この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第81回]
春江花月夜 張若虚
前回の続編、この甘美で長い詩の後半で、
結末の四句です。
斜月沈沈蔵海霧 斜月沈沈 海霧に蔵(かく)れ
碣石瀟湘無限路 碣石(けっせき)瀟湘(しょうしょう)無限の路
不知乗月幾人帰 知らず 月に乗じて 幾人か帰る
落月揺情満江樹 落月 情を揺るがして 江樹に満つ
斜めにかかった月は 静かに沈み 海霧にかくれた
北の果て碣石から 南の果て瀟湘まで はてしない道
この月のもと 何人の人が家路をたどっているだろう
落月は私の胸を揺るがし 月光が河辺の樹々に満ちわたる
*絵は青楓と行人、月、舟、家を、江のほとりに配置しています。
甘くロマンチックな月夜の物語ですので、
色はぐっと抑えた紫色の濃淡単色です。
この詩は全編美しいイメージにあふれていますので、
まだまだ色々描きたい素材です。