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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第2回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第2回/全8回)をします。

第1回を読みたい方は、ぜひこちらをタップしてみてください!

前回、スポーツ団体ガバナンスコード(以下、「GC」と略しますね。)には、大きく2種類あり、①国内統括団体(NF)向けと、②一般スポーツ団体向けがあると説明しました。

本日は、②について見ていこうと思います。

例によって、網掛けは、少し踏み込んだ内容などを書いてますので読み飛ばしても構いません。

コードの内容は上記資料にあるので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

まず、原則1は、団体運営をきちんとすることを宣言しました。

【原則1 】
法令等に基づき適切な団体運営及び事業運営を行うべきである。
(1) 法人格を有する団体は,団体に適用される法令を遵守すること
(2) 法人格を有しない団体は,団体としての実体を備え,団体の規約等を遵守する
こと
(3) 事業運営に当たって適用される法令等を遵守すること
(4) 適切な団体運営及び事業運営を確保するための役員等の体制を整備すること

理解のための重要なポイントとしては、「法人格」です。

よく、日常でも、「私、今度から法人営業になったんだよねぇ」とか言いますよね?

「法人」ッテナニ??

「そんなの分かるよ、会社でしょ、会社!」

と思ったそこのあなた!まだまだ不正確な理解です。
ドキッとしたらこの先の記事をめっちゃめちゃ読んで、あわよくばカミオの記事を全部読んでください。笑

法人とは、法律上、人格を認められた存在で、権利義務の主体になることができる存在です。

カミオのiPhone

が、存在するのは、カミオが、iPhoneという物の「所有権」を持っているからで、この四角い箱を手の中に持ってるからではないです。

なので、仮にカミオが電車の中にiPhoneを置き忘れて、大船駅まで取りに行く羽目になったとしても(実話)、その四角い箱は「カミオの所有物」です。

で、生きている人間以外に、「〇〇のiPhone」が認められるのが、法人です。
権利の主体になれるので。

具体的な違いはこんな感じです。
・訴訟の主体になれる
・銀行口座の名義人になれる
・契約書に会社名でハンコを押せる

じゃあ、団体っぽい名前がついていれば、なんでも「法人」か?

カミオが作っている、テニス練習コミュニティである「カミオ練」は法人か?

違います。
法人は、その名の通り「法律によって認められた」ものでなければなりません。

具体的には、商法(会社法)、一般法人法、NPO法、医療法、独立行政法人法など(*法令名は俗称も含まれます)の根拠法があり、その法律が定めた要件に合致して初めて「法人格」をゲットできます。

ちなみに、「会社」は、合資、合名、合同、株式の4種類しかありません。(昔あった「有限会社」は、株式会社の中に吸収されています。)

ほらほら、一般社団法人は「会社」ではないですし、公益財団法人も「会社」ではありません。
なお、国内統括団体の多くは株式会社ではなくて、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人の形式をとっています(うわ、この辺も詳しく書きたいけどまたの機会に)。

ほらほら、「法人」=「会社」と思ったあなた!まだまだですのぉー、おほほほほ(挑発的)

ですので、「法人営業」は会社以外にも、一般社団法人や、医療法人なども対処であってもおかしくないです。(これはあくまで理屈上。)

さて、その上でもう一度原則1を見てみると、

【原則1 】
法令等に基づき適切な団体運営及び事業運営を行うべきである。
(1) 法人格を有する団体は,団体に適用される法令を遵守すること
(2) 法人格を有しない団体は,団体としての実体を備え,団体の規約等を遵守する
こと
(3) 事業運営に当たって適用される法令等を遵守すること
(4) 適切な団体運営及び事業運営を確保するための役員等の体制を整備すること

(1)、(3)、(4)法人格をもつ団体向けのルールですが、法人格を持っている団体は、通常、法人格をゲットする段階で、一定のルールを定めています(定款とか言ったりします)。

また、「法人」として、税務申告をしたり、契約トラブルや、労務トラブルに巻き込まれたりしていることもあり、(3)や(4)について、放っておいても痛い目を見て自分で治療していることもよくあります。

ただ、「理事」を選任する方法は驚くほど軽視されていて、事実上、立ち上げた創業者(?)の独裁になっていることが多く、しかも本人たちもどうやったら選任されるかを知らないパターンが多いです。(4)は形式上でしかないということですね。

実際には、改選の時期に、司法書士さんのところでナンダカヨクワカラナイ書類(社員総会議事録)を作って、ハンコをポンと押せばいっちょあがり!という団体も多いと思います。

社員総会は、一般社団法人の社員が集まって、1人1票で投票して、法人の代表選手となる「理事」を決める会議のことです。
これ、法律上では、最高の意思決定機関で、超重要なんですが、実際は、、、

他方、(2)の「法人格を有しない団体」とはなんぞ!!

ということですが、「六郷少年野球団」とか、「白鳥バレエ倶楽部」とかそういうイメージをしてもらえれば。

お月謝はコーチになんとなく支払っているけど、団体の費用として支払ってる意識ですよね?

でも、法人格がない団体は、権利の帰属主体になれないのが原則なので、その月謝、実は直接コーチに払ったことになってますよ!

なお、この問題は、権利能力なき社団という論点で、次の条件を満たす団体には、ある程度の権利義務を認めます。
ただし、それでも、構成メンバーみんなの総有ということで、直接に法人名義の財産とは認めてくれません。

権利能力なき社団とは、「①団体としての組織をそなえ、②そこには多数決の原則が行なわれ、③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、④しかしてその組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているもの」を指す(最判昭39.10.15)。

ひぃ、難しい!ここがわかった方はすごい!

なので、この法人格ない団体のガバナンス(統治方法)は、ザルであることが多いです。

そもそも、ルール(定款)はなくてもいい、代表をクビにする方法も決まってないなど。

でも、今回のGCでは、それらの団体にもきっちり仕組みを作って守れ!と言われました。

(黒カミオ:これは、営業チャンス?全国の少年野球団の方、オファー待ってます)

うわぁー、原則1でこんなに喋ってしまった。
こりゃ、全8回じゃ終わらないかも・・・

以上、今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第2回/全8回)でした。

では、また。

記事をお読みいただきありがとうございます。弁護士は縁遠い存在と思われないよう、今後も地道に活動をしようと思いますので、ご支援よろしくお願いします。