誤魔化すとひどいことになるよの話
こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。
一般的な民事事件・刑事事件全般のほか、スポーツ選手・団体の法務や、SNS利用のコンプライアンス講師、テニス練習会の主催なんかをしています。
今日は、誤魔化すとひどいことになるよの話をします。
◆誤魔化したくなるよね◆
仕事で、締め切りを過ぎてしまったり、ミスをしてしまった時、誤魔化したくなりませんか?
私はなります。
実際、小さい誤魔化しはしたこともあります。
締め切りを過ぎてしまった責任を、他の誰かのせいにしたり。
入力間違いを機械のせいにしたり。
結構やってしまう。
ただ、これをやると、その後数日は、心の中にモヤモヤが残るんですよね。
皆さんも、経験ありませんか??
◆弁護士という職業◆
ただ、それ以上大きな誤魔化しをしないで済んでいる理由に、弁護士だからというところはあります。
弁護士という職業は、他の人に毎回毎回、口を酸っぱくして「誤魔化しちゃダメだよ」と言っています。
刑事事件をやってしまった被疑者と話をする時、捜査機関にどのように話すのが正しくストーリーを把握してもらえるかを考えるのですが。
その時に、弁護士にさえ正直にありのままを話してもらえないと、後で誤魔化した部分が発覚した時の戦略が総崩れになることもしばしば。
民事事件では、紛争相手との感情戦になっていることもよくあるので、「真実」に自分なりの解釈がつけ加わって、「あの人も、あの時承諾していました。」とか、「兄も当然、わかっていました。」とか、実際にはどうか分からない事実を、頭の中で誤魔化して、「真実」として語られることもあります。
ちなみに、そんな風にされても、経験豊富な弁護士は、ある程度見破れちゃいます。
その後の対応にはいくつかパターンがありますが、私は割と、その段階で、誤魔化さないでねーと本人が腹落ちする言葉で伝え、理解を求める派です。
残念ながら、ここでお伝えしたところで、選任されない/解任されちゃう事もあったりします。
他方、余計なお節介は焼かないタイプの先生もいて、その場合、誤魔化して伝えれば伝えるだけ、後で発覚した場合には、冷たく、「それは最初に言ってもらえないと、ダメですよ」と言われます。
どちらが良いかは好き嫌いですし、私の中でも、2面使い分けることもあります。
ただ、行き着く先は、本人の不利益でしかないので、相談する際は正直が1番です。
◆信頼してもらうには◆
そうな風に、自分で繰り返し「誤魔化しちゃダメだよ」を繰り返すもんですから、さすがに脳内に刷り込まれて、自分が大きな誤魔化しをしそうな時には踏みとどまります。
相談した方からすれば、私が誤魔化していることを見破った場合、口だけになっちゃいますから。
何か失敗したら、秒速で謝るのが1番。
その上で、同じようにならない対策を講じる。
こっちの方が、かえって信頼してもらえることすらあるくらいです。
残念ながら、弁護士であっても、踏みとどまれないことがあって、たまに、懲戒されてしまったりします。
なお、弁護士は、権力に対してもキチンと刃向かえるように、監督官庁がありません。
通信業者なら総務省が、業務改善命令とかを出せるようになっていますし、同じ士業でも司法書士さんの監督官庁は法務省だったりします。
弁護士は、それをされると権力相手の訴訟などをできなくなるので、弁護士会が自分たちで、懲戒をするシステムになってるのです。
よくある懲戒のパターンは、誤魔化しが原因です。
債務整理の事件を受任したにもかかわらず、申し立て等をしないまま、2年間放置した。
訴訟を依頼されて引き受けたのに、提訴せず、依頼者からの問い合わせに対しては、あたかも訴訟が始まって進んでいるように受け応えていた。
こんなパターンが、懲戒事例として、よく上がってきます。
1回目の分岐点で誤魔化さずにさえいれば、と悔やまれる事案ばかりだと思います。
◆弁護士に限らないよ◆
ここまで弁護士の話をさせていただきました。
ただ、ここ最近、弁護士に限った話じゃないなぁと痛感させられています。
SNSを開いていると出てくる、商品の広告、もう最近1ミリも信用せずにすっ飛ばしていませんか?
新聞の折込チラシだったら、一回見るは見たと思うんですが、SNSに流れてくる広告、一瞬で飛ばしますよね?
(実は、ゾンビのパズルの動画は、ついつい行く末を見ちゃう私。でも、クリックは結局しません。)
でも、仲のいい信頼できる人から、「いい商品がある!」と紹介されたら、少なくとも話は聞きますよね?
何でだろうな?と考えたところ、先ほどから話している、「誤魔化し」が関係していそうな気がしてきたのです。
SNSに流れて来る広告は、非の打ち所がないくらい、完璧な商品だと宣伝されていますよね?
でも、そうなると逆に、「どこか誤魔化しているんじゃないか?」という気分になる。
友達なら、そこについても話してもらえるか、質問をいくつか投げ掛ければ、「そこが弱点か」と推し量れます。
反対の立場からすると、自分が本当に「良い!」と思ったものだけを教えてくれる友達はとっても信頼に値する。
そこには、誤魔化しがないので。
もちろん、その商品が自分にとっても「良い!」ものである保証はないんですけど、少なくとも、トライしてみようという気持ちにはなるし、もう2度と話を聞くのはやめようとはなりませんよね。
◆まとめ◆
こんな感じで、誤魔化さないということは、今やみんなにとって大切かもしれないという気がしました。
ちなみに、誤魔化さないと、自分の心が1番楽なので、自信がつきますよ!
やってみてください。
以上、誤魔化すとひどいことになるよの話でした。
では、また!
記事をお読みいただきありがとうございます。弁護士は縁遠い存在と思われないよう、今後も地道に活動をしようと思いますので、ご支援よろしくお願いします。