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行けたから全部行った 後悔はしてない   (または私は如何にして10月の3連休を過ごしたか) その1


突然だが、自分はまだガラケーを使っている。設定とかアプリとかセキュリティとか面倒くさいなと思ってここまで来てしまったが、次に買い替えるときはさすがにスマホにしようと思う。
そして、クレジットカードを持っていない。使い過ぎたり、盗難があったりすると面倒くさいと思うからだ。去年、エアコンが突然調子悪くなって買い換えたときは「クレカ持ってた方がいいかも」と思ったのでそのうち持つかもしれない。

なんでこんな話から始まったかというと、最近のイベントやライブの前売りチケットってクレカが必要だったり、スマホでアプリを登録しないといけなかったりで、行きたいのに買えないということがよくあるからだ。

10月の3連休中にも興味のあったイベントがあったが上記の理由から前売りチケットを購入できないこともあった。
しかし、諦めきれずに当日チケット狙いで公式サイトやSNSをチェックしてた。どれも人気のありそうなイベントだったが、当日チケットが出てたので行くことにした。


10/12 堀越英美×野中モモ「恐ろしいときこそ、親切になって」 『親切で世界を救えるか ぼんやり者のケア・カルチャー入門』(太田出版)刊行記念トークイベント


このイベントの前売りチケットは買えてた。(いきなり例外)

『親切で世界を救えるか ぼんやり者のケア・カルチャー入門』は太田出版のウェブサイトで連載されていたコラムを本にしたものだ。
連載時リアルタイムで読んでいたのだが、様々な映画や本などを「ケア」という当時は目新しい切り口で取り上げているのが目を引いた。
毎回、織り込まれる堀越さん自身のエピソードも日常を興味深い視点で丁寧かつコミカルに描いていて面白く、毎回読み終わるとなんだかほんわかした気持ちになり、更新されるのを楽しみにしていた連載だった。

会場は高円寺にある本店・本屋の実験室。初めて行くお店だったが昔、何回か通ったライブハウスのある通りの先にあり、懐かしい気分で歩きながら会場に着いた。
対談相手はライター、翻訳者の野中モモさん。ちょうど、野中さんが翻訳を手掛けられた『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』を読んでいる最中だったので、意外なつながりに驚いた。
どんな対談になるか予想がつかなかったが、期待を胸にイベントが開始されるのを待った。

冒頭、堀越さんと野中さんが知り合ったきっかけの話から始まり、ネットで個人ブログが流行った時代からの長い付き合いだということがわかる。
野中さんが印象に残っている二人が最初に出会った時のエピソードで、堀越さんがメールで「某音楽雑誌のライターで誰が一番嫌い?」と聞いてきたと披露。会場が笑いに包まれるとともに、堀越さんもおかしかったのか色々な感情が高まったのか「涙が出てきた」と目元を拭いていた。

ネット文化つながりで、野中さんが新宿の紀伊国屋本店で行われた phaさんと藤谷千明さんのトークイベントに行ってきたことに触れ、コロナ禍を経てオフラインで実際に人に会ったり、イベントに行くことの重要性が高まってきていると思うと語っていた。
自分も、今年は多くのイベントに行く様になった。実際にご本人を目の前にして話を聞くと、内容は本などメディアを通したものと同じだとしても(もちろん、本には収められなかった話も多々あるのだが)、また違った面白さがあると思っている。

野口さんは毎年ご自身の誕生日に、SNSで参加者を募って代々木公園で夜のピクニックを開催しているらしく、堀越さんも娘さんを連れて参加したことがあったらしい。
これは野口さんがロンドンで暮らしていたときに、公園で人々が気負いなく集い、それぞれ思い思いの過ごし方をしているのがとてもよく感じて、日本でも実践したくて毎年やっているとのことだった。 
自分の昔の知り合いにも、同じくロンドンで生活経験のある人がいたのだが、公園に人々が家から持ってきたであろうサンドイッチなどを持って、何時間ものんびりと過ごしていて、日本もそういうのあるといいのにというようなことを言っていたのを思い出した。
日本だと確かに子連れの家族は別として、公園でただのんびりと日がな一日過ごすというのはあまりないような気がする。スポーツ系はごちゃごちゃいるが。
特に一人で公園にいるというのは難しく感じてしまう。別に公園では何人かでいても、一人でいてもいいはずなのに。
最近は都市の公園内に商業施設を作ってしまうという、公園本来の意義と機能を奪ってしまう事例もあることを野中さんは危惧されていた。

また、野中さんが『自分で自分の機嫌を取る』という言葉の意味が「セルフケア」をして自分を大事にしようということから、何が起きても相手や社会のせいにしないという「自己責任論」に変わってしまっているという指摘をされていて思わず何回も頷いた。
日々の生活の中で遠慮やら努力やらから離れて、個人が心地よく過ごすということに日本は無頓着なのかもと思った。

堀越さんがメインのイベントなのに野口さんの発言しか思い出せてないが、図らずも堀越さんが相手の話を聞くという「ケア」を実践されていた形となっていたのかもしれない。(と、強引に締めてみる。)


その2につづく



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