今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第4回/全8回)
こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。
今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。
まずは、ここまでの振り返りを。
第1回
全体像
第2回
一般スポーツ団体向けGCの原則1
第3回
一般スポーツ団体向けGCの原則2
と、こんな感じで進んできたので、今回はGCの原則3を解説します。
原則 3
暴力行為の根絶等に向けたコンプライアンス意識の徹底を図るべきである。
(1) 役職員に対し,コンプライアンス教育を実施すること,又はコンプライアンスに関する研修等への参加を促すこと
(2) 指導者,競技者等に対し,コンプライアンス教育を実施すること,又はコンプライアンスに関する研修等への参加を促すこと
今回はそれほど解説なしでもわかりやすいですよね!
コンプライアンス遵守!そういうことです。
え、なに?雑すぎる?
わかりました。丁寧にいきますね。
まず、弁護士として引っ掛かるのは。
「等」
という言葉。
え、「など」でしょ。よく使うじゃんと思ったあなたに、弁護士の性質を教えておきます。
基本的に、法律の条文や契約書の用語には、作り手が意識した明確な対象があることが多く、言葉選びには確たる意図があることが多いです。
例えば、皆さんが使っているSuicaの利用規約の第1条にはこうあります。
第1条
この規則は、東日本旅客鉄道株式会社(以下「当社」といいます。)が、ICチップを内蔵するカード等に記録された金銭的価値等(以下「Suica」といいます。)の利用者に提供するサービスの内容とその利用条件を定め、もって利用者の利便性向上を図ることを目的とします。
ICチップを内蔵するカード「等」
これは分かりますよね?今や、カードでなくても、スマートフォンに情報としてSuicaカードが入っているので、カード以外のこのような形態を想定しています。
金銭的価値「等」
これも、「新橋駅から上野駅まで移動した」という情報は、金銭的価値はない(※)ものの、Suicaに記録されますので、「等」の中身はこういった付帯情報だと考えられます。
※ 賢い方だと、え、そのような移動データ自体はたくさん集めればお金になり得るのでは?と思った方もいるかもしれません。
ご賢察のとおりとは思いますが、基本的には金銭的価値とは、金銭(法定通貨)同様に物品やサービスとの交換可能性があるということを指すと解釈するべきでしょう。
私が新橋から上野まで移動した情報を渡して、水500mlと交換してくれる人は今の所、まだ誰も居なそうですので。
ちなみに、一歩進んで、そのようなビジネスモデルを考える際には、個人情報の取得・第三者提供などが問題になってきますが、今回は割愛します。
さてさて、本題に戻ります。
原則3は次のようでしたね。
原則 3
暴力行為の根絶等に向けたコンプライアンス意識の徹底を図るべきである。
(1) 役職員に対し,コンプライアンス教育を実施すること,又はコンプライアンスに関する研修等への参加を促すこと
(2) 指導者,競技者等に対し,コンプライアンス教育を実施すること,又はコンプライアンスに関する研修等への参加を促すこと
「暴力行為の根絶等」
の等については、どこにも解説がありませんので、ここからはカミオの推測です。
間違っていたらごめんなさい。
「暴力行為等の根絶」
であれば、等の中身は、暴力以外に、パワハラ、セクハラなどの問題行為が含まれているなぁと容易に想像が付きます。
ただ今回は、
「暴力行為の根絶等」
なので、ちょっと難しい。
説① 純粋にただ付ける位置が不適切
補足説明を見ると、やはり、暴力以外にパワハラセクハラを意識した記載があるので、これがシンプルかなぁと思います。
補足説明の一部
【コンプライアンス教育の実施に当たっては,昨今,役職員又は指導者の暴力行為 やセクハラ,パワハラ等が社会的な問題となっていることに鑑み,これらの行為 が決して許されないことが徹底されるよう,暴力行為等の禁止について特に重点 的に教育することが望まれる。】
なお、この文章には、柱脚でユニセフの子どもの権利とスポーツについての紹介があります。こちらはスポーツ関係者必読。
本当に。お願いします。
末尾にURLを載せておきます。
説② 「根絶」はできなくても、「減少」はして欲しいために、ぼやかした
これもあり得るかもしれません。ただ、仮にこの説だとしたら、個人的には、そこは「等」(=減少)なんて弱気な言葉ではなく、ハッキリ根絶!と言い切ってくれよなって思っちゃいました。
これがまず形式的な話。
次に、原則3については、補足説明がめっちゃいいこと書いてます。
【補足説明の一部】
ひとたびコンプライアンス違反事案が発生すると,組織に対する社会的信用を失 墜させ,ひいてはスポーツへの社会的評価を低下させることにつながりかねない。
一般スポーツ団体が組織として存続する限り,常にコンプライアンスが実践され ている又はコンプライアンス違反が生じていない状態が保持されていることが必 要である。そのためには,一般スポーツ団体に関わる全ての者がコンプライアン スに係る知識を身に付けるとともに,コンプライアンス意識を徹底することが不 可欠である。
この一環として、カミオはパデル協会で、全12回の講義を、隔週水曜日の朝7:00〜行っています。
日本代表選手がみんな参加してくれていて、ナイスです!今はSNSと法的な注意点をやっていますが、この後、懲罰や協会の仕組みなどもやるので乞うご期待!
【余談】
カミオの野望は、「パデルをやってる人は、みんな礼儀正しい・フェアプレーなだけじゃなく、社会的なルールを守っていて素敵だね」と言われる世界です。
こんな競技の選手で誇らしい!とか、関係者で誇らしい!と思いたい!!
選手、関係者の皆さんご協力のほど!
ちなみに、これはマイナースポーツと呼ばれている団体は今すぐ取り組むべきです。
実は、後のユニセフの冊子にも出てきますが、大きな企業になればなるほど、資金拠出先が、コンプライアンスをきちんと守ってくれているかを超重要視します。
団体が小さいうちに、規程やルールを整備しておかないと、巨大団体を新参者が変えるのは難しく、「オトナ」が跋扈する団体で正義を貫くのは超超超難しいです。
ついでに、うちの団体はここまでやってますというのは、一つの営業材料になると思うので、近々、カミオにて営業ツールに作り替えようという作戦を立てています。興味ある方は何らかの方法でカミオにたどり着いてDMください。
今日は長くなっちゃいました。
第2回目あたりで薄々気付いたのですが、これ、絶対に全8回では終わらない。笑笑
どなたか打開策を募集します。
本日は、今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第4回/全8回)でした。
では、また。