トロピカルな計算練習(6)

一日空いてトロピカル。

さて、前回はトロピカルな式をグラフに表しました。

一次関数、二次関数まで見たので、今回は三次関数以降ですね。

三次関数

三次関数も結局直線が一本増えるだけです。というのも、

$$
\begin{array}{}&&tp(ax^3+bx^2+cx+d)\\ &=&\max(3x+a,2x+b,x+c,d)\end{array}
$$

と言うわけです。ここで毎度のごとくですが$${tp(\;\;)}$$はこのNoteでしか使わない、中身をトロピカル的に計算します、の記号です。

この通り、三次関数でも直線の集まりです。より高次な項が出てきてもやることは変わりません。
$${kx^n}$$項はつまり$${nx+k}$$項になります。

つまり、べき多項式を考える限り、直線群で大きいものに乗り換え続ける、そんな関数になります。


そうすると、どうすればトロピカルなグラフ上で直線以外を出せるのか、気になりますよね。

つまりこれは裏を返すと、トロピカルに翻訳した段階で$${tp(\;?\;)=x^2}$$となるような項を用意すればいいわけです。

そんな関数なにかあったっけ? と言いますと、ここまでのトロピカル演算知識が役に立ちますね、はい、

$$
tp(x^x)=\overbrace{x\otimes x...x\otimes x}^{x}=xx=x^2
$$

これですね。
えー、これ……。たしかにトロピカル上では二次項として働いてくれそうですが、元となる$${x^x}$$項をそこまで常用するか? と言われると疑問です。

結局トロピカルが応用に使われる理由は、普通に計算したり解析するとめんどくさい式が簡単になるってところにありますが、そもそも普通に計算したい内容もせいぜい多項式と言われればそれまでです。
実際、大概の関数はテイラー展開でべき多項式化できますからね?
ですからあまりトロピカルで二次関数になるような事態は想定することがないのかもしれません。


元の世界で使うことが少ない$${x^x}$$ですが、ひとまずこれを使えばグラフ上に二次関数が書けます。書けるんですから、多少それで遊んでみましょう。

例えば

$$
tp(2x^{-x}+x+1)=\max(-x^2+2,x+1,1)
$$

ですと、

こんな関数が書けますね。トロピカルなグラフは今までひとまず単調増加型の関数でしたが、ようやくここにきて下がることを覚えました。


グラフで下がる状況を作るだけなら、こんなことしなくてもできます。つまり、トロピカル化した時の係数が負になればいいんですから、

$$
tp(x^{-1}+x+2)=\max(-x+1,x+1,2)
$$

でいいわけです。つまり負冪の関数まで含めると、下がる関数が書けます。

ただ言わずもがな負冪を用意しても直線になることは変わりません。
そうなると$${x^x}$$はとにかく曲線をグラフ上に描きたい! という願望を叶える最も簡単な道具と言えるかもしれません。



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