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雑感---地震後のテレビを見て思うこと
追記: 1月5日現在、地震で生き埋めになっている方は100人超の見通しだそうです。
私は元々は民放テレビ局の社員だったのだけど(CMオンエアの仕事をしていた)、今回の能登の地震では、ずっとテレビに違和感を感じている。
東日本大震災はマグニチュード9,死者約2万人という記録的な大惨事だったこともあり、震災後1週間以上、各局ともほぼ震災関連番組でCMも自粛し、代わりにACの「ポポポポーン」が流れていた。
NHKでは黒い服を着た悲痛な表情のアナウンサー達が、何時間にもわたって交替で死亡者のお名前を読み上げていた。
ところが今回は、1日の夜に民放では既にお正月番組に戻り、晴れ着タレントの「あけましておめでとうございます」のCMも流れていた。2日には民放各局とも平常運転になっていた。ある人は「こんな状況なのに、おめでとうのCMとか、タレントがゲラゲラ笑ってる番組を見せられて腹が立った」と言っていた。
NHKは民放よりは報道時間が長かったけれど、同じ映像を何十回も使い回していた。死者数等の情報の更新も民放より遅かった。
民放より遥かに予算もあり、各県に支局もあり、機動力があるはずなのに、正直「やる気あるの?」と感じる映像が多かった。私だけでなく周囲の人達からも同様の感想を聞いた。
被害の全容がわからず、正確な犠牲者数が不明という事情はあるにせよ、震度からしても、発生当時の映像からしても「これは大変な規模の被害になる」のは分かるはずなのに…
東日本大震災当時、私の家の辺りは電気は1週間、水道は2、3週間、都市ガスに至っては1か月も止まった。
ライフラインが途絶し、商店はほぼ閉まり、幹線道路が封鎖されているので宅配便はもちろん使えず、みんな寒さと暗さと空腹の中で、記録的な数の余震に震えていた(3月だったが、当地ではまだ雪が降っていた)。
私達被災者は停電中はテレビが見られず、ラジオで情報を得る位で、当初は被害状況もよく分からなかった。とにかくすぐ逃げられるように夜も服を着たまま、枕元に靴と非常持ち出し袋を置いて寝ていた。
でも余震は頻繁に来るし、その上に福島の原発事故もあり、隣県の当地には大量の放射性物質が飛んで来た(当地のモニタリングポストは何万ベクレルもの数値になった)。そういう不安とストレスで1か月位はまともに睡眠を取れなかったし、実際に地震のトラウマで心身を病む人も少なくなかった。
だから今の現地の方々の大変な状況はとてもよく分かるし、他人事とは思えない。お正月早々、住み慣れた町があんなに破壊されてしまって、高齢者は精神的なダメージだけでも相当だと思う。
もちろん国民レベルでは、多くの人が心を痛めて力になりたいと思っているだろうし、被災地にボランティアに行く人、募金する人も沢山いるとは思う。
ただ、東日本大震災から13年経ち(その間に熊本地震や北海道の地震もあったけど)メディアのスタンスとか、「熱」みたいなものがかなり変質しているのを感じてしまう。
当時はまだSNSが発達していなくて、マスメディアの役割が大きかったという違いもあるだろうけれど。
そういえば、あの当時は「がんばろう日本」「絆」という言葉が盛んに言われていたなあ...とも思う。
↓BBCのほうが正確に報道していたとのこと。この筆者も「日本のメディアはもっと報道しろよ お笑いとか報道してる場合か?あほなのか?」と。
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