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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第5回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

【第1回 全体像(NF向けと一般向けがある!)】

【第2回 一般向けGC原則1 対象となる団体】

【第3回 一般向けGC原則2 基本計画】

【第4回 一般向けGC原則3 コンプライアンス】


さて、今日は原則4です。

原則4
公正かつ適切な会計処理を行うべきである。

(1) 財務・経理の処理を適切に行い,公正な会計原則を遵守すること

(2) 国庫補助金等の利用に関し,適正な使用のために求められる法令,ガイドライン等を遵守すること

(3) 会計処理を公正かつ適切に行うための実施体制を整備すること

要約すると、

一般企業会計原則かそれに近い会計管理をすること、補助金使う場合にはちゃんとルールを守ること、専門家(税理士、会計士)に相談できるようにしておくこと

ということです。

なーんだ、めっちゃ当たり前!と思いますよね。

ところがどっこい。
あんまり守られてないからこんなことを規定したんです。

一つずつ説明しますね。

まず、「公正な会計原則」ッテナニ?

ここでズバッと正解はこれ!と言いたいところですが、実は正解は無いというのが正解です(紛らわしい)。

実は、これに従え!みたいな法律やルールはありません。

とはいえ、じゃあどうすんの?となるわけなので、1950年頃に、日本でも企業会計原則という基準が出されています。

企業会計原則にはこんなことが書かれています。もう私もめまいが・・・
とはいえ、出来上がったものは見覚えあるはずです。皆さんも社会人一年目にやりませんでした?決算書の読み方と損益計算書の読み方。そして、人によっては、それを作成するための記帳方法である複式簿記を勉強したと思います。

1 一般原則
真実性の原則
正規の簿記の原則
資本取引・損益取引区分の原則
明瞭性の原則
継続性の原則
保守主義(安全性)の原則
単一性の原則
(重要性の原則)
2 損益計算書原則
3 貸借対照表原則

※この辺り、わかりやすく解説してくれている方の記事があればご紹介しますので、自薦他薦お待ちします(2020.5.2)。

歴史的に会社というシステムが始まったのは、皆さんご存知、東インド会社でして、1600年頃だったと言われています。

その後、株主やその他ステークホルダー(利害関係者。例えばお金を貸している人、資源を売った人、商品を買った人、そこで働く従業員さんなどなど。)にどうやったら会社の会計情報を説明できるか、みんなで試行錯誤を繰り返しました。

が、やはり会社の規模や、経済情勢、国によって状況が必ずしも同じでなく、この企業では絶対に必要だけど、こちらではそこまで求める必要はないなどど、バラバラで統一ルールとまではできません。

現状、US GAAPや、IFRSなどが指針とされていて、これに従っていることが多いと思われます。

さて、少し本題から離れちゃいましたが、少し雑に整理すると、決算書・損益計算書が作れるように帳簿を整理してね!というのが一つ目です。

そうはいっても、地域の習い事クラブなどでそこまで求めるのは厳しいところもあり、やんわりした表現で止まっているものと思われます。

次に、補助金については、法令とガイドラインに従ってくださいというのがあります。

実は、スポーツ団体は、補助金の対象とされることが非常に多いという特徴があります。

ちなみに、「補助金」というと経済産業省か地方公共団体により行われるもの、「助成金」というと厚生労働省により行われるものという違いがあります。
どちらも基本的には返済不要なのですが、細かく見ていくとちょこちょこ違いがあったりもするので、要綱はよく読んでね!(または専門家に相談してください。)

これらは、あくまで、「とある目的を達成するための事業」に対してのみ支出されるものです。

なので、事前の書類審査があり、目的に合致している場合に、当該事業を実施してみて、経費が1200万円かかりましたので、そのうち3/2である800万円を負担お願いしまーすと言って初めて至急されるという仕組みです。

残念ながら、継続的に給付を受けている団体で、資金を他の用途に流用したり、経費を支払う先を代表者が関わっている会社にしてしまい、そちらで利益をとるなんて不正が横行しています。

なので、こんな規程が入ったのですね。

最後の、税理士や公認会計士に相談してねというのは、そのままです。

個人的には、費用のデメリットよりも、きちんと適切に処理してくれるという信頼感のメリットの方が大きいと考えています。

トラブル全般がそうですが、間違いが起こってしまってから取り返すのは非常に難しいので、何事も安全第一が1番。

え?税理士さん会計士さんが入っていた方が、弁護士への連携が増えるって?

イヤイヤ、そんな黒い目的で言ってる訳じゃないですよ。決して黒カミオが出現したわけでは・・・

以上、今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第5回/全8回)でした。

とりあえずの区切りまであと3回!ついてきてね。

では、また。

記事をお読みいただきありがとうございます。弁護士は縁遠い存在と思われないよう、今後も地道に活動をしようと思いますので、ご支援よろしくお願いします。