DXマインドの定着とは何か。
定着する自治体
先日、墨田区のDXアワードに参加してきて、いくつかの気付きがあったので残しておこう。まずは、自分たちでこのような企画を実現するところまでできていてすごい。というのは当然として、3年間の自治体DX人材の育成を通じて定着へとつながってきているなと感じました(手前味噌だが、研修参加者が継続してマインドを持ち続けて、アワードでもいくつも賞をとっていて、これならもう私たちは去っても大丈夫だなと安心したところです)。
では、定着する自治体と、しない自治体の違いはなんだろうと考えてみると、DX推進する部門が「推進役」「広報役」「つなぐ役」になっているかどうかというのが1つ目の鍵でしょう。単に、研修すれば良くなる・補助金が出るからやるではなく、どんな人材や価値を出してもらうのかを部門としてしっかりと持っていて、そのように行動ができることです。コミュニケーション力と言い換えてもいいかもしれない。推進役とは、デジタルの研修を受けさせるだけでなく、共にできるようにするために悩み調整することである。広報役とは、庁内のやる気のある人材に庁内の取り組みを進めることで輪を広げる活動である(これは、袋井市もうまいのだよな)。つなぐ役とは、人と物と金と活動を繋ぐ役目だ、どれかが欠けても良くない。
また、研修では教えてもらうという姿勢でやるのでは、おそらくどれだけ時間をかけても変革のマインドは身につかないだろう。最近、自治体の研修に各テーブルや各部門に1名ずつ社員を配置して研修するので手厚く教えることができます!というのをよく見かけるが、これは全くの逆効果であろう。なぜなら、職員が考えることを奪って形式的なやり方を教えることだけを重視しているからだ。これでは、単なるツール販売営業の延長線上でしかない。支援が多ければ多いほど、本人はやらなくて済むことが減る。本来は、考え方やゴールをしっかりと身につけて、活用することを実践指導しなければいけないのだよね。これが、定着しない自治体の特徴でもある。もう少し補足すれば、長くこの業界で同じことをしてきた人から教わっても変革にはならず、改善レベルの知識しか手に入らないのですよ。
宿題が大変、考えるので一杯一杯になる。当たり前である。
だって、今までとは違う方法を取り組んでいるのだから、1から覚える考えることをやってこそ身に付く。2つ目の鍵は、そのような泥臭いことを一緒にやれる組織やカウンターパートがいるかどうかにかかっている。
成功事例がなくても成功に導けるか
前例主義でやっているうちはまだまだで、DXマインドを定着させることによる効果は、成功事例がなくても、自ら考えて成功するプロジェクトを進めることができる。なのだよな。困り事など無尽蔵にある、それに対して多くの職員が前例がなくても、モデルとなる自治体がなくとも、自分たちの地域をどのようにしていきたいのか、行政サービスをどう提供したいのか。それを考えられることが熱量に繋がり、成功へとつながるのだ。
最後に管理職は任せることができるか
正直言って、今までの仕事のやり方の流れで管理職となっている場合、多くの場合はそのやり方ではDXには向かない。だからこそ、役割をしっかりと決めて、管理職として確認・承認・アドバイスを与えるところと、権限を委譲して部下が動ける範囲をどのように広げてあげるか、つまりは任せることができるかが定着の有無に関わってくる。管理職のガチャによって、できる・できない部門が出てくるようでは、定着させようとしてもそれが障害になってしまう。全ての管理職がICTのプロになることは難しいだろう、だからこそ、調整やマネジメントの方に力をいれていくのだ。
墨田区や藤沢市など、研修後にもどんどん変革していっていて、次に何かやるときはもっとレベルを上げて話に行かにゃいかんなと思う自治体もいくつも出てきている。定着とは、今までと違う状態が当たり前にできる状態であり、DXにおいては、その上の状態をめざしていく状態でもある。皆さんの地域は、どのような定着と人材の姿をめざすか。一度考えてみてはいかがかな?