 女性
子宮内膜癌 28-60%
胃癌 5.8-13%
卵巣癌 6.1-13.5%
小腸癌 2.5-4.3%
胆道癌 1.4-2.0%
膵癌 0.4-3.7%
腎盂・尿管癌 3.2-8.4%
脳腫瘍 2.1-3.7%
皮脂腺腫瘍は不明
23. 右半結腸切除術に関して誤っているもの。
a.70%に右結腸動脈を見る
中枢リンパ節郭清として…
すみません、復元できませんでした。
24. 大腸癌術後の勃起障害に関連する神経はどれか→骨盤神経が正解
a.骨盤神経 b. 下腹神経(→射精に関与する) c. 下腹神経叢

⚪肝臓 16/20問
1. DMを合併したNASHで使用する薬剤3つ
選択肢→SGLT-2阻害薬、GLP-1、ピオグリタゾン、ビグアナイド
2. MELDスコアで使用する項目はどれか PTが正解
3. ビリルビンが項目に含まれない指標はどれか→FIB-4 indexが正解
他、MELDスコア等
4.B型肝炎(c HBs抗原陽性妊婦で2016年に改訂された項目はどれか 
児へのワクチン摂取についてd, eの選択肢
c. 妊婦に対して全例でDAAsを使用する
5. C型肝炎治療について
再発例に対してエプクルーサ(SOF/VEL)とリバビリンを投与する
ゲノタイプ3型に対してGLE/PIBは使用できない → ×
6.中毒性薬剤性肝炎を起こす代表的な薬剤はどれか。つまり用量依存性のもの
選択肢→a.抗菌薬、b.漢方薬、c.アセトアミノフェン(⚪︎)
7. 肝硬変のChild Pugh何点か
ビリルビン2.5, アルブミン3.0, 利尿剤でコントロール良好な腹水あり、羽ばたき振戦あり、PT保たれている。2, 2, 2, 2, 1でC9点が正解
※肝性浮腫 / 脳症に対する診断と治療は抑えておいた方が良いかと思います。
topicとしては肝性脳症の不顕性、顕性の分類。(日本内科学会誌111巻1号P.62)
⚫︎肝性浮腫の治療
1. 塩分制限:食欲を損なわない程度の5-7g/日の塩分制限をまず行う。
2.薬物療法: 腹水がGrade2-3の場合、塩分制限に加えて利尿薬を開始する。
肝性腹水に対する利尿薬の第1選択はスピロノラクトン(25-50mg/日)
単剤で効果不十分であればループ利尿薬(20-40mg/日)併用療法が推奨。
これらの治療に対して抵抗例、不耐例ではトルバプタンの使用を検討する。
トルバプタンは3.75-7.5g/日で。
入院の上で開始!
→急激な水利尿のため1日尿量が4000-6000mL程度となる可能性もあり、高度脱水や高ナトリウム血症から意識障害、橋脱髄症候群を引き起こしうるためである。
トルバプタンの効果判定は1週間で1.5kg以上の体重減少が得られた場合とすることが多い。これでも抵抗例となる場合、アルブミン製剤投与と利尿薬静注治療併用を検討する。併用薬はカンレノ酸カリウム100-200mgとフロセミド20mgが推奨。
3.腹水穿刺排液
腎機能低下例、トルバプタン不耐、あるいはアルブミン製剤と利尿薬静注療法でも治療に難渋する場合は難治性腹水とされ、腹水穿刺排液あるいは腹水濾過再静注療法を検討する。5L以上の大量排液の場合は、循環不全を回避するためにアルブミン静注の併用が推奨されている。
⚫︎肝性脳症の治療
柱→誘因の除去と栄養・薬物療法
誘因としては、消化管出血、感染症、脱水、蛋白過剰、利尿薬の過剰服用など
・栄養療法においては長期にわたる蛋白制限はサルコペニアなどを悪化させて予後に悪影響を及ぼす可能性がある。
・薬物療法においては、合成二糖類(ラクツロース)、BCAA製剤(リーバクト)、腸管非吸収性抗菌薬(リフキシマ)などが中心を担う。カルニチン製剤や亜鉛製剤、プロバイオティクスの有用性についても肝硬変診療ガイドラインで言及。
・MRI所見:T1で大脳基底核淡蒼球高信号
・脳波所見:徐波、三相波

8. HCC治療で誤っている組み合わせ
CTで門脈腫瘍栓あり、TACEが× 他化学療法、外科的切除他
⚫︎肝手術の基本
・右葉切除でも左葉切除でも中肝静脈は温存する!!
・グリソン鞘の切離を優先する(肝静脈よりも)
・機能的=外科的
・Rouviere溝にはグリソン鞘後枝がある
・プリンクル法→出血量を減少する目的で肝門部からの血流を一時的に遮断する
・腹側から胆管、動脈、門脈
・右肝静脈→前区域と後区域を隔てる
・中肝静脈→前区域と内側区域を隔てる
・左肝静脈→内側区域と外側区域を隔てない!!
9. 肝移植の適応でないもの 
3cm, 3個の転移性肝腫瘍、Child Bの5-5-500
※ミラノ分類はおさえておきたいです。
10. 認知症の73歳女性 この症例で見られるものはどれか
選択肢→a. カイザーフレッチャー輪、b. MRIT1で淡蒼球に高信号を認める、c. シトルリン高直、d. 海馬の萎縮を認める。
Wilson病なのか、Wernicke脳症なのか、背景が読み取りにくい問題でした…
11. 切除不能HCCの第一選択はどれか アテゾリズマブ、ベバシズマブ
12. 尿中ウロビリノーゲン陰性のものはどれか→閉塞性黄疸
他、肝硬変、溶血性貧血などが選択肢に 
2010年にも出題あり 
13. PIVKA-2上昇を認めないものはどれか
14. 肝腫瘍のCT →選択肢に経口避妊薬が原因となる。
15. ALT>ASTとなるもの ○ 慢性肝炎
16. 健診で肝腫瘤指摘 アンギオでしっかり染まっている 肝血管腫?
他:肝細胞癌、転移性肝腫瘍
 
⚪︎胆膵 12/15問? 膵10問 胆5問?
1. 膵癌のリスク因子で誤り MEN1が正解
他の選択肢→糖尿病、肥満、家族歴
2. 免疫チェックポイント阻害薬投与し、胆管拡張を呈している臨床問題。
→IgG4関連硬化性胆管炎 
選択肢→全身疾患の検索、ステロイド治療を考慮する。
3. AIPについて(診断前) 
選択肢→生検診断する、直ちにステロイドを投与する、
4. MCNの所見として正しいもの。Cyst in cystが○

MCNの参照用リンク

https://surgery1.hiroshima-u.ac.jp/about/diagnosis/mcn/

https://www.keio-hpbts.jp/disease/pancreas/02.html

https://www.keio-hpbts.jp/disease/pancreas/02.html

https://surgery1.hiroshima-u.ac.jp/about/diagnosis/mcn/

https://surgery1.hiroshima-u.ac.jp/about/diagnosis/mcn/

https://nms-surgery1.com/kyoushitsu_staff_02.html

https://nms-surgery1.com/kyoushitsu_staff_02.html

5. IPMNのhigh risk stigma
→10mm以上の主膵管拡張(14mm?)、造影効果のある壁在結節(10mm?)を選ぶ
【IPMNの画像所見の特徴】
 
①ブドウの房状🍇②共通被膜がないこと③cyst by cyst
6. 急性膵炎の臨床問題 CTあり 造影不良は1/2以上、腎下極までの炎症あり
選択肢に、CTグレード2(→明らかに3)、e.十分な輸液と鎮痛薬投与を行う。
7. 慢性膵炎の診断基準に含まれないものはどれか。(完全復元)
a反復する腹痛、b膵内分泌異常、c画像所見か家族歴、d急性膵炎の既往、
e遺伝子異常
※ガイドライン改訂に伴い、確定診断と早期慢性膵炎の画像所見にMRCPが追加となった。また、危険因子として膵炎関連遺伝子異常が診断項目に追加となった。
PRSS1(カチオニックトリプシノーゲン遺伝子、SPINK1(膵分泌性トリプシンインヒビター)また、 EUS所見項目が7項目→4項目へ変更。(以下)
〜早期慢性膵炎の画像所見〜
a. 以下に示すEUS所見4項目のうち、1)または2)を含む2項目以上が認められる。
1.点状または索状高エコー Hyperechoic foci[non-shadowing] or Strands
2.分葉エコー Lobularity
3.主膵管境界高エコー Hyperechoic MPD margin
4.分枝膵管拡張 Dilated side branches
b. MRCPまたはERCP像で、3本以上の分枝膵管に不規則な拡張が認められる。
-------------------
慢性膵炎経過中に見られる所見
・代償期→分枝の不整、蛋白栓
・移行期→膵石、嚢胞、狭窄、不整、拡張
・非代償期→数珠状拡張
8. Lemmel, Mirrizzi症候群等の組み合わせで正しいもの。
選択肢は復元できませんでした。
9. 胆管癌のリスク因子 選択肢→ジクロロプロパンなど
過去問にも出題があったかと思います。
10. 膵胆管合流異常症(胆管拡張型)と胆道癌について正しいもの。画像あり
選択肢→戸谷分類3である(×)。
胆管癌合併は5%未満である(×)、40代に好発する。
11. 肝胆内管癌の治療アルゴリズムに含まれないものは(完全復元)
a腫瘍径、b腫瘍の個数、cリンパ節転移、d遠隔転移、e.Child Pugh
12. MRCPで著明な膵管拡張を呈している症例 70代女性
選択肢→手術適応である

⚪︎その他 5/5問
1. 消化管と上皮の組み合わせで正しいもの2つ 
選択肢→肛門と重層扁平上皮、バレット食道-移行上皮
2.フレイルについて
b.社会的、心理的要因も含まれる。
c.サルコペニアとロコモティブシンドロームは関連する。
3. 倫理審査を通さなくても良い研究 2つ
選択肢→EUS-FNAのデータを集めた8例、患者の血液データを使用したもの
○○の治療経験について
4. 臨床試験について
~に対する薬剤の有効性を示す試験は非劣性試験である ×
5. 膵癌の診断で入院。入院中の包括DPCに含まれるものはどれか
選択肢→放射線治療、術後化学療法、膵切除術
 
以上になります。合格率こそ下がりましたが、最近ガイドラインが変わった疾患や外科の問題が増えているというトレンドを押さえれば合格に近づけるかと思います。一人で復元したため、88問にとどまってしまいました。
ご理解いただけますと幸いです。




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