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すごいよ!! こだま さん (いりえで書く 外伝)
好きな作家は?と今、聞かれれば「こだまさんとブコウスキー」と答える。(ブコウスキーにも「さん」をつけるべきか?)
我ながら凄まじい組み合わせだと思うが、あまり考え込まなくても出て来るのがこの2人なので仕方ない。
そして、実際にこの2人の作家の本は自分の中にスーッと入って来るし、飾り気がないとこや、どうしようもない自分自身や周りの世界に対して絶望していないところが共通していると思うのだ。
いわゆる『おとちん』が発売された当時、「文章力がすごい」というような前評判をtwitterで見かけて気になって購入。
淡々とした文体で朴訥だが繊細な描写、思いがけないタイミングで予測不可能な角度からのユーモアのある文章にあっという間に読み終わった。
だが、この私小説として発表された作品ではどこか鬱々とした閉塞感が残り、とにかく起きたことを全て受け入れようとする主人公(≒こだまさん)が痛々しく、ひたすら切ない印象だったので読み返すことはなく、引っ越しのときに手放してしまった。
この何年か前まで本を読む気力がない時期が続き、ほとんどネット上のコンテンツで興味のあることを調べたり、暇をつぶしたりしていた。
そんな時に偶然、こだまさんがエッセイを中心に執筆活動を続けていることを知る。
ちょうど『ずっと、おしまいの地』が刊行されて間もない頃で、ネットで読める章を読んでるうちに久しぶりに本が読みたくなって近くの本屋数件を探し回って買って読んだ。
おもしろかった。相変わらず妙な状況に巻き込まれているようだが、色んなことをマイペースで行動していて、なんか静かな解放感があった。
しばらくして、ウェブ連載と別にブログがあることを知る。
都内でサイン会が行われ、そして終わっていた。
知ってたら行ってた。
この時の無念さが、今年の春に都内で行われたこだまさん関連のイベント3つ全て参加するという、「どうかしてる」偉業(異形)達成への原動力になったのである。
(つづく)